悪役令嬢の弟。

❄️冬は つとめて

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アメリゴ帝国皇帝陛下の親書。

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「セルビィちゃ~ん。」
「は~い。」
微笑んだナルトの問いかけに、先程『聖戦』を叫んだ少女が挙手をして笑顔で応えた。

「何をしてきたのかな? 」
「司祭様に、エールを贈って来ました。」
満面の笑みでセルビィは応える。

「違うだろ!! 戦を煽ってたんだろ!! 」
ナルトの笑顔が崩れた。

「戦ではありません、聖戦です。」
「戦だ!! 」
「だって…、帝国は直ぐにでも攻めて来ると思うから。戦力確保に。」
怒りをあらわにするナルトにもじもじとしながらセルビィは応えた。

「帝国には早めに来てくだされば嬉しいです。この熱気が冷める前に。」
「この~魔王が!! 」
「そんなことを言うのは、ナルト様だけです。」
セルビィは嬉しそうに微笑んだ。


度派手にリオルの王への即位を帝国に宣伝したため、帝国は威神にかけてオースト国を落としにやって来た。3日程で、ウオンット砦の前にはアメリゴ帝国の数万の兵士が鎮座していた。

「圧巻です。」
砦の上から数万の兵士達を見て感心したようにセルビィは言った。

「なに関心してるんだ? 」
冷たい目でナルトはセルビィを見る。

「どうするんだよ、これ。」
「これ、とは? 」
「これだよ!! これ!! 」
首をか傾げるセルビィにナルトは砦の下にひしめき合っているアメリゴ帝国の兵士を指差して言った。セルビィはちらりと見ると傍にいるリオルに振り返った。

「がんばっ!! 」
両手で拳を作り、笑顔でリオルにエールを送った。

「「「丸投げか!! 」」」
ナルトとロビン、ビウェルまでもが突っ込んだ。

「そんな……、イタイケな美・少年に何を高望みしているんですか? 」
瞳に涙を溜めて、うるうると上目遣いで三人とリオルとロレンスを見る。

「お・ま・え・は~~!! 」
とうとうナルトが切れてセルビィの艷やかな黒髪を後ろから掴んだ。

「ツインテールにするぞ!! 」
「痛い、痛いです!! 」
「お前が煽ったんだろ!! 最後まで責任をもて!! 」
ナルトはセルビィの髪を引っ張った。

「此処はランドール様達に戻って来てもらった方がいいのでは? 」
「それは有り難い。」
「そうですね、ビウェル様の言うとおりに。」
「俺が呼びに行ってくる。」
ナルトとセルビィをよそに、四人は話し合いを進める。

「駄目です。そんなことをしたら、姉様達が不安になります。」
「なら、コアーラ砦のマンガン将軍と王都にいるローマン将軍に来てもらったら。」
セルビィの言葉にロレンスが意見を言う。後二人の将軍はアメリゴ帝国に対する他の砦に陣取っている、此処にいるのはリオル達だけであった。

「駄目です。チャイニ国が攻めてくることはないと思いますが、念の為。王都はまだ、馬鹿な方々がこの隙に頑張るかもしれません。」
「ならどうするんだ!! 」
セルビィはリオルに向けて微笑んだ。

「がんばっ!! 」
「お前は~!! 」
「痛い、痛いです!! 」
ナルトはセルビィのツインテールを引っ張った。この非常時に何をしているかと、四人の目は冷たく二人を見ていた。



「リオル第二皇子。皇帝陛下からの伝令を申し伝える。」

大きな声で、伝令者が皇帝陛下の親書読み叫んでいる。全身鎧を付け体をを隠せるほどの盾を持ったものが伝令者を囲むように守っている。

「『直ちに門を開け、儂ににオースト国を引き渡たせ。すぐさま登城し、儂に許しを請え。今日より三日後には総攻撃をかける。』以上が皇帝陛下のお言葉です。第二皇子リオル様、お返事をお聞かせください。」

伝令者が叫んでいる。


「何を言っています? 聞こえません。」
セルビィ達には追い風で、伝令者には向かい風で砦にいるリオル達には声が届かなかった。

「大方、ここを明け渡せと言ってるんだろう。」
「それだけですか? もう少し近くで言ってくれればいいのに。」
セルビィは伝令者が砦から遠いい処で叫んでいるのに首を傾げる。

「それは……。」
リオル達四人はセルビィを見つめた。

「お前が火攻めを食らわしたから、警戒してるんだ。」
セルビィの髪をツインテールにしたままナルトは言った。

「火攻めだなんて、ちょっこし足元を火で煽っただけです。」
「それを火攻めて言うんだよ。」
「火攻めじゃありません、現に誰も亡くなられてはいないです。」
「確かに、負傷者だけだが……。」
リオル達はこの砦を守っていた将軍達に話を聞いていた。砦の前にいたアメリゴ兵士に火攻めを行ったが、死者は出ず兵士達は一時この地を引いていたということを。それでもかなりの負傷者が出ていたはずた。

「まあその後、動けない負傷者を皇帝陛下がどのように扱ったかは僕の知ることではありません。」
怖いことをさらりと言う。戦果も挙げず、負傷して帰って来た兵士達は今どうしているのか。それはセルビィの預かり知らぬ事である。

伝令者がまだ何かを叫んでいる。


「聞こえませーん!! もう少し近くに来てくださーい!! 」
セルビィは砦の上から叫んだ。しかし伝令者達は動かなかった。黒く焼けず擦れている場所には入りたくないのと矢が届く距離には行きたくはなかった。

「ロビン、がんばっ!! 」
セルビィはロビンに微笑んでエールを送った。伝令を受け取って来て欲しいとお願いをしていた

「あほか!! 死ぬわ!! 」
伝令者が討たれるのはよくある話であり、生首とともに送り返される。

「仕方がありません、此方に放おって貰いましょう。」

有り難くも皇帝陛下の親書は、矢に括り付けられ焼け煤けた砦近くの大地に転がった。それをロビンは警戒しながら取り拾い砦の中に戻る。

「今日より三日後に総攻撃だと……。」
リオルは煤汚れた親書を握りつぶした。

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