あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第4部 生きる世界に微笑んで 立ち止まったら空を見上げて編

13 自由でいいじゃない

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「ラージュ様は…この国の人々に好かれているようだし、政治も上手くやっていて、無理な税も取ってないですし、ならいいじゃないですか。好きに自由にやっても…そんな王様がいたら素敵じゃないですか…」
「え…好きに?」
「さっきの謁見の間での堂々とした王様もカッコ良かったですけど、今のそうやって身軽な姿の王様もカッコいいですよ!」
「ああ、そうだな…俺はこっちのアンタの方が好感を持てる…今、着てみたらどうだ?もう一式用意する」
「そうですよ!戦争でずっと戦って来て王様になってまで、窮屈な事をしなくても良いと思います」
「着る時間を短く出来れば、別な事…それこそ自分の好きな事に時間が使えます」
「あ…そうか…もっと身軽に…少し待ってくれ…着てくる…」
「陛下手伝いましょうか?」
「いや、必要ない」
「そうですか…」
ユナイドが手伝おうとしたが、嬉しそうに服を抱えて試着室のような小さな扉付きの個室に入っていった。

「生地がすごく良いな…」
1人になり早速今きている服を脱いでいく、まず金糸で紋章の刺繡が施されたボタンの多いシャツを脱ぐ、普段は衣装係が着せ、脱ぐ時も同様係の者が外す、貴族、王族は1人で服を脱ぎ着しない…。
「ああ、そうか自由ならこういうのだって…王だからって型にはまって…戦場で生きていた筈なのに…何だって1人でやっていたじゃないか…」
煙の臭い、血の匂い、錆びの臭い、服だって身体って顧みなった半生…。
服を脱ぎ大河の服に袖を通す、肌触りが良い着心地がよく体の動きを制限しない、その上…。
「良い香りがする…何だこの香り花か…。我ながら良く似合う」
着ていた服はそのまま脱ぎ捨て新しい服は身が軽く、心も軽くしてくれた。

「どうだ!俺も美形だからな何を着ても似合うがな!」
「わぁ、カッコいい!」
「似合っている」
「素敵です王様!」
「さっきの衣裳も素敵でしたが、こっちの方が良いと思います。黒が似合いますね」
「良いですね、これでマントや宝飾品で飾れば十分でしょう」
「…そうか!今裁縫師を呼んで採寸させ、何着か作らせるからしばし待て!その後昼食を食べていけ!この城の食事は旨くないがな!後、友になろう!」
『いいよ』
何だかんだ4人て意外に面食いなんです、というわけで王様が友達に加わりました。

一方その頃ののチグリスが城の裏庭の片隅に来て草の上で横になり寝ていた、王とかめんどいしこの国の王にはもうこの城にドラゴンがいるのは気づかれているだろう、ショルダーカバンに入れたリンゴモドキをシャクシャク食べたり寝たりまた、干し肉食べたりと…誰よりも間違いなくこの城内で自由に過ごしているのはチグリスだった。
特に感慨もない、親友と婚約者が死んだ城…それだけだ、千年…長命なドラゴンからしても長い年月…『チグリス様…食事お持ちしました。一緒に食べましょう…』『チグリス!ほら飯、肉な肉!』…思い出すのは飯と婚約者と親友…、またショルダーバッグから今度は葉に包んだサンドイッチを出して食べる、来る前にナイルから今日は城に行くのだか詠斗達に食べ物は貰わないようにと持たされたものだった。
ああ、そういえば詠斗はどこかラカンに似ているのかもしれない、何どこかと言われたら…雰囲気かないつも誰かの為に行動する…そんな部分が似ているのかもしれない。
「あのぉー、こんな所で寝てたら風邪ひきますよ…というかここ城の中ですが…」
くすんだ赤茶のくせ毛にひょろっとした男が寝ながら食べていたチグリスに恐る恐る声を掛けて来た、チグリスは上半身を起こした。
「ん…寝ながら食べているだけだ…今城に招かれている客人の連れ…面倒だからここにいる」
「え…そうなんですか…」
朝に副料理長をクビになり城を追い出されたバルタル、彼が今ここで何をしていたかと言うと…恩人でもある前料理長がこの片隅で植えていたハーブを株分けしていた。
この城の庭師がクビになったならせめて持って行けと同情され、行く当てもないこの先の共に持って行こうとしていた。
ぐぅぅう~バルタルのお腹の虫が鳴り響く、顔を真っ赤にして身を縮ませるた。
朝から何も食べていない、昨日の夜だって料理長からつまらない小言を延々聞かされ食べられなかった、思い出すと余計お腹が減った。
「…ん」
「え…と…」
「ん…やる…食え…美味い」
「良いんですか?す、すみません頂きます」
ナイルがくれたサンドイッチをバルタルに差し出す、中の具は腸詰とキノコの香辛料で炒めた物と干し肉と果物を渡してやった。
以前のチグリスならば渡さないし、どこかへすぐに行ってしまっていただろう、腹が減ったら何かを食べる何時だって詠斗達はチグリスが欲しい物をくれる、きっとこれからも…だからたまにはお腹が減った誰かに食べ物を分けても良いと思った。
「いただきます…」
香辛料とパンと腸詰キノコの匂いに齧り付く、一瞬で食べきって身体を奮わせた。
「おいしい!」
バルタルの紅茶色の瞳から涙が出た、前料理長が亡くなってから初めて美味しいと思った食べ物だった…。

採寸を終え大河の服を着た姿のまま、王の食事場は皆が良く映画や漫画などで見る長いテーブルの正面豪奢な見かけだけで座り心地が悪い椅子に座り、左右に分かれて王から向かって左の席に詠斗、綴、ユナイドで座り、その向かいは大河、率の順で着席した。
果実水の入ったグラスと、赤ワインのグラス、中央の皿にはメインの肉のステーキに付け合わせはニンジンの様な野菜と芋の炒めた物、パンとサラダに具沢山のスープという献立だった。
「さあ、食すが良い。そなた達は全員余が許可するまで入るな」
給仕達とイスラや従者達を下げ、6人での食事を始めた。
『………』

詠斗(味…うす…全部同じ味…サラダ塩だけ…今日…ナイルさんとカイネが大河さんの本見てドーナツ作ってみるって言ってた…食べたい揚げ立て出来立てのドーナツ…)

大河(期待していなかったが…不味い、下処理が出来てない上に肉焼き過ぎ…これ肉ダンジョンの上層階のドロップ品じゃないのか?仮にも王の昼食と客人もいるのにこれは…スープ…塩の味しかしない…今日ナイル達がドーナツをノーヒントで本だけで挑戦とか面白い事しているのにこっちはこれか…)

率(ワイン…良い物なんだろうけど、保管とか運搬に気を配らなかったのかな…もったいない。僕はお酒はまだ飲めないから良いけど…誰もワイン手を付けていない…食事も冷め切っているし、パンはパサパサ…肉も…臭みが強い…今日カイネ君達がドーナツ作りするって張り切っていたなー僕もクッキーとかケーキとか牛乳と卵あるし…ラージュさん毎日この食事なのかな…元気でないよね)

綴(僕好き嫌いないから味が無くても食べるけど皆は…無言か…そうなるか…ラージュさんも…機械的に食べているし…今日ナイルさん達がドーナツ作るって…好きなんだよねドーナッツ…セールの時にしか買えないけど…チョコも使うって…食べたいなー)

ジラ(昔はこういう飯で、ご馳走だって喜んでたが…一般的な店より勿論質はいいが…みんなのお陰で良い物食べているせいか、美味くない…そういや今日はナイル達が向こうで詠斗達がいた世界のお菓子作るって言ってたわー上手く出来たら屋敷の店で出すって…帰ったら口直しに食べよう…)

ユナイド(今日は何時にも増して美味しくないですね…下処理が悪い…賄賂のせいで料理の腕が無い物が上に立つとこうなるか…差し入れで頂いたあの料理たちどんな宮廷でも叶わないでしょう…そんな舌が肥えている方々は…さすが無表情で黙々とテーブルマナーもこの国とはまた違いますが上品ですね、皆さん育ちが良いのでしょう…)

ラージュ(今日は何時にも増して美味しくないなー、いつもはもう少し下処理とか…戦場にいたから何でも食うけど皆は…黙々と食べているけどな)

食事が終わると無言で詠斗達が収納袋(偽装)から食べ物を渡してくれる、ギョロリやギュロリ貝の蒸し焼き、パティ、ポップコーン等ラージュが口にすると目を見開いて笑った。
「美味いな、ぽっぷこーん?こんな美味い物初めて食ったな」
「今うちの店で出している」
「そうか、こんな美味い物食わせてくれてありがとう!今日はみんな夜市行くのか?」
「はい」
「俺も行く、飯奢ろう!ほら厨房とか図書館案内するから行くぞ!」
「ちょっとまって1回チグリスに電話するから…」
「らいん?なんだその板…魔法具か?」
「そうですよー私も頂きました、皆さんとこれで連絡しています」
「あんな板で!?すごいな俺も欲しいな」
「いいぞ」
「本当か!?」
「チグリス、待たせてごめん。今、え?バイトスカウトしたから畑に戻って良いかって?その人は…うん、そっか、それならナイルさんも平気だね、ちょっと代わってくれる?あ、どうもー俺、詠斗と言います。すみませんうちのチグリスが…あ、そうなんですか?うちは是非歓迎しますよ、はいでは向こうで…」
大河がスマホを出して、率の髪に留まっている千眼がこそと蝶を入れてくれ使えるようにしてくれ、使い方を教えている間に通話が終わった。
「詠斗さん、チグリスさんどうしたんですか?」
「仕事をクビになった人をどうやらスカウトしたようだから、連れて帰るって。話した感じ優しそうな人だしチグリスがわざわざ連れて帰るっていう位だし、いいよーって言っといた」
「とういう事は…」
綴がドラゴン姿のチグリスの背に乗って帰るという事か、いいなー自分も乗ってみたいと密かに思っていた。
「大河!これはすごいぞ!」
「無くさないでくれ」
「ああ、もちろん!」
「では、まずは厨房から参りましょう…」
ユナイドが先を促し、興奮冷めやらぬラージュに王様モードにして貰い、侍従たちを呼び先ずは厨房に向かった。
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