あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第019部 父よ子よ、そして…/未来からの使者

炎上都市-《クユエマス》-プロローグ

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私の四千年は虚無だった……これからの生はどうなのだろうか…

「エリュエル・ヴァンデット!ヴァンデット家の長子でありながら聖女アリファナへの執拗な加虐!貴様を処刑する!」
《クユエマス》のヴァンデット家の本邸、城といっても過言ではない屋敷の大広間でヴァンデット家の長子エリュエル・ヴァンデッドは断罪を今、正に受けている所だった。
「……私はそこの異形に何かをした事などありません」
「異形だと!よくも聖女に!貴様の暴言赦さん!その口縫い付けて眼を抉って処刑台に送ってやろう」
叫ぶ男の腕の中で震え怯える少女、ピンク混じりの金色の波打つ豊かな髪と大きなピンクの瞳、華奢な肢体には似つかわしくない胸元から覗く豊かな谷間、ミルク色の肌に小動物のような愛らしさは保護欲をよく掻き立てた。
対する断罪されているエリュエル、白色を何度も塗り重ねたような白い髪、前髪は真っすぐ切り揃えられ足元まである髪は滑らかな光沢を放ち、大きな瞳は《アタラクシア》の青空色を持つ美しい容姿をしていた。
白い髪には赤い蝶の髪飾り、耳には赤い宝石の耳飾り、身に纏うドレスは漆黒だが繊細な刺繍と飾りが付けられ首元には黒い大きな宝石の周辺を黒く染めた羽で覆ったブローチを付け、堂々とした姿で立っていた。
「もういいでしょう?リドガイラ、どうしてその異形に執心するのですか?らしくもない」
「何を言っている!アリファナは私の愛しい恋人、彼女を冒涜する貴様こそ異形だ!」
「何を言っているのかは貴方でしょう、魅了魔法か何かでしょう。目を覚まして下さい、また滅んでしまいますよ?」
「意味の分からない事を言って話を逸らすのか!私のアリファナが傷ついているんだ!」
「……」
エリュエルはこれ見よがしに溜息を赤い唇から漏らす、怒りに呑み込まれたリドガイラ、優秀な男でヴァンデッド家も次ぐ《クユエマス》を支える一族の当主、リドガイラ・ロドニタス、金色の髪に青い瞳の眉目秀麗、非の打ちどころの無い…いや今まで無かった。
「リドガイラ様……」
「アリファナ、すぐに済む。お前を傷つけた者は何人であろうとも赦さん」
「……」
何の三文芝居を見せつけてられているのか、エリュエルはさっさとこの場から退きたい、周囲の馴染みのある貴族たちは皆リドガイラとアリファナに熱い視線を向け、エリュエルには憎悪や殺意を向けていた。
「それで、私を処刑すると。《クユエマス》にはヴァンデッド家の《色違い》の者への不可侵の決まりがありますよ」
「そんな物、罪人の前では意味は為さない。貴様は今日を以って終わりだ」
「……」
極めて何処までも冷静なエリュエルの言葉をリドガイラは憎悪の眼差しを向ける、その青い瞳の奥には淡いピンクの花が咲いていた。
周囲も同意する声が上がり今すぐ処刑せよと罵声が飛ぶ、エリュエルは冷えた眼差しを向け続ける。
「最後に1つだけ、貴方はそこの異形に魅了されています。貴方が初めて恋をした事は祝福しましょう。それで私を害するなど…堕ちたものだ…リドガイラ…4千年ずっと成長もせず視野が狭く自分の見たいものしか見て来なかった貴様には似合いだ。…ですが、私を巻き込むのは止めて下さい」
何処までも他人事、何処までも無関心のエリュエルにリドガイラの怒りは頂点に達した。
「殺す!殺すコロスコロス殺す!殺し殺して切り刻んで魔物にでも喰わせてやる!!!殺すぅ!エリュエルぅ!」
「言いましたね、リドガイラ…莫迦な男…恋に溺れたまま生を終わらせておけば良かったのに…そこの異形と好きなだけ添い遂げれば良かったのに……抜いた剣、己の実力、取り込まれた自分を嘆いて下さい。そこの異形の相手は他にいます…今回間に合わなかった…ごめんなさい、外神さん…《不滅の聖女》禍蚪級…討伐します」
リドガイラの理性は消失、仕方がないとエリュエルは収納空間から剣を出す、白い剣、エリュエルが持つに相応しい剣だった。
対しリドガイラは帯剣していた剣を抜きアリファナを背に隠し構え、エリュエルの出方を待つが…。
「え……」
背後でアリファナの小さな声、振り返れば目の前にいた筈のエリュエルがアリファナの細い首を刎ね飛ばしているのが視界に入りアリファナの首から青い血が噴き出しリドガイラの身体に飛び散り、大広間は阿鼻叫喚の嵐が巻き起こった。
「な…何が…」
「火炎封印魔術及び灼熱魔法発動」
刎ね飛ばした首が床に転がり、エリュエルは白い杖を収納空間から出し空いた手で宙に陣を描くのと同時に灼熱魔法を発動させ屋敷が燃えて行く、その場にいた者達も炎に巻かれて声を上げるとの同時に消し炭へと変わっていく。
「もういい…もうお仕舞い…この国もリドガイラ…貴方との4千年の因縁も、もう《クユエマス》も二度と蘇らない…封印します、さようなら」
「エリュエル!きさまぁ!よくもアリファナを!」
「ここで恋人の死骸と燃え尽きて下さい」
エリュエルが吐き捨てるように言いふ…と姿を消す、リドガイラは転がる恋人だったアリファナの首と身体を燃え盛る中抱き締め涙を零す。
「ああぁ、ああぁ!アリファナ!アリファナ!」
リドガイラの青い瞳の中のピンクの花が赤く染まる、燃えていく屋敷で彼はいつまでも泣き叫んでいた…。


                        炎上都市-《クユエマス》- 開幕

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