フィライン・エデン Ⅲ

夜市彼乃

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11.七不思議編

53宣誓センセーション ③

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***

 由実、美由。真夜中フェアリーテイルの正体、わかったよ。
 それはね、こことは違う異世界、フィライン・エデンの悪者、クロが発した光の玉だったんだよ。
 ――などと言うわけにいかないので。
「誰かが蛍ば飼っとったみたいで、逃げ出したのが飛んどったとよ」
「そーそー、蛍なんて初めて見たなー」
「ね、ねー」
 祝日を経て四月最終日、作業場であるグラウンドにて、雷奈たちは由実と美由にそう報告した。もうフェス本番まで間もなくとあって、設営準備か、折りたたまれたテントやビニール袋、件の空気砲、肩掛けひものついた四角いケースなども置かれている。
 元演劇部の雷奈はともかく、若干棒読み感が抜けない氷架璃と、棒読みにしかならないので一言だけしか任されなかった芽華実は、もし異論反論があれば雷奈に任せようと思っていたが、取り越し苦労だった。
 二人は「ええっ、蛍!?」「見たかったぁ!」「今度見に行く!?」とすっかり信じ切っているようだった。
 そこに水をぶっさす保護者・朝季。
「ダメよ、あんたたちのことだもの、学校の中に忍び込みかねないでしょ。あと、暗いから危ないってば」
「えー」
「ぶー」
 仁王立ちする朝季に、由実と美由はしぶしぶ断念してくれたようだ。
 昨日、一昨日と念のため見張っていたが、クロは出現しなかったので、ここからは追い払うことができたものと思われる。だが、万一戻ってきた場合、由実と美由と鉢合わせしては困るので、朝季の制止はありがたい。そして、雷奈たちは校内に忍び込んだなど、口が裂けても言えない。
「それに、逃げ出しちゃった蛍は、エサがなくてじきに死んでしまうんじゃないかしら」
 いつものように私服姿で混じっているせつながそう言うと、生物が得意な由実が「はっ!」と絶望的な顔をした。
「蛍の成虫にエサは不要……だけど必要不可欠なのは、きれいな水……!」
「この辺にきれいな水があるところなんて……」
 彼女の言葉を聞いた美由が、由実と顔を見合わせる。数秒後、全てを悟った二人は、静かに手を合わせて瞑目した。朝季もぱちん、と手を合わせたが、二人とは違って音を立てたそれは、区切りの合図だ。
「そういうわけで、真夜中フェアリーテイルとやらは終幕。飼い主さんには気の毒だけれどね。さて、それじゃあ今日は……」
「氷結ウィッチクラフトだね!」
 言葉を遮られた朝季が、口を開けたまま固まる。黙祷を終えた二人は、そんな朝季を意にも介さず、声をそろえてタイトルコールを唱えると、おなじみのプレゼンテーションを開始した。
「光丘中学校の初代理科の先生は!」
「実は古(いにしえ)の氷魔法使いで!」
「今も生きながらえて、時折この学校に帰ってきて!」
「氷魔法の研究を続けている!」
「だから最近、時々薄ら寒い空気が流れてくる!」
「雷奈ちゃんたち、次はどうか、その氷の魔女を……」
「今日は買い出しにつきあってもらえない?」
 にこやかに意趣返しをした朝季に、今度は二人が固まった。やがて融解すると、「ええーっ」と非難の声を上げる。
「なんでよー」
「何だかんだで最近、ろくにフェスの準備が進んでないのよ。巻きでいくわよ」
「雷奈ちゃんたちは怪談解決担当だよー?」
「ボランティア登録上はフェスの手伝い目的でしょうが」
 それに、と朝季は突然、神妙な顔をした。
「先生から説明があったでしょう。最近この辺りでボヤや犬の行方不明事件が起きてるって。不審者の可能性が高いから、注意しなさいって」
「そっか!」
「ってことは!」
 雷奈たちが今日のホームルームで受けたものと同じ注意喚起に、さしもの由実と美由も慎重さの片鱗を見せる――と思いきや、再び輝かせる四つの瞳。
「ドイツで大勢の子供たちを誘拐した、ハーメルンの笛吹き男!」
「その魂が今、光丘によみがえり!」
「犬にしか聞こえない犬笛の音で、飼い犬をことごとく連れ去っていく!」
「その名も、犬笛パイドパイパー!」
「そして、かつて仲間の裏切りによって焼死した消防隊員が!」
「怨霊となってよみがえり!」
「怨念を晴らすべく、そこら中の家に火をつけて回っている!」
「その名も、怨讐インフェルノ!」
「この二つの解決が先決ってことだね!」
「違うってば」
 はあ、と朝季が盛大に息を吐く。雷奈たちが教員だったならば、朝季に子守り手当の平常点をあげていただろう。
 ハーメルンの笛吹き男がわざわざ光丘によみがえる意味が分からないし、裏切った仲間への怨念から赤の他人の家を燃やして回る意味も分からない。だが、そんな指摘をする気力は、もはや朝季にはない。
「校外で活動するなら、複数人で行動しなくちゃってこと。何かあっても、助けを呼べるように。そのためには人手が必要なのよ。だから申し訳ないけど、雷奈たちにも買い出しを手伝ってもらわなきゃって話」
 聞けば、目下、実験に必要な道具が練習やリハーサルの分しかないため、二手に分かれて買い出しをする必要があるという。かたや、フェルトとアクリル接着剤と釘を買いに大きめの百円ショップに。かたや、塩とバナナと瓶入りのジュースを買いにスーパーに。
「って、これで何の実験するっちゃか?」
「いい機会だから、リハーサルも兼ねて見せてあげましょう」
 朝季は、置いてあったビニール袋の中からフェルトと紙コップ、そしてはさみを取り出すと、紙コップを深さが三分の一になるように切った。そこに、「今回は簡易版だけど」と前置きして、十センチ四方のフェルトに切り込みを入れ、両端を噛み合わせて筒状に形作ったものを立てた。そして、紙コップの中にアクリル接着剤の液をそっと注いでいく。
「しばらく待ってると、フェルトに下から液がしみこんでいく。この接着剤は常温で気化するの。気化熱って聞いたことあるでしょ? 物質が気体になるときに、周囲の熱を奪うの。この接着剤もそう。だから、フェルトにしみ込んだ接着液は、そこで気化して周囲の熱を奪う。すると、周りの空気が冷やされて、含まれていた水蒸気が凍って……」
「おおっ!」
 雷奈たちは思わず声を上げた。フェルトの表面に白いものが現れ始めたのだ。水蒸気が凍ってできた霜だ。
「すごい、この気温で氷の粒が!」
「本番は緑色のフェルトをクリスマスツリーの形に切って、針金スタンドを使って立てるの。そうしたら、ツリーに雪が積もったみたいに見えるでしょ?」
「なるほど、それでフェルトやらアクリル接着剤やらが必要なんだな」
「お次はこっちー!」
 ころっと態度を変えて便乗した由実が、別のビニール袋からボウルを取り出した。黒いビニール袋を、ボウルにふたをするようにぴんと張ってテープで固定している。
「その上に、塩をまいて……雷奈ちゃん、ここに向かって声を出してみて」
「えっ?」
 食塩をまいたビニール袋の膜に声を? と戸惑いながらも、雷奈は言われたとおりに「あー」と発声した。すると、塩が膜の上で振動し、奇妙な文様を描き始めた。
「うお、なんだこりゃ」
「模様が……!」
「クラドニ図形っていってね。声は空気の振動でしょ? その振動がビニール袋の膜を揺らして、塩を跳ねさせて動かしてるんだけど、人によって違う模様ができるのが面白いんだよ!」
「塩はこれに使うのね。バナナと瓶入りのジュースは? 何か飲み物でも作るの?」
 芽華実が尋ねると、美由が吹き出しながら首を振った。
「それも楽しそうだけど、ジュース屋さんは別のクラス。本当に欲しいのはジュースじゃなくて瓶で、バナナとは違う実験に使うの」
「瓶は過冷却水の実験に使うのよね。バナナは……せつな、今日、あれ持ってきてる?」
 朝季がせつなを振り返ると、せつなは肩をすくめて笑った。
「バナナはないけど、そっちは念のため持ってきたわ」
「よかったら、見せてあげて。バナナの代わりに、さっき使ったフェルトを使っていいから」
「必要最低限で開栓したいところだけどね」
 一度だけよ、と前置きすると、せつなはビニール袋と一緒に置いていた、肩掛け紐のついたボックスに手をかけた。運動部のマネージャーが飲み物を運ぶときに使っている保冷バッグに似ている。口ぶりからして、このバッグはせつなが調達してきたものらしい。
 留め具を外し、ふたを開けると、中には緑色のレンズをしたゴーグルと軍手、そして銀色の、太い水筒のような容器が詰められていた。せつなはまずゴーグルをかけると、「これは外しておきましょう」と首に巻いていた紐チョーカーを外し、軍手をはめる。
「少し離れててね」
 せつなにフェルトを渡した朝季が、指示通り後ずさって距離をとるのを見て、雷奈たちも三歩ほど下がった。せつなは、それを確認すると、銀色の容器のふたを開け――たちまち白い煙が上がる容器の中に、軍手をはめた手でフェルトを突っ込んだ。
 まもなくして取り出されたフェルトには、さっきとは比べ物にならないほどの霜がつき――近づかなくともわかるほどに、カチコチに凍っていた。
 この現象を、雷奈たちも映像で見たことがある。
「もしかして、あの容器の中身は……!」
「そう! せつなちゃんが特別な許可を得て借りてきてくれた!」
「せつなちゃんだけが扱うことを許された!」
 テンション爆上がりの由実と美由が、「せーの」で両手をせつなに向ける。
「液・体・窒・素! です!」
 ぱちぱちー、と手と口で拍手をする由実と美由に、栓を閉めたせつなが軍手を外しながら苦笑する。
「とまあ、こんな感じで受けがいいので、バナナでも凍らせて釘でも打とうかって話よ」
 チョーカーを結びなおし、ゴーグルを外すせつなに、雷奈は半ば呆然と問う。
「液体窒素って、学校で借りられるとね……」
「由実の言う通り、私のとこは特別なの。だから、雷奈たちは触っちゃダメよ。私が怒られるんだから」
「さあ! そして!」
「最後に!」
 最後に何だ、と振り返った雷奈たちに、砲口が向けられていた。彼女らがせっせと運んできた段ボールは、今や立派な空気砲と相成ったのだ。
「この線香の煙いっぱいの箱をー?」
「両側から叩くとー?」
「ちょいちょいちょい!?」
 先ほどの液体窒素コールの前から、すでに準備していたらしく、いつの間にか線香の煙で満たされている空気砲を、雷奈たちが逃げる隙も与えず撃つ。
「どーん!」
「非人道な!?」
 線香のかぐわしい香りは雷奈、氷架璃、芽華実をまとめて襲った。
「げほっ、何すんだよ!」
「いい香りでしょー?」
「いい香りっちゃけど! むせる! げっほ」
「厳選したもんねー、香り」
「迷ったよねー、百均で」
 本人たちも砲口に回り込んで、中から漂ってくる煙を手でかき寄せてくんくんと楽しむ。そんな彼女らに気づかれないよう、空気砲の後ろに回った雷奈が、しっぺ返しに撃ってやると、由実と美由は仲良く「うぎゃー!」とひっくり返った。そこら一帯が、線香の香りまみれになった。
 はしゃぐ彼女らを、まるで保育所の先生のようにぱんぱんと手を叩きながら、朝季が切り上げさせた。
「はいはい、そこまで。リハーサル終わり。それじゃ、買い出しに行ってらっしゃい。……悪いけれど、雷奈たちもお願いしていいかな」
「よかばってん……朝季とせつなは?」
 朝季と、その後ろで「あら、私も」と服についた白檀の香りをかぐせつなは、動く様子がない。聞けば、ビラやポスターの作業も間に合っていないらしく、二人その作業を手掛けるという。
 「領収書を忘れないでね」と手を振る朝季と別れて校門を出た雷奈たちは、「よかったら五の怪の聞き取りしてきてね!」「余裕あったら六の怪の聞き取りもしてきてね!」と手を振る由実と美由とも別れ、「……時間があったら交番にでも寄るか」という合意のもと、ひとまずスーパーに向かった。

***

 買い出しを終えた三人は、結局、交番には寄らずに光丘中学校への帰路をたどっていた。予想以上に時間がかかってしまったのだ。
 買い出しの所要時間の大部分は、瓶ジュースの選定が占めていた。なにせ、瓶ジュースの購入理由といえば、そもそもは空き瓶が欲しかったからであって、そのためには中身を飲み干さなければならない。逆に言えば、フェス委員及びボランティアには、学校の経費でジュースを飲み干す権利が与えられる。
 喜び、ジュースの種類を厳選しだした食いしん坊が誰かは言うまでもない。
「雷奈……もし朝季に『遅い!』って怒られたら、ありのままを話すからな……?」
「ごめんったい……」
「あ、朝季も怒ることはないわよ、きっと……。あ、でも、それを理由に聞き取りをしてこなかったって知ったら、由実と美由はなんて言うかしら……」
「ごめんったい……」
 リンゴジュースとオレンジソーダとコーラを手にしてるんるんだった雷奈も、今は我に返って青菜に塩だ。正直、五の怪・犬笛パイドパイパーと六の怪・怨讐インフェルノは、学校の怪談ですらなく、警察に一任するような案件だと思うのだが、期待に応えられずがっかりされるのは引け目を感じる。
「ひとまずは、由実と美由にはレジが混んでたけん時間がなくなったってことに……」
 着メロが、鳴った。
「ん、誰? ……って、由実!? 嘘っ、どっかで聞いとっと!?」
 スマホ片手に、髪をぶんぶん振り乱して辺りを見回す。後ろの電柱の影から由実がうらめしそうにこちらを凝視していた……なんてことはなく。
「由実のことだわ、もし近くで聞いていたなら、電話なんかせずに飛び出してくるわよ」
「それより、早く出てやれよ」
 着信音はずっと鳴り続けている。メッセージではなく通話ということは、考えて書く文字ではなく、咄嗟の声でしらを切らねばならない。
「大丈夫、大丈夫……。よし、女優・雷奈、いっきまーす」
 通話ボタンをタップした雷奈は、罪悪感による緊張を押し込めて応対した。
「も、もしもしー? どげんした……」
『雷奈ちゃんっ! 助けて……助けてっ!』
 ――雷奈の頬に緊張どころではない戦慄が走った。
「由実……!?」
『美由が! 犬に……血が!』
「どうした、雷奈!?」
 スマホからきんきんと響く声は、隣にいる氷架璃と芽華実の耳にも届いていた。雷奈は表情で二人に緊急事態を伝えつつ、ジェスチャーで少し待つように求めてから、パニック状態の由実から状況を聞き出した。
 やがて、通話を終えた雷奈は、険しい顔で、二人に事態を簡潔に告げた。
「美由が大ケガしとる……犬の群れに襲われて!」
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