あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第09部 魔王たちの産声 歪

第014話 職業紹介所

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情報ギルドに設けられた職業紹介所、スタッフは千歳とラジカと率と後ほど来る崇幸で回して、後ろにはこれから職業紹介所で働くスタッフ達が控えていた。
テーブルとタブレットと対面の椅子を用意し、あくまで今回はカジノダンジョンで待ちをしている冒険者達向けの依頼の斡旋や現役を退きたい者達や年齢的に厳しい者達に向けた者、プライバシー保護の為に仕切りも設けている。
「こんにちは、どうぞお掛け下さい」
千歳がにこやかに最初の冒険者を迎えた、最初の冒険者は中年に差し掛かろうとしている筋骨隆々の単独冒険者だった。
「よろしく頼む」
「はい、ドンさんですね。よろしくお願いします、早速ですが希望の仕事や気になる仕事等ありますか?」
「ああ、俺ももう歳でな家族も遠く故郷にいて年老いた母親しかいない。その母親の側に居られる時間が増える仕事を…力仕事などは得意だ」
「わかりました、お母さまは今故郷にいるとの事でお母さまをこちらに連れて…家は用意しましょう。先に記入して頂いた欄には元は布の染物をしていたようですね」
「母親をこちらに!?すまん…ああ、元は染物を生業としていたが染色に使う植物の実りが悪く俺が若い頃に廃業したんだ」
「またやりませんか?初期投資は《アウトランダーズ商会》で行います」
「良いのか?ああ…やりたい…」
「はい、承知しました。では手続きと家の準備をお母さまを連れていく手配はこちらのスタッフが行います。住む家の場所はいくつかありますのでこちらのスタッフと相談してください」
「承知しました、ではこちらへ」
「ああ…ああ…母さん」
千歳の後ろに控えていたスタッフがドンの背を叩き奥の個室へと案内する、タブレットに情報を書き込み次の冒険者を呼んだ。

「こんにちは!こちらへどうぞ!」
「ああ、俺はホウンと言う」
「はい、ホウンさんよろしくお願いします」
「ああ、俺は元は傭兵だったが今は冒険者に…現在は妻が身ごもり…なるべく安全な仕事をしたい」
「分かりました、先に記入して頂いた情報だと元は肉屋だったと」
「ああ、先代の父親が作った借金で店を手放したんだ」
「また肉屋をやりませんか?肉ダンジョンでの卸しでこの商業エリアで肉屋さんをいくつか開業させるつもりなので」
「いいのか?」
「はい、家も用意しますよ。奥様も連れて是非」
「ああ…ああ有難い」
「手続きや家はこちらの方とご相談下さい」
「感謝する」
ホウンという男が泣きながらスタッフに連れられ奥の個室に向かう、タブレットに情報を率が入れて次の冒険者を呼んだ。

「眠れないんです、夜…。私はいつも朝方に寝るんです…体質で」
「成程…冒険者の夜の仕事が少ないと」
「ええ…なので主にダンジョンに引きこもったりして夜活動したりするんですが…」
ラジカが相談を受けている冒険者は陰気などんよりとした空気の青年がぽつぽつと話しをしてる、青年が事前に書いた情報によるとパーティにも属していたが仲間に馴染めず結局は単独冒険者として過ごしているとの事、腕も悪くない単独B級名はテンテスト、トラング達に良い人材がいれば此方にもと言われていた丁度良い。
「夜にそこそこ稼げる仕事なら何でも良いですか?」
「えと、暗い性格なので…それでよければ」
「承知しました、少しお待ちください。あ、私です丁度良い人材いました。今からそちらに行きますから宜しくお願いします。カジノの支配人に話しを付けました、面接に今から行って下さいそちらの方が案内しますから。寮もあるのですぐにでも働けます」
「え、え?」
「どうぞこちらへ」
テンテストはスタッフに案内されるまま、カジノトラング達がいるスタッフルームに案内されていく、タブレットに情報を書き込み次を呼んだ。

「中々賑わっているね」
「混んでるな」
「あ、崇幸兄と千眼さん」
「よ、舵。トイ、ニト」
「こんにちは、崇幸さん千眼さん」
「こんにちはー崇幸さん千眼さん」
「崇幸兄、ちょっとお茶飲もうよ」
「きゃきゃ」
「……」
「お、いいぞ。仕事前に一服するか」
賑わう情報ギルド前で今から紹介所に向かう崇幸と左胸に止まる千眼に挨拶をする、舵とトイとニトとカルンと赤ちゃん、外の席でジュースとお茶でも飲もうかとカウンターに行く前で崇幸の足が止まる。
「あれは…ちょっと待て。先に飲み物注文して座っててくれ」
「うん…ああ、俺も行くよ。ニト達座っていて」
「はい」
「分かりました」
崇幸と舵の眼に映ったのは、情報ギルドの掲示板で依頼をみていた小さな少年の姿、ベルンよりも小さい身体…に崇幸は声を掛けた。

「やあ、こんにちは。依頼探しているのかい?」
「あ……はい…」
「1人で来たの?」
「他の冒険者の人に頼んで、ご、ごめなさい」
「?どうして謝るの?」
「1人で…身体小さいし俺みたいなのが冒険者とかって…」
『……』
確かに冒険者としては粗末な装備、剣ではなくナイフ、痩せた栄養の足りていない小さな身体、崇幸と舵が顔を見合わせ崇幸が笑う。
「ちょっとおじさんとお兄さんとお茶をしないか?食べ物もある」
「あ、あの…でも…ぐぅぅぅう」
「身体は正直だね、俺は舵。君は?」
「俺は崇幸だ。ほらここは沢山の人がいるから悪い事は出来ないから来るといい」
「ぐぅぅ…う…俺はヒビカ…です」
顔を真っ赤にしてお腹を抑える少年ヒビカ、舵と崇幸がニコリと笑いトイ達の元へと向かった。

「なるほど、元々は鉱物加工の…」
「はい…弟が騙されてしまい店を手放したので今は冒険者です、ですが危険な任務よりかは他の仕事があればと思い…」
「承知しました、何か加工した自分の作品をお持ちですか?」
「これです、これだけしかありませんが…」
千歳が元は鉱物加工の職人だったいう冒険者トックに作品を見せて欲しいと頼んだところ、腕に嵌めていた細かい細工が施された上品な貴族などが好みそう物を差し出し、千歳が手に取り鑑定に掛ける、トックの腕輪:良い腕の持ち主 身体強化が向上する魔法が組み込まれています 千歳がにこりと笑う、エクトとセレネがデザインした腕時計の注文が皇国で殺到しているようなのでそちらはどうかと打診を掛けた。
「実はですね、今こう言った商品を作れる職人を探していまして」
「これはすごい仕組みの…腕にする時計ですか?これは…すごい一体どんな方がこれを?」
「ええ、頭の切れる者が共同で考えた物ですね。彼らは他の制作に忙しくこちらの制作に割く時間が無いので作って貰える方を探していたんです。如何です?店や材料、必要な物全て準備します。皇国で店を構えて欲しいのですが」
まさか魔人の子供達が暇つぶしに設計した物で、もう飽きて他の物を造っているとは言えない、千歳はアルカイックスマイルを浮かべた。
「それは構いません、天涯孤独の独り身ですから。店や必要な物まで…ありがとうございます…弟も呼んで…2人でやり直します」
「はい、後はこちらのスタッフと細かい話しをしてすぐに住居の準備も出来ますから」
「は、はい…なんと礼を言ったらいいか…」
「構いませんよ」
千歳が笑って涙を浮かべているトックの背を見送り、本日はこれで終わりにしお茶でも飲んでラジカと率と帰ろうかと腰を上げた…。

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