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シオンの瞳に、絶望と歓喜が混ざり合った、歪な光が灯りました。
「……壊せというのか。私自身の手で、ようやく手に入れたこの均衡を……お前という名の宇宙を」
シオンの指先が、ひび割れたエルナの頬を震えながら辿ります。彼の魔力は、触れるものすべてを凍結させ、静止させる「拒絶」の力。しかし今、彼がエルナの願いに応えるために解き放とうとしているのは、自らの存在そのものを燃焼させ、因果の糸を焼き切る「終焉」の焔でした。
「いいだろう、エルナ。お前がそれを望むなら。……神という名の孤独から、お前を奪い去ってやる。世界を道連れにして、お前をただの『女』に引きずり下ろしてやる!」
シオンが咆哮すると同時に、彼の背後から「原初の闇」が津波となって溢れ出しました。それはユリが持ち込んだ「虚無」と混ざり合い、空中都市を支えていた重力制御を次々と破壊していきます。
天空では、三つの月が悲鳴を上げるように軋みを立て、互いを食らい合うように崩れ始めました。エルナが敷設した巨大な魔導陣――数百年もの間、世界に「幸福」を供給し続けてきたその心臓部が、逆流した魔力によって赤黒く変色し、爆発的な熱量を放ちます。
地上で微笑んでいた民衆たちは、その瞬間、一斉に空を見上げました。 彼らの瞳から「幸福の洗脳」が剥がれ落ち、代わりに流れ込んできたのは、数世紀分の「空白」に対する根源的な恐怖でした。
「ああ……空が、空が割れる……!」 「女王様! 私たちの神様、どこへ行かれるのですか!」
人々の絶叫が、かつての合唱をかき消していきます。しかし、エルナの意識はすでにその叫びを聞いてはいませんでした。彼女の脳内では、数兆の数式が火花を散らし、自己崩壊(デリート)のプロセスが加速していました。
「……ああ……。……変数を……捨てていく……感覚……。……重い……責任も……全能感も……すべて……消えて……」
エルナの肉体から、銀色の光の粒子が溢れ出します。それは彼女を構成していた「神性」の破片。一粒一粒が、かつて彼女が吸収した世界の記憶でした。
ユリは、崩れゆく玉座の間で、吹き荒れる魔力の嵐に耐えながら剣を突き立てていました。 「シオン! あなた、何をしているのか分かっているの!? このままでは次元の壁が崩壊し、この世界そのものが、語られない『ボツ原稿』のように消滅するわよ!」
「構わぬ!」 シオンは笑いました。血を吐きながら、なおもエルナを抱きしめる腕に力を込めます。 「世界など、また作り直せばいい。あるいは、永遠に無に帰してもいい。……私に必要なのは、私を拒絶し、私を罵り、私に翻弄される、血の通ったエルナ、お前一人だ!」
シオンの心臓から、漆黒の棘が突き出しました。それは自身の命を対価にした、最大禁忌の魔法。彼はその棘を、エルナの胸元へと突き立てました。殺すためではなく、彼女の中に溶け込んだ「世界システムの核」を物理的に破壊するために。
「が、あ……っ!」
エルナの口から、光の奔流が吐き出されました。 視界が真っ白に染まり、音も、温度も、重力も消失した「無」の領域。 そこで二人は、ゆっくりと落下していました。
そこは、物語が始まる前の場所。 何も書かれていない真っ白な紙の上のような、静謐な空間。
エルナは、自分の手が、足が、感覚が、再び「自分だけのもの」として戻ってくるのを感じました。重苦しい演算のノイズは消え、代わりに聞こえるのは、ドクドクと脈打つ自分自身の鼓動。そして、すぐ隣で自分を離そうとしない、一人の男の荒い息遣い。
「……シオン、殿下……」
エルナが掠れた声で呼ぶと、シオンは泥を啜るような無様な姿で、彼女にしがみつきました。彼の豪華な衣装はボロボロに裂け、かつての高貴な王子としての面影はありません。そこにあるのは、ただ愛を乞う、一人の剥き出しの男の魂でした。
「……ああ……エルナ……。戻ったのか……。……お前の瞳に、私が映っている……」
シオンは子供のように、エルナの胸に顔を埋めて泣きました。 世界を壊し、神を殺し、すべてを犠牲にして手に入れたのは、かつて当たり前のようにそばにあった「一人の少女の体温」だけ。
エルナは、氷の鎖が消えた自由な手で、シオンの汚れた髪を優しく撫でました。
「……本当に、救いようのない……大馬鹿者ですわね。……せっかく私が作り上げた完璧な世界を、たった一人の女のために台無しにするなんて」
その言葉には、かつての鋭い毒と、それ以上の深い愛着が籠もっていました。
光が収束したとき、二人は見知らぬ荒野に横たわっていました。 空にはもう三つの月はなく、ただ一つの、淡く頼りない月が浮かんでいるだけ。 空中都市は消滅し、魔法という超常の力も、この場所ではひどく希薄になっていました。
遠くの方で、崩壊を生き延びた人々が、困惑しながらも自らの足で歩き始める気配がします。ユリたちの姿はどこにもありません。彼女たちもまた、神のいないこの「新しい不自由な世界」のどこかで、自らの物語を紡ぎ始めているのでしょう。
エルナは、シオンに支えられながらゆっくりと立ち上がりました。 足元には、かつて彼女が執着した統計学のノートが一冊、ボロボロになって落ちていました。
「……殿下。これから先は、計算が通りませんわよ。……飢えもあれば、病もある。私が排除したあらゆる不条理が、私たちを襲うでしょう」
シオンは、彼女の手を強く、痛いほどに握りしめました。
「望むところだ。……お前が飢えるなら、私が泥を這ってでも糧を探そう。お前が病に倒れるなら、私の命を削って薬にしよう。……お前が、私以外の誰にも頼れない、そんな不自由な世界こそが、私の望んだ楽園だ」
エルナは呆れたように溜息をつき、そして、この数百年で初めての、心からの笑みを浮かべました。
「……ふふ。それなら、覚悟してくださいまし。……私、これでもとっても贅沢なんですのよ?……まずは、今夜の寝床を確保すること。……それが、新しい世界の最初の課題(ミッション)ですわ」
二人は、崩壊した文明の残骸を背に、夜明け前の暗闇の中を歩き始めました。 神としての玉座も、不滅の命もありません。 あるのは、互いへの狂おしいほどの執着と、これから始まる「予測不能」な明日だけ。
二人の歩む足跡は、まだ何も書かれていない大地の1ページ目に、新しい物語として刻まれていきました。
「……壊せというのか。私自身の手で、ようやく手に入れたこの均衡を……お前という名の宇宙を」
シオンの指先が、ひび割れたエルナの頬を震えながら辿ります。彼の魔力は、触れるものすべてを凍結させ、静止させる「拒絶」の力。しかし今、彼がエルナの願いに応えるために解き放とうとしているのは、自らの存在そのものを燃焼させ、因果の糸を焼き切る「終焉」の焔でした。
「いいだろう、エルナ。お前がそれを望むなら。……神という名の孤独から、お前を奪い去ってやる。世界を道連れにして、お前をただの『女』に引きずり下ろしてやる!」
シオンが咆哮すると同時に、彼の背後から「原初の闇」が津波となって溢れ出しました。それはユリが持ち込んだ「虚無」と混ざり合い、空中都市を支えていた重力制御を次々と破壊していきます。
天空では、三つの月が悲鳴を上げるように軋みを立て、互いを食らい合うように崩れ始めました。エルナが敷設した巨大な魔導陣――数百年もの間、世界に「幸福」を供給し続けてきたその心臓部が、逆流した魔力によって赤黒く変色し、爆発的な熱量を放ちます。
地上で微笑んでいた民衆たちは、その瞬間、一斉に空を見上げました。 彼らの瞳から「幸福の洗脳」が剥がれ落ち、代わりに流れ込んできたのは、数世紀分の「空白」に対する根源的な恐怖でした。
「ああ……空が、空が割れる……!」 「女王様! 私たちの神様、どこへ行かれるのですか!」
人々の絶叫が、かつての合唱をかき消していきます。しかし、エルナの意識はすでにその叫びを聞いてはいませんでした。彼女の脳内では、数兆の数式が火花を散らし、自己崩壊(デリート)のプロセスが加速していました。
「……ああ……。……変数を……捨てていく……感覚……。……重い……責任も……全能感も……すべて……消えて……」
エルナの肉体から、銀色の光の粒子が溢れ出します。それは彼女を構成していた「神性」の破片。一粒一粒が、かつて彼女が吸収した世界の記憶でした。
ユリは、崩れゆく玉座の間で、吹き荒れる魔力の嵐に耐えながら剣を突き立てていました。 「シオン! あなた、何をしているのか分かっているの!? このままでは次元の壁が崩壊し、この世界そのものが、語られない『ボツ原稿』のように消滅するわよ!」
「構わぬ!」 シオンは笑いました。血を吐きながら、なおもエルナを抱きしめる腕に力を込めます。 「世界など、また作り直せばいい。あるいは、永遠に無に帰してもいい。……私に必要なのは、私を拒絶し、私を罵り、私に翻弄される、血の通ったエルナ、お前一人だ!」
シオンの心臓から、漆黒の棘が突き出しました。それは自身の命を対価にした、最大禁忌の魔法。彼はその棘を、エルナの胸元へと突き立てました。殺すためではなく、彼女の中に溶け込んだ「世界システムの核」を物理的に破壊するために。
「が、あ……っ!」
エルナの口から、光の奔流が吐き出されました。 視界が真っ白に染まり、音も、温度も、重力も消失した「無」の領域。 そこで二人は、ゆっくりと落下していました。
そこは、物語が始まる前の場所。 何も書かれていない真っ白な紙の上のような、静謐な空間。
エルナは、自分の手が、足が、感覚が、再び「自分だけのもの」として戻ってくるのを感じました。重苦しい演算のノイズは消え、代わりに聞こえるのは、ドクドクと脈打つ自分自身の鼓動。そして、すぐ隣で自分を離そうとしない、一人の男の荒い息遣い。
「……シオン、殿下……」
エルナが掠れた声で呼ぶと、シオンは泥を啜るような無様な姿で、彼女にしがみつきました。彼の豪華な衣装はボロボロに裂け、かつての高貴な王子としての面影はありません。そこにあるのは、ただ愛を乞う、一人の剥き出しの男の魂でした。
「……ああ……エルナ……。戻ったのか……。……お前の瞳に、私が映っている……」
シオンは子供のように、エルナの胸に顔を埋めて泣きました。 世界を壊し、神を殺し、すべてを犠牲にして手に入れたのは、かつて当たり前のようにそばにあった「一人の少女の体温」だけ。
エルナは、氷の鎖が消えた自由な手で、シオンの汚れた髪を優しく撫でました。
「……本当に、救いようのない……大馬鹿者ですわね。……せっかく私が作り上げた完璧な世界を、たった一人の女のために台無しにするなんて」
その言葉には、かつての鋭い毒と、それ以上の深い愛着が籠もっていました。
光が収束したとき、二人は見知らぬ荒野に横たわっていました。 空にはもう三つの月はなく、ただ一つの、淡く頼りない月が浮かんでいるだけ。 空中都市は消滅し、魔法という超常の力も、この場所ではひどく希薄になっていました。
遠くの方で、崩壊を生き延びた人々が、困惑しながらも自らの足で歩き始める気配がします。ユリたちの姿はどこにもありません。彼女たちもまた、神のいないこの「新しい不自由な世界」のどこかで、自らの物語を紡ぎ始めているのでしょう。
エルナは、シオンに支えられながらゆっくりと立ち上がりました。 足元には、かつて彼女が執着した統計学のノートが一冊、ボロボロになって落ちていました。
「……殿下。これから先は、計算が通りませんわよ。……飢えもあれば、病もある。私が排除したあらゆる不条理が、私たちを襲うでしょう」
シオンは、彼女の手を強く、痛いほどに握りしめました。
「望むところだ。……お前が飢えるなら、私が泥を這ってでも糧を探そう。お前が病に倒れるなら、私の命を削って薬にしよう。……お前が、私以外の誰にも頼れない、そんな不自由な世界こそが、私の望んだ楽園だ」
エルナは呆れたように溜息をつき、そして、この数百年で初めての、心からの笑みを浮かべました。
「……ふふ。それなら、覚悟してくださいまし。……私、これでもとっても贅沢なんですのよ?……まずは、今夜の寝床を確保すること。……それが、新しい世界の最初の課題(ミッション)ですわ」
二人は、崩壊した文明の残骸を背に、夜明け前の暗闇の中を歩き始めました。 神としての玉座も、不滅の命もありません。 あるのは、互いへの狂おしいほどの執着と、これから始まる「予測不能」な明日だけ。
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