フィライン・エデン Ⅲ

夜市彼乃

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13.水鏡編

65雨祓いのプロシージャ ④

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***

 ワープフープの向こうの状況を、昨今の言葉で言い表すならば、「災害級の豪雨」と称するべきだろう。
 秋の午後五時という時期柄の陽の低さを考慮しても、まるで世界が海底に沈んだかのように暗く、あまつさえ叩きつけるような大雨によって、視界は眼下の町を見渡すことも難しい有様だ。
時折テレビのニュースで目にする豪雨報道と同じ光景。だが、その只中に立つというのは、画面越しに見る何倍もの恐怖を感じた。体に叩きつける雨粒の痛み、どこへ行こうと逃れられない激しい雨音、変わり果てた景色。その全てを、本能が怖がっている。
 だから、ワープフープから少ししか離れていない芝の上に座す黒幕の姿は、不気味なほど自然に溶け込んで見えた。
「まさか、そちらから現れるとは」
 振り返った黒猫は、ワープフープを一瞥した。「そちらから」というのは、「雷奈たちの方から」ではなく、「ワープフープを通って人間界から」という意味らしい。それゆえ、ワープフープに背を向け、崖から眼下の町を見下ろすように座っていたのだろう。
「……シズク」
 鏡像騒動の元凶。水を操るチエアリ。
 降りしきる大雨が、敵のフィールドであることをいやでも思い知らせてくるこの場所が、彼女との決戦の舞台だ。
「具現化したコピーは、全て倒されてしまったようですね。それすなわち、誰一人としてコピーを受け入れられなかったということ……これが実験の結果というわけですか」
 シズクは四足で立ち上がると、まるで全てを俯瞰していたかのような口ぶりで言った。
「私が作り出した水は、いわば私の目であり、耳でもあります。コピーの行方は全て把握していますよ」
「なら……わかるっちゃろ」
 雷奈が静かに前に出た。しずくの伝う拳は、強く握られ、雨に打たれる寒さとは真逆の熱に震えている。
「みんなが、どんな思いでいたか……何ば思って戦って、何ば思って消えていったか……!」
 雷奈は全ての鏡像の最後を見届けたわけではない。けれど、きっと彼らの胸の奥底に横たわる気持ちは同じだった。なぜなら、雷菜はこう口にしていたから。
 ――私たちの戦いの目的は、みんな同じ。あんたたちを亡き者にして、私たちが本物になりかわる。
 彼らは皆、本物になろうとしていた。偽者として、否定される存在として生み出されてなお、それでも必死で自分の存在意義をつかもうとしていた。
 だから、最期に胸の中に浮かんだ思いは、きっと一つだ。
 ――ああ、やっぱり、偽者じぶんは本物になれなかった。この世界で生きる権利を、得られなかった。
「この雨ば降らせとるってことは、あんなひとたちばもう一度生み出そうとしとるってことっちゃろ。あんな……生まれながらに自らの運命を否定されるひとたちを……!」
 シズクはすました顔だ。雷奈達が自分の前に立ちはだかる動機を理解したような表情だった。
それを肯定するように、雷奈ははっきりと言い渡した。
「あんたを、倒す。もう、誰もあんなふうに悲しまんように」
 凛とした宣戦布告。それは一瞬、世界を覆い尽くす雨音さえもかき消したように聞こえた。
 口上が終わると共に、再び雨音に包まれる。その生みの親であるシズクは、静かに雷奈の後ろの面々にも視線を滑らせた。
「そして、あなた達も私への抵抗の意志を同じくする者……と」
「当たり前だ! 私らだって雷奈に同感だ!」
「命を、存在を弄ぶような真似をしないで!」
 氷架璃と芽華実に続き、木雪とユメも声を上げる。
「戦闘員ではないとはいえ、私も希兵隊員です。執行部の皆さんが動きづらい今、手をこまねいて見ているわけにはいきません」
「わたくしも! 立場は違えど、ここちゃんと同じくですぅ!」
「なるほど、希兵隊まで混ざっていましたか」
 薄く笑い、シズクは瞑目する。
「皆様に直接手を下すつもりはなかったのですが……私の知的好奇心にとって障壁となるならば、排除しなければなりません」
 その婉曲的な抹殺宣言を聞いて、雷奈達の間に緊張のノイズが走った。三人はすでに猫力を解放している。すぐにでも戦えるが、先手に出るか、手の内をうかがうか。
その短い逡巡の間に、シズクはおもむろに前足を上げた。
 ハッとした時には、そこから放たれた水は一瞬で間合いを無にし、雷奈を大きく突き飛ばしていた。
「わぅッ……!?」
「せっかくなので、これも実験にさせていただきましょう」
 地面を転がっていった雷奈は、ちくちくとした感触を残す芝に手をついた。あなどれぬ水の大砲の威力と、雷菜との戦いのダメージが重なり、体を起こすのもやっとの雷奈の耳に、直後、友人たちの悲鳴が刺さった。
「!?」
 起き上がる途中の態勢のまま、顔を跳ね上げる。その目に映る光景に、呼吸すら奪われた。
 崖側を背に立った木雪とユメが、己の正面に現れたそれを見て絶句していた。彼女らの目の前、氷架璃と芽華実がいたところには、水の檻ができていた。
 檻というより、箱に近いかもしれない。三メートルほど上の中空から突如湧き出した水流が、幅にして約二メートルの壁を為していた。それが四辺を囲み、氷架璃と芽華実を閉じ込めているのだ。水流といっても、生易しいものではない。ジェット噴射のごときあまりにも強い勢いは、潜り抜けようとする者全てを外へ出る前に地面に叩きつけてしまうだろう。
 さらに、壁を為す四辺の激流は、その内部に水を貯留していっていた。すでに、水の壁越しにぼんやりと見える二人の膝辺りまで水位を上げている。水のみを用いた、まさに完全なる水攻めだ。
「氷架璃、芽華実っ……!」
 雷奈は得意の雷術を放とうとして、水は電気を通すという知識をすんでのところで思い出し、星術に切り替えた。
「天、万の席、穣の敷、たくみを乞う五色の糸、と輪を分かち、べくして律して青く梳け! 隔て、銀漢ッ!」
 星々が成す急流で水の壁を打ち破ろうとする。だが、恐ろしいことに、凄まじい勢いで流れ落ちる水は、崩れることなく銀漢を弾き返した。小さな星屑たちは、散り散りになって霧消していく。
 雷奈は愕然として、構えた腕を下ろすことすら忘れた。彼女の知る水はこんなにも凶暴な様態をしていない。これは水のようで水でない何かなのではないか。そうまで思えるほどに、常識外に苛烈な流水だった。
 その間にも、水の牢の中では、焦りだす芽華実と、彼女を落ち着けながらいよいよ立ち泳ぎの準備に入ろうとする氷架璃の胸元へと水位が迫っていた。
「では、草術なら!」
 雷奈が敗北した壁と隣り合う面の前に立っていた木雪が、刀印を結んだ。上品な声が、攻撃を命ずる苛烈な呪文を唱えようとした、その時だった。
 彼女が何を放つよりも前に、視線の先の水の壁に穴が空いた。
「えっ……」
「な……っ!?」
 木雪もユメも、突然の出来事に対応しきれなかった。
 打ち破ろうとしていた水槽の壁の穿孔は、しかし吉兆ですらなかった。空いた穴から噴き出したジェット水流が、木雪とユメに襲い掛かった。
「二人とも……!」
 白く吹き出す水に突き飛ばされ、体勢を崩した二人だったが、完全に倒れてしまう前に、かろうじて同時に腕を伸ばした。ユメの手のひらが結界を張り、そのさらに前には木雪の草術が細身の低木を立ちはだからせる。
 噴き出した水は木々を、そして枝葉の間をすり抜けたものは結界を、容赦なく殴りつけていく。お世辞にも貫禄があるとはいえない木々が、体を大きくしならせながらも水の勢いを和らげようとしてくれているが、ユメの結界に打ち付ける水圧は依然厳しいままだ。術者の必死の形相がその証拠だった。
 もし、木雪の草術による低木や、ユメの結界が限界を迎えた場合、二人とも鉄砲水に押し流されてしまうだろう。そうなったとき、さらなる危険因子が、彼女らの背後で口を開いていた。
 二人の後方は、切り立った崖なのだ。落ちたら最後、十五メートル以上下に広がる町まで、受け止めてくれるものは何もない。打ち所が悪ければ、最悪の事態も想定される。
 一方、放水し始めたことによって氷架璃と芽華実を閉じ込めた水槽の水量は減ったかといえば、そうではなかった。水位の上昇速度は格段に落ちているものの、徐々に上がりこそすれ、下がることはない。ついに足がつかなくなった二人は、何とか立ち泳ぎで呼吸を確保している状態だ。こちらも、体力が底をつけば終わりだ。
 木雪とユメ、氷架璃と芽華実。それぞれがギリギリの瀬戸際で何とかしのいでいるのを、雷奈は震駭しながら見つめていた。
 そこへ、両者の間に架かる放水の橋をくぐりながら、黒猫が歩み出る。
「いわば、モラル・ジレンマの実験です」
 その真っ黒な双眸は、雷奈にまっすぐに問いかける。
「あなたは私に放水の中止、もしくは増水を命ずることができます。私は間違いなくその意に従いましょう。もし放水を中止すれば、フィライン・エデンのお二方は助かりますが、その場合、人間のお二方はより深い水の中。一方、増水を命ずれば、人間のお二方は晴れて水から解放されますが、あの程度の木々や結界ではしのぐことのできない水がフィライン・エデンのお二方に向けられることになります」
 シズクの意図が察せられた。言葉にして聞きたくないほどに残酷な思惑が。
 だが、黒猫は、身震いするほどおぞましいその問いを、酷薄なまでに淡々と声に出した。
「さあ、あなたは人間のご友人とフィライン・エデンのご友人、どちらを助け、どちらを見殺しにしますか?」
 トロッコ問題という思考実験がある。
 バリエーションや条件は多岐に及ぶものの、基本形としては、暴走したトロッコの線路の先が二手に分かれており、片方には一人、もう片方にはより多くの人がいて、このままだとどちらかが轢き殺されることになる状況で、自分が線路の分岐器を操作できるならば、どちらを犠牲にする道を選ぶか、というものだ。
 この問題には多くの人々が取り組み、哲学的・倫理的な観点による答えから、大喜利めいた発想まで、枚挙にいとまがないほどの議論と結論が生み出されている。
 だが、理論を駆使したものにせよ、独創性に任せたものにせよ、全ての結論には共通点がある。それは、あくまで議論から生まれているということ。それが思考実験だ。
 決して、実際にトロッコと人間を用意して、犠牲者を出しながら答えを呈しているわけではない。そもそも実証実験が許されるテーマではない。
 冷酷極まりないチエアリは、そのタブーを侵して雷奈に答えを求めていた。
「さあ、教えてください。人間はどのような選択をするのですか」
 実験と称して、ただの興味本位で、友人たちの命をもてあそぶチエアリ。吐き気がするほど醜悪な所業に、雷奈は目を見開いて体を震わせた。加えて、言われずとも自明のタイムリミットが、思考をことごとくかき乱す。このままただ時間が過ぎゆけば、体力切れで四人とも死んでしまうのだ。
 木雪とユメの水への防戦は割って入る余地もない。一瞬さえ水を防ぐことも、二人を移動させることもできない。
 氷架璃と芽華実を閉じ込める水槽は星術ではびくともしない。上から引き上げようにも、壁が固体ではない以上、雷奈の足場がない。
 助けは来ない。全ては雷奈の意思決定と行動にゆだねられている。彼女の選択一つで、どちらかが、あるいは両方が命を失う。
 もう、為す術がない。
 結界に弾かれて地面を流れる水はルビコン川。それを前に、動転に手を震わせ、絶望に呼吸を締め上げられ、己が無謀さを自覚して頭も体も木偶と化した雷奈に、チエアリは明日の天気でも占うような口調で言う。
「ちなみに、私の予想はフィライン・エデンのご友人を見放すほうです。深い絆で結ばれた付き合いの長い親友と、出会って比較的日の浅い、自分とは異なる種族の友人。後者を犠牲に前者を助けるのが一般通念かと思うのですが、あなたはどうでしょう?」
 その言葉は、実験道具にされた者たちの耳にも届いていた。
 激しい水しぶきの中でも、薄橙の結界越しでも、雷奈の目にははっきりと見えた。木雪とユメが、弾かれたように雷奈を振り返り見るのが。
 彼女らの顔に一様に浮かんでいたのは、不安ではない。
 漠然とした何かではなく、可能性の高い一つの事象に対する、怖れだ。
 ――犠牲にされることを察した者の恐懼だ。
 それは電気ショックのように、衝撃とともに雷奈の目を醒ました。
 答えは決まった。
「雲居の子、北斗の喜び、この手に象れ、那由他の鼓動!」
 刀印を据え、詠唱を省略することなく、全身全霊を込めて唱え上げる。
「回避を超え向かう理と駆け引け! 転がれ、星飛礫ッ!」
 星の弾丸がマシンガンのごとく連射され、激流の壁に叩き込まれた。リノリウムの床に穴をあける威力をもつ一弾一弾が、あたかもスイカの種かのように弾かれていく。
 チエアリは児戯とばかりにそれを横目でうかがいながら、依然力の放出をやめない雷奈を冷笑した。
「無駄です。それはさっき試みたでしょう」
「……っ」
「同じことを繰り返しながら違う結果を望むことを狂気というそうですよ」
「ぅ……あ……」
「決断せざるは時として間違った行動よりたちが悪い、ともいいますね」
「あああああッ!」
 シズクの皮肉を跳ね返す絶叫を上げながら、雷奈は持てる全ての力を出し尽くす気迫で星飛礫の勢いを増した。速度、粒度、硬度、強さにつながるパラメータは全て引き上げ、ぶつける。
 向かう星の数はおびただしくなる。打ち返される星の数も比例する。振り絞った力の一切があえなく消えていくのを一顧だにせず、ただ無我夢中で全霊を一点に注ぎ込む。
 水と星の衝突音と、自身の叫び声が耳元で飽和する。その中で、雷奈は――確かに聞いた。
 さっきと違う水音を。一定の速度と量で流れ落ちる滝の、リズムか音程かが狂うのを。
 流れが変わった。
「……まさか」
 シズクが初めて、首をひねって水槽を振り返った。無駄や不可能などという言葉をかなぐり捨ててひたすらに穿ち続けた壁に、人の頭ほどの面積だけ水流の乱れが生じていた。かと思えば、次の瞬間には、水流の乱れは穴へと変貌し、そこから中の水が吹き出した。
 水勢は木雪とユメに向けられたものほど攻撃的ではなく、自然相応の勢いだ。彼女らへの放水は意図して強烈に仕組まれたものだったのだろう。
 それでも、ダムの放流のごとく向かってきた水は、雷奈を突き倒し、数メートル押し流すには十分だった。
「げほっ、げほ……」
 鼻の中に入った水で涙目になって咳き込みながら、雷奈は体を起こした。その両脇に、仲間たちが駆け寄る。
 右側からは、人間の親友たちが。
 左側からは、フィライン・エデンの友人たちが。
 雷奈は大きく深呼吸すると、実験跡地にたたずむ黒猫を見据えた。黒猫は毅然と表情を変えないまま、しかし発する言葉を持たないようだった。
「前提が間違っとーとよ、チエアリ」
 ゆっくりと立ち上がり、昂然と言い放つ。
「これは二択やなか。私が選んだのは、共に過ごしてきた親友を死なせる選択肢でも、これから絆を深めていく友達を死なせる選択肢でもない、三つ目の選択肢」
 氷架璃と芽華実。木雪とユメ。
 誰一人欠けなかった仲間たちとともに、チエアリの予想の先にある答えを口にした。
「誰も見捨てない。それが答えったい」
 シズクは、黙って聞いていた。
 雷奈たちから視線をそらさないまま、黙って、黙り込んで。
 そして、口を開いた。
「そう」
 その四本の足元から、嫌というほど見飽きた液体が湧きだす。
「興を醒ますような無風流はいりません。実験の邪魔です。ご退場ください」
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