あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

STAGE.2-11 魔王なら魔王っぽいビジュアルしとけ

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「冒険者ギルドはギルドだけどなー」
「中に出ましたね…」
「手前省けたわ、じゃ報告しよ。昨日の依頼とまとめてやっとくわ」
「?ごめんなさい」
「大丈夫です、グローリーさん。連れて来てくれてありがとうございます」
グローリーの転移魔法で出たのは冒険者ギルドの中、いきなり現れた4人にその場にいた冒険者達や依頼主、職員達が凍り付くが懐記は御構い無し窓口に向かい、ライガルもあやまるグローリーを連れていく。
「い、依頼完了お疲れ様です…えと薬草ダンジョンは第2階層までですね、……買い取りはこちらの金額です…」
「グローリー、いたのか戻るぞ」
「キリング…」
『魔王…?』
「ん、魔王?誰?」
懐記が狼狽えている受付嬢に第2階層のドロップ品をショルダーバッグから出して並べ、買い取りしている間に冒険者ギルドの入り口からグローリーを呼ぶ声に、ライガルとティスの呟く声に懐記が振り返るが魔王らしき見た目をしている人物はいない代わりに、濃い蜂蜜色の髪に琥珀色の瞳に結晶を散りばめたような美しい瞳をしたいかにも光属性の塊のような端整な容姿のグローリーとは真逆な青年が立っていた。
「グローリー、帰るぞ」
「キリング…パーティーはクビになった」
「ああ、問題ない、彼女達は勝手な事をしたからクビにした。またすぐにメンバーを揃えるから。ほら、戻るぞ」
「………」
「グローリー?」
キラキラとしたキリングの瞳がゆっくり瞬く、グローリーは何も言わず動かない、ティスとライガルはキリングの様子を伺う、懐記がキリングの前に立ちグローリーをキリングから隠すようにした。
「グリっちは、昨日からこっちのパーティーのメンバーなんだわ。もうそっちには戻らないからグリっちの分のメンバーも探してくんない?」
「そうか、こちらのパーティーで誤解があったんだ。グローリーの面倒を見てくれていたなら感謝する、謝礼も出す」
声も表情も穏やかだがイラつきを隠そうともしないキリングを見ながら懐記が鑑定をする、魔王:危険 撤退推奨 の文字が現れる、懐記も感じる千華の魔王奪還の際に遭った蒐刻魔王よりもヤバい気配がする…が…。
「あのさ、魔王なら魔王らしいヴィジュアルしといてくんない?その外見はどう見ても勇者とか光属性っしょ」
「お、おい懐記!」
「懐記さん、挑発はいけません…」
「魔王?何の話しか分からないが、今はそんな伝説の存在関係ないだろう?すまないが、メンバーを新たに募集しなければならない、グローリー行くぞ」
「それはダメ、今はこちらのパーティーのメンバー」
「ちょっと待て懐記」
「これは…色々と不味い…」
自分を魔王と自覚していない魔王(これから会う魔王全員これか?)周囲はキリングがグローリーを迎えに来た時点で、大半の冒険者や依頼主達は速やかにギルドを出ている。
実はこの2名はこの街《トルゥードン》の地雷とも言える存在、過去散々この街を拠点にする者達が学んで来た事だった。
グローリーに何かをすれば必ずキリングからの報復が待っている、今回グローリーをパーティーに加えたヤツも此処で大人しく引けば安泰だがと周囲は思いながら冒険者ギルドを去る。
「グリっち、どうすんの?戻る?俺は嫌だけど、グリっちの意志は尊重するわ」
「戻らない…キリング…今まで…ありがとう」
懐記の問い掛けに力強くグローリーが首を振る、一歩前に進みしっかりとはっきりキリングの宝石のように美しい瞳に向けて伝える。
「よく言った、さっさと戻ろう。今日は沢山飯作るわ、ティスっちライガルっち帰ろ」
「……認めない、戻れグローリー」
「…戻らない。キリングありがとう…これキリングに…」
キリングがうつむき低い声音でグローリーを呼ぶ、ティスとライガルが警戒態勢に入る、グローリーが懐記から貰った金色のおりがみで折った畳んだ鶴を懐から取り差し出した。
「何故勝手な事をしている?そいつらに唆されたのか?何を言われた?どんな条件を提示された?」
「言わない…」
「は?」
「キリングさんですよね、お話し中に失礼します。現在グローリーさんは我々のパーティー《黄昏の瞳》のリーダーです。リーダーのパーティー移籍は他のメンバーの承認が必要となります、私は承認しません」
「俺もー」
「同じくーじゃ、そういう事でー」
警戒を崩さずライガルが会話に入り相手を伺う、魔王という自覚が無ければまだ打つ手はある。
「………」
グローリーを連れて4人でテントに戻る、残されたキリングの視線は未だに床を見ていた…。

「ん、じゃ、飯作るわ。楽しいから沢山作るか」
「手伝う」
「俺も…やる」
「私は先に詠斗さん達に状況の説明と仕事の確認をします、何故この街に詠斗さん達が入ると著しく体調が崩れるのか、見えて来ました。懐記さんスマホをお借りしても良いですか?」
「ん、後で俺も連絡入れるわ」
「はい」
ライガルが懐記からスマホを受け取る、懐記達は早速準備に取り掛かった。

「商業エリアも順調ですね」
「出店希望も増えていますし、カジノも好調です」
「《トイタナ》の店もすごいね、追加の仕入れをしたけどユナイドさんの所からでも足りないから、他の支店からの仕入れも始めたし」
本日の業務が全て終了し全員畑に引き上げ少し遅めのおやつ休憩となり、おせんべいや羊羹に親子サブレを山積みにして各自お気に入りのお茶や飲み物を楽しんでいた。
「あ、懐記くんから電話だ。はい、ライガルさん……え?ちょっと待ってみんなに聞こえるようにするから」
詠斗がスマホをスピーカーに切り替えテーブルに置く、落ち着いた心地よい品のあるライガルの美声からとんでもない話が出てその場にいた全員が凍り付く。
「はあ、魔王と魔神の共生?どうなってんだ?しかも正真正銘の自然発生した魔神だろ?」
「魔人から魔神に進化…おそらく長く魔王といた為かな…」
「……自覚のない魔王」
「1位の弱体化の影響が此処までとは…」
ジラ、千歳、千眼、千華が各々考え込む、魔王…キリングの確保は難しそうというのは話の中で理解した。
「龍皇の弟…もしその魔王が魔法以外…剣を使うのであれば戦闘はせず撤退しろ」
『懐記さんの鑑定に危険、撤退推奨と出たとの事です』
「不味ね…グローリー君を連れて、兎に角皇国に向かった方が良いね」
『そうします、原因の調査の件は魔王と魔神が長期に渡り共生していた為あの街一帯が特殊な場所に変化したものだと私は考えます』
「《ベストレア山脈》より濃い場所って所か」
『そのようですね』
「ライガルさん、お疲れ様です。引き続き懐記さんをお願いします」
『はい』
綴が締めくくり会話が終了する、何となく全員の気が重い。
「ねえ、千眼さん。剣を使う魔王は危険なの?」
「ああ…私達の持つ情報の中で剣を使う魔王は1名のみ…」
「僕達の中で1位と13位が最も強い存在なのだけど、その次点が武器を使う魔王という認識だね」
「現在1位のニアは弱体化、所在不明の13位を除くとするならば現時点で最強の魔王ですが…此方側に付かなければ弱体化と無自覚で良かったのかもしれません」
千華が紅茶を飲みながらライガルからの話の異常さを噛み締める、他者にそれも魔神に拘る魔王…序列第12位の魔王の人工的に造られた魔神アシュアへの感情を彷彿とさせた。
「神様達に連絡しておかないと」
詠斗がラインを打ち始める、少し休んで夕食の準備でもしようかと…簡単に済ませようと即座に決まった…。
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