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私の婚約者の、子供の頃の想い出。
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ぶつかる勢いでルミナスの屋敷に馬車を止め居場所を聞くと、オスカーはメイドも使用人も突っ切ってルミナスの元へと駆け込んできた。
「ルミナス!! 」
オスカーは応接室の扉を勢い良く開けた、その顔は喜びに溢れていた。
「オスカー様。」
ルミナスはチラリとリンダを見る。
(今です、お嬢様。)
ソファに座るルミナスにリンダは静かに頷いた。
オスカーが近付いて来たところで、ルミナスは立ち上がった。
「あ、めまいが…… 」
額に片手をあてふらりとオスカーに縋り付くと、オスカーはしっかりとルミナスを抱き留めた。
(きやーー、如何しましょう。抱き留められましたわ、リンダ。)
ルミナスの心臓は、悲鳴をあげた。
リンダは、頷いている。
「大丈夫かい、ルミナス。」
優しい声でオスカーは彼女を心配する。覗き込んで来る瞳は草原のように清々しかった。
「君が何かに足元を取られるなんて、珍しいね。」
オスカーは微笑む。
(えっ? 私、目眩と言いましたわよね。)
ルミナスはリンダを横目で見た。意思疎通でリンダも神妙な顔で頷いている。
「でも、ちょっとドジなルミナスを見れて俺も嬉しいよ。」
オスカーはルミナスがか弱いフリをしている事に気が付かない。
「ピンク薔薇のような健康的な頬、俺はルミナスをずっと見ていたい。」
うっとりとルミナスを見続ける。
オスカーは何時も青白いカノンの顔を見ていてうんざりだった。
『結婚するなら健康な女性。』
オスカーは心に決めていた。
そこに紹介されたルミナス。
バラ色の頬をして微笑む彼女に、オスカーは一目惚れをした。
(挙げ句、美人で凜々しく可愛らしい。絶対逃してなるものか。)
他の令嬢はわざとらしく病弱な振りをする。本物の病弱を知っているオスカーには、令嬢達の病弱は茶番であった。
(頭も良く、何より俺の心をトキメかせるのはルミナスだけ。)
オスカーはルミナスを抱き締めた。
「さあ、ルミナス。デートに行こう。」
(楽しいひとときを作って、俺に惚れて欲しい。)
オスカーは心の底から思っていた。
だが、ルミナスは混乱していた。
(話が違うわ。)
リンダの話では、体を心配して労ってくれる筈だった。
(心配しはくれたわ、でも意味が違う。オスカー様は、微塵も体の心配をしてくれない。)
ルミナスは目を漂わせリンダを見ると、リンダは涙を流していた。
(お嬢様。もうお嬢様に教えるモノは有りません。既にオスカー様を完璧に落としておられたとは。このリンダ、もう悔いはありません。)
ルミナスには何故リンダが涙しているのか、分からなかった。
「さあ、ルミナス。デートに、」
「でも、カノン様に悪いですわ。」
混乱したルミナスは、ついカノンの事を口にする。オスカーはその言葉に青ざめた。
「ルミナス、聞いてくれ。」
オスカーはルミナスの手を握り締め、二人してソファに座った。
「カノンは幼い頃から病弱だった。」
オスカーは辛そうに話す。
「俺は何時も、カノンの為に我慢をしてきた。」
オスカーは子供の頃の話をルミナスに話した。
遊びで何処かに行く時になるとカノンは熱を出し、楽しみにしていた事はことごとく駄目になった。
『カノンちゃんが、可哀想でしょう。』
そう言われると、オスカーは頷くしか無かった。
病気の子供も辛いが、傍に居る元気な子供も辛いのにその事に大人は気付かない。
「一度、使用人に遊園地へ連れて行って貰った事が俺にとっての楽しい思い出だ。」
オスカーは哀しそうに微笑んだ。
「オスカー様。」
「ルミナスは、俺を薄情かと思うかい? 」
ルミナスは首を振った。
ひとり辛い日々を過ごしてきたオスカーに薄情かと思う事は無い。
「君とは楽しい思い出を作りたいんだ。二人っきりで…… 」
真っ赤に成って、捨てられた子犬の様な目でルミナスを見つめるオスカー。
ルミナスは『きゅんきゅん』と胸をトキメかせた。
「今がチャンスなんだ! さあ、デートに行こう!! 」
オスカーは立ち上がり、ルミナスを促す。ルミナスも「はい。」と頷いた。
「ルミナス!! 」
オスカーは応接室の扉を勢い良く開けた、その顔は喜びに溢れていた。
「オスカー様。」
ルミナスはチラリとリンダを見る。
(今です、お嬢様。)
ソファに座るルミナスにリンダは静かに頷いた。
オスカーが近付いて来たところで、ルミナスは立ち上がった。
「あ、めまいが…… 」
額に片手をあてふらりとオスカーに縋り付くと、オスカーはしっかりとルミナスを抱き留めた。
(きやーー、如何しましょう。抱き留められましたわ、リンダ。)
ルミナスの心臓は、悲鳴をあげた。
リンダは、頷いている。
「大丈夫かい、ルミナス。」
優しい声でオスカーは彼女を心配する。覗き込んで来る瞳は草原のように清々しかった。
「君が何かに足元を取られるなんて、珍しいね。」
オスカーは微笑む。
(えっ? 私、目眩と言いましたわよね。)
ルミナスはリンダを横目で見た。意思疎通でリンダも神妙な顔で頷いている。
「でも、ちょっとドジなルミナスを見れて俺も嬉しいよ。」
オスカーはルミナスがか弱いフリをしている事に気が付かない。
「ピンク薔薇のような健康的な頬、俺はルミナスをずっと見ていたい。」
うっとりとルミナスを見続ける。
オスカーは何時も青白いカノンの顔を見ていてうんざりだった。
『結婚するなら健康な女性。』
オスカーは心に決めていた。
そこに紹介されたルミナス。
バラ色の頬をして微笑む彼女に、オスカーは一目惚れをした。
(挙げ句、美人で凜々しく可愛らしい。絶対逃してなるものか。)
他の令嬢はわざとらしく病弱な振りをする。本物の病弱を知っているオスカーには、令嬢達の病弱は茶番であった。
(頭も良く、何より俺の心をトキメかせるのはルミナスだけ。)
オスカーはルミナスを抱き締めた。
「さあ、ルミナス。デートに行こう。」
(楽しいひとときを作って、俺に惚れて欲しい。)
オスカーは心の底から思っていた。
だが、ルミナスは混乱していた。
(話が違うわ。)
リンダの話では、体を心配して労ってくれる筈だった。
(心配しはくれたわ、でも意味が違う。オスカー様は、微塵も体の心配をしてくれない。)
ルミナスは目を漂わせリンダを見ると、リンダは涙を流していた。
(お嬢様。もうお嬢様に教えるモノは有りません。既にオスカー様を完璧に落としておられたとは。このリンダ、もう悔いはありません。)
ルミナスには何故リンダが涙しているのか、分からなかった。
「さあ、ルミナス。デートに、」
「でも、カノン様に悪いですわ。」
混乱したルミナスは、ついカノンの事を口にする。オスカーはその言葉に青ざめた。
「ルミナス、聞いてくれ。」
オスカーはルミナスの手を握り締め、二人してソファに座った。
「カノンは幼い頃から病弱だった。」
オスカーは辛そうに話す。
「俺は何時も、カノンの為に我慢をしてきた。」
オスカーは子供の頃の話をルミナスに話した。
遊びで何処かに行く時になるとカノンは熱を出し、楽しみにしていた事はことごとく駄目になった。
『カノンちゃんが、可哀想でしょう。』
そう言われると、オスカーは頷くしか無かった。
病気の子供も辛いが、傍に居る元気な子供も辛いのにその事に大人は気付かない。
「一度、使用人に遊園地へ連れて行って貰った事が俺にとっての楽しい思い出だ。」
オスカーは哀しそうに微笑んだ。
「オスカー様。」
「ルミナスは、俺を薄情かと思うかい? 」
ルミナスは首を振った。
ひとり辛い日々を過ごしてきたオスカーに薄情かと思う事は無い。
「君とは楽しい思い出を作りたいんだ。二人っきりで…… 」
真っ赤に成って、捨てられた子犬の様な目でルミナスを見つめるオスカー。
ルミナスは『きゅんきゅん』と胸をトキメかせた。
「今がチャンスなんだ! さあ、デートに行こう!! 」
オスカーは立ち上がり、ルミナスを促す。ルミナスも「はい。」と頷いた。
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