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If…《運命の番》エンドルート 番外編②
EX⑤. 瑠偉くんと遊ぼう
しおりを挟む〈 琳視点 〉
愛琉&ルナ「「るいくん、いらっしゃい!」」
庭で遊んでいた子供達が、瑠偉くんの姿を見るなり駆け出した。その場に腰を落とした瑠偉くんが、飛び付いた愛琉とルナを危なげなく抱き留める。9歳のノアは流石に飛び付いたりはせず、近くで足を止めた。
「ルイくん、こんにちは」
瑠偉くんは、ちゃんとご挨拶が出来たノアの頭を、愛琉とルナを首にくっつけたまま腕を伸ばして撫でた。ノアがはにかんだ笑みを見せる。
「ノア、愛琉、ルナ、また大きくなったなぁ」
「3ヶ月くらいでそんなに変わんないと思うけれど。赤ちゃんじゃないんだから」
くすくす笑いながら近付く僕を、瑠偉くんが見上げる。
「そんな事はないぞ? お前達は毎日見てるから分からないだけで、子供は毎日少しずつ成長してるんだぞ? そういえば、琳も大きくなったか?」
……………。…は?
「…そんなわけないでしょ…」
溜め息を吐いた僕だった。
「瑠偉くん、いらっしゃい」
まあ、瑠偉くんの冗談はさておいて…。僕が言うと、笑顔で頷いた瑠偉くんは、それぞれの腕に愛琉とルナを抱えたまま立ち上がった。
相変わらず力持ちだなぁ。
「ノエルは?」
「お昼ご飯の用意してるよ。僕は子守り担当」
「あ! ルイさん、いらっしゃい」
ノエルさんの話してたらちょうど本人が縁側に顔を出した。
「ああ。変わりないか?」
「うん。元気だよ~。ご飯出来たから、みんな家に入って~」
「「「は~い!」」」
子供達が元気良く返事をする。
瑠偉くんは愛琉とルナを抱っこしたまま移動するみたいだったから、僕はノアと手を繋いで家の中に入った。
お昼ご飯は『ゴーヤチャンプルー』。有名な沖縄料理。沖縄料理は僕も作り方を教わって家でも作るけれど、いつも沖縄料理を作る訳じゃない。カレーライスとかハンバーグとかオムライスとか…。子供が好むものや地域関係なく食べられているものを作ることの方が多い。ノエルさんも普段はそうらしいんだけれど、瑠偉くんが来る時は瑠偉くんリクエストで、沖縄料理を作ってもてなすの。ゴーヤチャンプルー以外だと、ソーキそばとかラフテーとかタコライスとか…。昨今は全国に沖縄料理専門店とかあって何処でも食べられるかも知れないけれど、ノエルさんが作るおばあ仕込みの本場の味が食べたいらしい。
舌が肥えてるんだねぇ。
みんなで昼食を食べた後は、待ってました!とばかりに子供達が瑠偉くんを引っ張って外に連れ出す。そんで、全身を使って思いっきり遊ぶ。
瑠偉くんは40代。流石α…と言うのは偏見かもしれないけれど、年齢を感じさせないくらい体が動く。引き締まった体してるし、スポーツは得意だ。小学生の頃から中学、高校、大学時代まで、バスケやってたから。デスクワークが多い社長業。ジム通いが日課らしい。仕事上がりのジム通い…。ほんと、パワフル…。
瑠偉くんは子供達と一緒に庭を駆け回る。時には砂浜まで子供達を連れ出して走り回る。子供だからと行って手を抜いたりはしない。まあ、ほんの少しは手加減してるかも…だけれど。でも、僕がこっそり「大人げないなぁ…」と思うくらいには加減がない。ただ、子供達にとっては全力で遊んでくれるのが嬉しいみたい。だから3人とも、瑠偉くんが好きなんだよね。
僕とノエルさんは元気の塊のような子供達の相手をするのには体力が続かないし、リオと華英ちゃんはパパだしαだけれど、リオは身長だけなら僕より小さいし仕事もデスクワーク中心で体力に自信ないって言ってたし、華英ちゃんはαでも女性だしね。
僕達も親だから子供達とはよく遊ぶけれど、正直、瑠偉くんのようには出来ないな、と、1年前に庭に作ったバスケットゴール(高さ調節できるやつ)を使って子供達にシュートの仕方を教えている瑠偉くんを縁側に座って見つめながら、僕は思う。きっと隣に座るノエルさんも思っているだろうな…。
なんと2時間近くも全力で遊んで疲れた子供達は、おやつを食べるとストンと寝た。いつもはお昼寝なんてしないノアまで。瑠偉くんは平気そうだけどね。
そして僕は今、自宅で瑠偉くんと向き合っていた。
「話がある」って言われたから、お昼寝中の愛琉をノエルさんにお願いしてね。
「おばあさんは入院されてるんだったな。調子、良くないのか?」
「もうお年だからね。でも、昨日愛琉連れて面会に行った時は元気そうだったよ。ただ、80歳過ぎると体に不調がないほうが珍しいから、暫くは検査入院させるってノエルさんがね。長生きしてほしいもの」
「そうだな。面会可能なら、明日空港に行く前に見舞いに寄らせてもらうよ」
「ほんと? おばあ様もきっと喜ぶよ」
おばあ様は瑠偉くんの事もまるで我が子のように可愛がってくださっているからね。僕は『孫』ポジションだけれど。瑠偉くんの弟なのに何故か…。きっとノエルさんより歳が下だからだね。
「琳」
笑顔を交わし合った後、改めて名前を呼ばれて緊張感が走る。「話がある」と言われて場所を変えたのだから、本題に入る合図だ。
「これから俺が話す事は、途中で不要だと思ったらストップをかけてもいい。途中で話を止められると気持ち悪いと思うかも知れないが、琳に必要な話かが判断出来ないから、話してみる事にした。だから、要らない話だと思ったら、迷わずストップ、だ。話を遮る事を躊躇うな。怒らないから」
「……………」
こくん…
僕はゆっくりと頷いたー。
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