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軟派な俺達は、不運から早く逃れたい。
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「ど、ど、どうして、嬢ちゃんがいるんだ!! 」
どもりながらもジェリーはトムに聞いた。
「オレが知りたいよ~!! 」
泣きながらトムは応えた。
「うるさいですわ! 」
カノンはむっくりと、起き上がった。
「嬢ちゃんどうしてここに? 」
ジェリーがおそるおそる聞いた。
「そこに馬車があったからですわ。」
カノンが部屋を抜け出したのは弟のアルトが出て直ぐだった。
アルトの騒ぎのお陰でカノンは使用人達に見つかること無く庭へと出れた。まさか昨日の今日で屋敷を抜け出すなど誰が思ったか、使用人はカノンの部屋を覗くとベットの膨らみで安心して扉を閉めた。
ベットの中には大きな猫のぬいぐるみが眠っているとは気づかずに。
カノンが部屋を出て裏門に着いたのは昼の少し前であった。疲れ果てたカノンの目の前に馬車が止まっていた、当然のように乗り込み中にあった汚い毛布にもそもそと潜り込んだ。
そして、今に至る。
「お兄様が婚約破棄をされましたのよ。」
カノンは嬉しそうに二人に話した。
「わたしく、お兄様が婚約した時に気が付きましたの。自分の気持ちに。」
カノンは乙女のように手を組み青白い頬を桜色に染めた。
「ずっと我慢をしてきましたの、二人の邪魔をしたり。」
((いや、我慢してないし!! ))
「分かってましたわ、本当なら二人で買い物に行ったり遊園地へ行ったりするのは。でもわたくし、妬ましかったのですわ。二人が楽しんでるのは。」
カノンは心情を二人に語った。
「でも昨日、とうとうお兄様は婚約破棄をされましたのよ。」
((いや、嬢ちゃんの所為だろ!! ))
「これで邪魔者は居なくなりましたわ。」
カノンは嬉しそうに言った。
「婚約破棄をされて、きっと傷ついてますわ。わたくしが、慰めて差し上げますの。」
カノンは手を組み祈るように目を閉じた。その顔はとても幸せそうだ。
「そして、わたくしの気持ちを伝えますの。きっと受け入れてくれますわ。そして二人で遊園地ヘ、観覧車に乗るのですわ。」
うっとりと夢見る乙女の顔で、青白い頬を桜色に染めた。
カノンは行きたい場所をトムとジェリーに伝えると、もそもそと汚い毛布に潜り込んだ。
「ついたら起こしてくださいませ。」
高揚しているカノンは、咳も血も吐かず言い終えて眠りに入った。
「ふふふふっ、お兄さ…… 」
呆然と立ち尽くすジェリーと腰を抜かしているトムは、嬉しそうなカノンの寝言を聞いていた。
「と、とにかく、さっさと送り届けて逃げよう…… 」
「ああ、そうしよう。」
トムが言うとジェリーは頷いて御者台に戻った。カノンの言った目的地に全力で馬を走らせた。
((一分でも、一秒でも早く。この嬢ちゃんから逃れたい!! ))
トムとジェリーの気持ちは一緒だった。
カノンが居なくなったティアック伯爵家は右往左往していた。
もしかしたら、何時ものようにそこら辺で倒れているのかもしれないと屋敷中を探し回っていた。
しかし、何処にもいない。
「姉上はきっとオスカー様のところです!! うわあああああ~ん!! 」
アルトは泣きながら叫んだ。
「姉上は、オスカー様が好きなのです!! 幸せにしてください!! 」
「な、何を言ってるんだアルト君。」
「そうよ、落ち着いて…… 」
ティアック夫妻は、驚いてアルトに聞き返した。まさかカノンが、オスカーを好きななんて信じられなかった。
「うわあああああ~ん!! 姉上はオスカー様を慰めて、自分の気持ちに気付いて貰うのだと言ってました!! だから、姉上とオスカー様を結婚させてください!! 」
アルトは泣きわめきながら、夫妻に訴えかける。
「嘘だろ…… 」
「そんな…… 」
頭を抱えるティアック夫妻と、呆然と立ち尽くすしているタクト。
(カノン様が…… オスカー様を好いていらっしゃると。)
タクトは力が抜けるようにソファーに腰を下ろした。
静かな応接室に、アルトの泣き叫ぶ声だけが響いていた。
どもりながらもジェリーはトムに聞いた。
「オレが知りたいよ~!! 」
泣きながらトムは応えた。
「うるさいですわ! 」
カノンはむっくりと、起き上がった。
「嬢ちゃんどうしてここに? 」
ジェリーがおそるおそる聞いた。
「そこに馬車があったからですわ。」
カノンが部屋を抜け出したのは弟のアルトが出て直ぐだった。
アルトの騒ぎのお陰でカノンは使用人達に見つかること無く庭へと出れた。まさか昨日の今日で屋敷を抜け出すなど誰が思ったか、使用人はカノンの部屋を覗くとベットの膨らみで安心して扉を閉めた。
ベットの中には大きな猫のぬいぐるみが眠っているとは気づかずに。
カノンが部屋を出て裏門に着いたのは昼の少し前であった。疲れ果てたカノンの目の前に馬車が止まっていた、当然のように乗り込み中にあった汚い毛布にもそもそと潜り込んだ。
そして、今に至る。
「お兄様が婚約破棄をされましたのよ。」
カノンは嬉しそうに二人に話した。
「わたしく、お兄様が婚約した時に気が付きましたの。自分の気持ちに。」
カノンは乙女のように手を組み青白い頬を桜色に染めた。
「ずっと我慢をしてきましたの、二人の邪魔をしたり。」
((いや、我慢してないし!! ))
「分かってましたわ、本当なら二人で買い物に行ったり遊園地へ行ったりするのは。でもわたくし、妬ましかったのですわ。二人が楽しんでるのは。」
カノンは心情を二人に語った。
「でも昨日、とうとうお兄様は婚約破棄をされましたのよ。」
((いや、嬢ちゃんの所為だろ!! ))
「これで邪魔者は居なくなりましたわ。」
カノンは嬉しそうに言った。
「婚約破棄をされて、きっと傷ついてますわ。わたくしが、慰めて差し上げますの。」
カノンは手を組み祈るように目を閉じた。その顔はとても幸せそうだ。
「そして、わたくしの気持ちを伝えますの。きっと受け入れてくれますわ。そして二人で遊園地ヘ、観覧車に乗るのですわ。」
うっとりと夢見る乙女の顔で、青白い頬を桜色に染めた。
カノンは行きたい場所をトムとジェリーに伝えると、もそもそと汚い毛布に潜り込んだ。
「ついたら起こしてくださいませ。」
高揚しているカノンは、咳も血も吐かず言い終えて眠りに入った。
「ふふふふっ、お兄さ…… 」
呆然と立ち尽くすジェリーと腰を抜かしているトムは、嬉しそうなカノンの寝言を聞いていた。
「と、とにかく、さっさと送り届けて逃げよう…… 」
「ああ、そうしよう。」
トムが言うとジェリーは頷いて御者台に戻った。カノンの言った目的地に全力で馬を走らせた。
((一分でも、一秒でも早く。この嬢ちゃんから逃れたい!! ))
トムとジェリーの気持ちは一緒だった。
カノンが居なくなったティアック伯爵家は右往左往していた。
もしかしたら、何時ものようにそこら辺で倒れているのかもしれないと屋敷中を探し回っていた。
しかし、何処にもいない。
「姉上はきっとオスカー様のところです!! うわあああああ~ん!! 」
アルトは泣きながら叫んだ。
「姉上は、オスカー様が好きなのです!! 幸せにしてください!! 」
「な、何を言ってるんだアルト君。」
「そうよ、落ち着いて…… 」
ティアック夫妻は、驚いてアルトに聞き返した。まさかカノンが、オスカーを好きななんて信じられなかった。
「うわあああああ~ん!! 姉上はオスカー様を慰めて、自分の気持ちに気付いて貰うのだと言ってました!! だから、姉上とオスカー様を結婚させてください!! 」
アルトは泣きわめきながら、夫妻に訴えかける。
「嘘だろ…… 」
「そんな…… 」
頭を抱えるティアック夫妻と、呆然と立ち尽くすしているタクト。
(カノン様が…… オスカー様を好いていらっしゃると。)
タクトは力が抜けるようにソファーに腰を下ろした。
静かな応接室に、アルトの泣き叫ぶ声だけが響いていた。
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