友よ、お前は何故死んだのか?

河内三比呂

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解⑤

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 識は緊張しながら、朝倉の言葉を待つ。
 彼は、いつも通りの読めない表情で口を開いた。

「あの男の名前は、多中修次たなかしゅうじ。年齢は二十九歳。工場作業員という事まではわかりました」
「情報提供ありがとうございます。問題はこの男が、どう洋壱と関わっているかですね」
「その通りです、進藤さん。どうにも、久川さんとの繋がりが見えてこないのです」
「本人は何か?」
「いえ、完全黙秘です」
「そうですか……」

 ようやく男の名前が判明したというのに、肝心の洋壱との繋がりが見えてこない。もし、この男が洋壱と無関係として、それでは識や朝倉を襲撃した理由がわからない。少なくとも、識にはこの名前に聞き覚えもないし、仕事で名が出て来た事はない。
 念の為、自分の仕事の記録を携帯端末で確認したがやはり彼の名前はない。朝倉から多中の顔写真を見せてもらったが、知らない顔だ。
 朝倉も、彼に覚えはなく、担当事件等を調べたらしいが前科もないと言う。

(ここまで来たら、洋壱関連って思うよな……)
「朝倉刑事、明日ですよね? 洋壱の勤務先に伺えるのは?」
「そうなりますねぇ」
「その間、多中については?」
「担当の竹田が、色々手を尽くすと思います。あの方はベテランですからねぇ」

 確かに竹田からは朝倉とは違う、長年の経験を感じさせる貫禄があった。それこそ、昭和の刑事とはこういうものだという、そんな貫禄が。

「進藤さん、お呼びしたついでにお昼でもいかがですか? その様子ですと、まだ何も食べていらっしゃらないでしょう?」
「さすがですね。その通りです」
「では、行きましょうか? 食事処は多いですからねぇ」
「はい。お任せします」

 会話もそこそこに切り上げ、朝倉と二人で会議室を出た。警察署の外に出ると、冷たい風が吹く。肌寒さに身震いしながら、朝倉の後に続けば、今日はいつも以上に曇っていた。その空模様が、自分のこのもどかしい心境を表しているようで、憎たらしく思えた。
 それを隠すように、羽織っているコートを整え、気持ちを切り替える。
 そんな識に気づいているのか、いないのか。朝倉は先に進んで行く。冬の街を二人で歩いていると、全くの別人だと言うのに、洋壱とのあの日の事を思い出してしまう。
 あの日の後悔は、いつまでも拭えるものではないのだろう。
 それこそ……一生背負って行くものだと確信している。故の覚悟。

(絶対に、多中との関係を解明してやる)
 
 失った友への、精一杯の手向けも何もかも。全ては終わってからだ。この不可解な事件の顛末を……
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