異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)

愛飢男

文字の大きさ
57 / 266
第2章……迷宮都市編

52話……クリードの悩み相談室(下)

しおりを挟む
 なんとかその場は悩みを聞いてあげていただけだと押し通して詳細は語らずに済んだ。
 サーシャとソフィアはそれで納得してくれたがアンナは終始ニヤニヤしていてたまに変なことを言ってくるので正直腹が立ってしまった……

 それからみんなと別れて迷宮へ、昨日と同じように全員を連れて迷宮に入って小遣いを渡す。
 露店へのおすそ分けは無しだ。

 それでから今日も小走りで街に戻る。
 夕食まで軽く剣を振りトレーニング。

 夕食の時間になりサーシャたちが呼びに来たので共に食堂へ行き夕食を食べながらみんなの今日の行動を報告し合う。
 全員特にこれと言った出来事も起こっていないようでそんなに話すこともなかった……

 サーシャたちと別れ部屋に戻る。
 ベッドに寝転がりさてどうしようかと考える。

 いつもやっている光源の魔法を使いながら考えるがやることは無い。
 風呂でも行こうかな……

 体を起こして立ち上がろうとしたタイミングで扉をノックされた。
 誰だろ?  サーシャが風呂に誘いに来たのかな?  それともケイトが愚痴りに来たのかな?

「はいはいどなた?」

 特になんの警戒もせず扉を開くと、そこにはどこかで見た大男が立っていた。

 えっと……

「夜分にすまない、少し話したいことがあるんだが……」
「えっと……間違ってたら申し訳ないけど、ディムだっけ?」

 確かケイトのパーティの剣を持ってた方の戦士だよな?

「あぁ、覚えていてくれたのか、間違ってない」
「それは良かった。それで?  話したいことって?」

 部屋に入る?  とジェスチャーするがディムは首を横に振った。

「ここではちょっと……な。クリードさんこの後なにか予定はあるのか?」
「呼び捨てで構わないよ。予定は特に無いな、暇だから風呂でも行こうかと思ってたところだよ」
「それは申し訳ない、良ければ付き合ってくれないか?  もちろん支払いは持つ」

 ディムはクイッと盃を傾けるジェスチャーをしてきた。
 飲みか……酒は得意じゃ無いんだけどなぁ……

「別にそれはいいけど俺あんまり酒は得意じゃないんだ。軽くなら付き合うよ」
「ありがたい。じゃあ下でクレイとロディも待っているから行こう」

 ディムと一緒に1階に降りると言葉通りクレイとロディが俺たちを待っていた。

「お、クリードさん、来てくれたか」
「その説はお世話になりました」

 クレイは軽く手を上げロディは深々と俺に向かって頭を下げた。
 クレイもそれを見て慌てて頭を下げる。

「あー、いいよ気にしなくて。礼はもう受け取ってるし、出してくれるんだろ?」

 2人に頭を上げさせて宿を出る。
 公衆浴場とは違う方向へしばらく歩いて1件の酒場にたどり着いた。

「ここだ、クリードさんは酒が得意ではないとのことだからツマミの美味い店にしてみた」

 ここに到着するまでに呼び捨てで構わないと言ったのだが命の恩人だしと受け入れてもらえなかったので好きに呼んでもらうことにしてある。

 店内に案内され適当に注文する。

 まず届いた酒を掲げて乾杯、しばらくは雑談が続いた。
 しかしある瞬間に空気が変わってここから本題に入ることが予想できた。

「クリードの兄貴、話したいことってのはケイトのことなんすよ」

 だろうね。
 口を開いたのはクレイ、こいつの口調ってなんか軽いんだよね。
 それに兄貴って同い年なはずなんだけどね?

「ケイトがクリードさんに剣を教えてるのも知っているし2人でグレートウルフを討伐したのも聞いている。その上で頼みがある」

 言葉を続けたのはディム、ソフィアとは違った真面目さを感じる男だ。

「ケイトをクリードさんのパーティに入れてあげてもらえませんか?」

 最後に口を開いたのはロディ。
 ロディは誰に対しても敬語らしいので言及はしない。

「ケイトをうちに?」
「あぁ、恥ずかしい話ではあるが、俺たちではケイトの仲間としての力が全く足りていない」
「俺たちじゃ正直1対1じゃオークが限界、ハイオークと戦うなら最低でも2人は居ないと勝てないんよ」
「オーガに至ってはケイト抜きだと全員でかかっても勝てないでしょうね……」
「クリードさんたちからすればオークもハイオークも変わらないだろうが俺たちからすれば全然違う。クリードさんたちやケイトのレベルには全く及ばない……」

 まぁ確かにオークもハイオークも変わらないけど……
 でもソフィアもそんな感じだよ?  ソフィアも一般職だからディムたちとそうは変わらないと思うんだけど……

「ちなみにディムたちのレベルは?」
「俺が31でクレイが30、ロディは29だったか?  ハンスとミナもそれくらいだ」
「そうか……」

 なら5階層時点でのソフィアアンナとのレベル差もあまり無いのになんでだろう?
 これ以上聞くのはさすがに失礼か……

「正直ずっと感じてはいましたが今までなぁなぁで来てしまいました。ハンスとミナも冒険者を引退して村に戻ると言っていますので今が精算するタイミングなのかなと思うのです」
「なるほどね……それでもしケイトが抜けたとしてお前たちはどうするんだ?」
「俺らは俺らで冒険者続けるよ。3階層か4階層なら3人でも何とかなると思うし」
「そうだな、そこでレベルを上げて装備を整えて……いつかは5階層でも戦えるようになってケイトを驚かせようと思っている」

 3人の目を順番に見ていくが……全員本気か……

「話は分かった。けど俺の一存で決められることでもないし明日仲間に確認してみるよ」
「恩に着る」

 この場では決められないと答えると3人は揃って頭を下げた。

「でもそっちは大丈夫なのか?  ケイトは頷くのか?」

 サーシャたちは……多分大丈夫だと思うけど聞いてみないと分からない。
 それよりケイトだ。
 朝あれだけ悩んで泣いていたケイトがどんな答えを出すのか俺には分からない。

「それはこっちでなんとかする、クリードさんは確認を頼む」
「分かった、じゃあそういう事で」

 話もとりあえず纏まったのでまた雑談に戻る。
 みんなの失敗談を聞いて笑ったり、逆に初めて戦った時ゴブリンの返り血を浴びるのが嫌で腰が引けてリンに怒られた話をするとかなり場は盛り上がった。

「いやー兄貴も面白いっすわ!  そろそろいい時間ですし……」

 解散かな?

「クリードの兄貴ィ、コレは好きですかぃ?」

 クレイは悪い笑みを浮かべながら周りから見えないように小指を立てて見せてきた。
 ほぅ?

「クレイくぅん、ちょーっと俺には難しいから詳しく教えて貰えないかな?」

 おそらく俺も同じような笑みを浮かべていることだろう。

「へへ、いい店あるんすよ」
「へぇ……ディムとロディは行くのか?」
「兄貴ィ、こんな真面目な顔しといて2人とも大好きですぜ?」
「クレイにだけは言われたくありませんね」
「そうだな」

 2人もニヤニヤしながら会話に入ってくる。

「で、おいくらだい?」
「クリードさんの分は俺たちが払おう。ちなみに1人大体銀貨2枚くらいだな」

 ふむふむ……

「それは……きみらが知ってる最高の店かな?」
「いや……そういう訳では……」
「ふむ?  ところでその最高の店とは一見さんお断りかね?」
「そうだな」
「では言ったことは?」
「ある」

 つまりディムたちと行けば俺も入れる、と。

「そこのお値段は?」
「1人……大銀貨2枚ほど……完全に予算オーバーだ……」
「ちなみに予算は?」
「大体1枚だな……」

 なるほどなるほど……

「俺さぁ、思うんだけど」
「なにをだ?」
「さっきも言ったけど助けた分はお礼貰ってるからチャラ。今回呼び出された件もここの代金でチャラ。でもまだ残ってるんだよね」
「え?  なんだろ?」

 クレイは首を傾げるがまぁ分からないだろうね。今思いついたし。

「俺ってそういう店全然知らないからさ?  その情報教えてもらう……かつ一見さんお断りの店に紹介してもらうとなるとそれなりの対価を払わないといけないと思うんだ」
「なるほど……この情報はそれなりの価値がありますよ?  さらに紹介料もとなると……」
「お、おいロディ」

 ロディは俺が何を言わんとしているのかわかった様子、伊達にメガネは掛けてないな。
 対してクレイは分かってないようだ。

 俺は【無限積載】から大銀貨を3枚取り出して3人に配る。

「これで足りるかね?」
「もちろんだ」

 ニヤリとしながら大銀貨を受け取るディムとロディ。
 そこでようやく俺の意図に気付いたのかクレイもニヤッと口角をあげた。

「これで全てチャラ、俺とお前らは対等だ」

 自分の前にも大銀貨を2枚出現させる。

「ふふ……クリードさんは話がわかるお方のようだ。では……行こうか?」

 飲み代を奢ってもらい俺たちは夜の闇に溶け込んで行った。
しおりを挟む
感想 194

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

元皇子の寄り道だらけの逃避行 ~幽閉されたので国を捨てて辺境でゆっくりします~

下昴しん
ファンタジー
武力で領土を拡大するベギラス帝国に二人の皇子がいた。魔法研究に腐心する兄と、武力に優れ軍を指揮する弟。 二人の父である皇帝は、軍略会議を軽んじた兄のフェアを断罪する。 帝国は武力を求めていたのだ。 フェアに一方的に告げられた罪状は、敵前逃亡。皇帝の第一継承権を持つ皇子の座から一転して、罪人になってしまう。 帝都の片隅にある独房に幽閉されるフェア。 「ここから逃げて、田舎に籠るか」 給仕しか来ないような牢獄で、フェアは脱出を考えていた。 帝都においてフェアを超える魔法使いはいない。そのことを知っているのはごく限られた人物だけだった。 鍵をあけて牢を出ると、給仕に化けた義妹のマトビアが現れる。 「私も連れて行ってください、お兄様」 「いやだ」 止めるフェアに、強引なマトビア。 なんだかんだでベギラス帝国の元皇子と皇女の、ゆるすぎる逃亡劇が始まった──。 ※カクヨム様、小説家になろう様でも投稿中。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

処理中です...