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《本編》
1. " 番 "という名の《檻》
しおりを挟む僕はどうして此処にいるのだろう?
此処は僕が『彼』と住むマンションの一室だ。
けれど、今は僕ひとり。『彼』はあまり帰らない。
もう何日、『彼』に会っていないのだろう?
僕達は" 番 "なのに……。
ねえ、" 番 "に見向きもされないΩがどうなるのか、貴方は知っているのかな…?
貴方にとって僕が必要ないのなら、本当は此処から逃げ出したいんだ。
監禁されているわけじゃない。外に出られないわけでも、行動を制限されているわけでもない。
それでも僕は、此処に戻るしかない。
番契約は、僕達Ωにとっては『檻』と同じだ。
僕達Ωは貴方達αから離れられない。
何故なら、それは『死』を意味するから……。
それでもいいから、『死』を覚悟しながらも束の間の『自由』を求めて飛び出すΩもいるとは思う。
そんな行動力を持ってるΩの人を、僕は羨ましいと思ってしまう。憧れすら抱くほどに……。
けれど、僕には真似できない。僕にはそんな覚悟も度胸もないから……。
たとえ逃げなくても、『番』に放置されたΩが辿る末路は同じなのに……。
『彼』が帰って来る。たまに…だけれど…。
そして僕は安堵する。
忘れられていなかったことに……。
まだ、頑張れる。
もう少し……。あと少し……。
『彼』に完全に忘れ去られた時にまた、考えよう。
そして僕は今日も『檻』に捕らわれたまま……。
『彰宏さん、
僕のことを愛していますか』ー。
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