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28.俺は「俺」だ!
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不意に意識が浮上する。
あれからどれくらいたったのかな。
今は昼間なんだと思う。
まぶたの裏に、柔らかな陽の光が透けて見えるから。
重いまぶたを開けようとすると、昨夜とは違い、今度は難なく動かすことができた。
視線の先には、見慣れない部屋。
重厚な家具。色鮮やかな絨毯。
けれど、そんなものより。
ベッドサイドの椅子に座り、ベッドに頭を預けて眠っているフィンの姿に目を奪われた。
その顔を見つめるだけで、俺は胸が高鳴る。
ドクドクという音が鳴り響く。
その音を聞いて、ようやく実感できた。
――俺、ちゃんと生きてる。
体を少し動かした瞬間、鈍い痛みが走る。
けれど、それと同時に優しい温もりが手に伝わる。
その温もりは、俺の手を力強く包み込んでくれるフィンの手だった。
「……フィン」
俺が名を呼ぶと、フィンの肩がびくりと震えた。
彼は目を見開き、泣き出しそうな顔で俺を見た。
「エリゼオ……! 良かった、気がついたんだな……!」
その声を聞いて、胸が締めつけられる。
俺を呼ぶその声が、なぜか懐かしいと感じた。
けれど同時に、あの記憶が蘇る。
妹の声。
病院の白い天井。
そして“ゲーム”という言葉。
「なぁ……フィン。俺たちのこの世界って、本当に……あるのかな」
フィンからしたら突然そんなことを聞かれても、訳が分からないだろうな。
そう思うけど、俺は止まらなかった。
「もしかして、俺は……作られた存在なのか?
この想いも、誰かが決めた“ルート”の中で……そうなるようにできてるだけなんじゃないのか?」
フィンは俺が話している間、ただ俺の手を握りしめたまま見つめていた。
それから、静かに口を開いた。
「君がなぜそんなことを言い出したのかは、分からないけど。
私や世界がなんであろうと、気にしない。
私がいて、そこに君がいる。
それだけで私には充分なんだ。
私は君以外、何もいらない。
もし、この気持ちを誰かに忘れさせられたとしても——。
きっとまた君を好きになる。
私を救ってくれたのは、いつだって君なんだよ、エリゼオ」
真っ直ぐな言葉に、心臓が痛いほど跳ねた。
「……そうだよな。
どんな世界にいたとしても、俺は、俺だ。
フィンが好きだって気持ちは、誰かに決められたものじゃない。
俺が、俺の意志で選んだんだ」
その瞬間、フィンが俺をそっと抱きしめた。
胸の奥で、トクン、と音が鳴る。
「おかえり、エリゼオ。
生きててくれて……ありがとう」
その声に、涙がにじんだ。
このぬくもり。この思い。
全てが、俺のものだ。
たとえこの世界がどんな仕組みでできていようと——
俺は、確かに“生きている”んだ。
フィンが腕を外すと、俺の懐から何かが零れ落ちた。
あ、これ。
敵が襲ってきたとき、フィンが渡してくれた短剣だ。
俺が眠っている間、ずっと温かくて、フィンに抱きしめられてるみたいだった。
「これ、ありがとう。
もしかして、魔道具なのか?
怪我して寝ている間、ずっと暖かくて。
すごく安心できた」
俺の言葉に、フィンが一瞬微笑み、すぐ悲痛な表情になる。
「これはね、君を守ってくれるように願いながら、私が魔力を込めたんだ。
きっと、これがなかったら君は……もっとひどい怪我をしていたはずだ。
あの爆発に巻き込まれて、生きているのは本当に奇跡なんだよ」
その時のことを思い出したのか、フィンの手がかすかに震えていた。
「……そっか。ありがとな」
「もう、こんな無茶なことはしないでくれ」
「……ごめんね」
フィンのまつ毛も震えていた。
俺、ほんと考えなしに動いた。
けれど、それでフィンを守れたんだ。
だから、フィンには悪いけど、ちっとも後悔なんかしてない。
おれが返事をしないことに、フィンは気が付いたみたいだ。
フィンは俺の顔をじっと見て、少しだけ眉を上げた。
「全然反省してないな。……分かった。
次に無茶をしたら、私の部屋から一歩も出さないよ。
食事も入浴も全て私が世話してあげる。
うん、それもいいな。君の瞳に映るのは私だけだなんて、幸せだ」
なぜか途中からうっとりした表情になったフィンに、思わず笑ってしまう。
そうだよ、それでこそフィンだ。
俺のことが好きすぎて、ちょっとおかしなことを言う。
そんなフィンが俺は大好きなんだ。
俺、ちゃんと自分でフィンを選んだ。
そうだよ。
前世のころから、俺はフィンが好きだったじゃないか。
妹にはあきれられても、「一番かっこいいのはフィンだよ」って言い続けてた。
あの頃から、俺はフィンに心を奪われてた。
懸命に自分の責任を果たそうとする姿がかっこよかった。
そんなフィンが今は俺に「好きだよ」と言って、特別優しくしてくれる。
そんなの、好きにならないわけないじゃないか。
もう、悩むのはやめだ。
俺は「俺」で、「俺」は生まれ変わる前から「フィン」が大好きなんだから。
「フィン、大好きだよ。大丈夫、俺はずっと一緒だからな!!」
一瞬きょとんとしたフィンが、次の瞬間、破顔して俺を力強く抱きしめてきた。
「ああ! もう君が何を言っても、私は君を離さないよ。一生、いや、生まれ変わっても、ずっと一緒だからね」
俺も力強くフィンを抱きしめ返す。
って、背中、痛え!
そりゃそうだ。短剣が守ってくれたって言っても、すごい大怪我だったもんな。
それでも今、この瞬間が一番幸せだった。
フィンと俺がいて、互いに笑い合う。
それ以上の幸せなんかない。
そしてそれは、これからずっと続くと、信じて疑わなかった。
互いに思いを伝えあった俺たちに、再び別れの危機が訪れるなんて――
この時は思いもしなかったんだ。
あれからどれくらいたったのかな。
今は昼間なんだと思う。
まぶたの裏に、柔らかな陽の光が透けて見えるから。
重いまぶたを開けようとすると、昨夜とは違い、今度は難なく動かすことができた。
視線の先には、見慣れない部屋。
重厚な家具。色鮮やかな絨毯。
けれど、そんなものより。
ベッドサイドの椅子に座り、ベッドに頭を預けて眠っているフィンの姿に目を奪われた。
その顔を見つめるだけで、俺は胸が高鳴る。
ドクドクという音が鳴り響く。
その音を聞いて、ようやく実感できた。
――俺、ちゃんと生きてる。
体を少し動かした瞬間、鈍い痛みが走る。
けれど、それと同時に優しい温もりが手に伝わる。
その温もりは、俺の手を力強く包み込んでくれるフィンの手だった。
「……フィン」
俺が名を呼ぶと、フィンの肩がびくりと震えた。
彼は目を見開き、泣き出しそうな顔で俺を見た。
「エリゼオ……! 良かった、気がついたんだな……!」
その声を聞いて、胸が締めつけられる。
俺を呼ぶその声が、なぜか懐かしいと感じた。
けれど同時に、あの記憶が蘇る。
妹の声。
病院の白い天井。
そして“ゲーム”という言葉。
「なぁ……フィン。俺たちのこの世界って、本当に……あるのかな」
フィンからしたら突然そんなことを聞かれても、訳が分からないだろうな。
そう思うけど、俺は止まらなかった。
「もしかして、俺は……作られた存在なのか?
この想いも、誰かが決めた“ルート”の中で……そうなるようにできてるだけなんじゃないのか?」
フィンは俺が話している間、ただ俺の手を握りしめたまま見つめていた。
それから、静かに口を開いた。
「君がなぜそんなことを言い出したのかは、分からないけど。
私や世界がなんであろうと、気にしない。
私がいて、そこに君がいる。
それだけで私には充分なんだ。
私は君以外、何もいらない。
もし、この気持ちを誰かに忘れさせられたとしても——。
きっとまた君を好きになる。
私を救ってくれたのは、いつだって君なんだよ、エリゼオ」
真っ直ぐな言葉に、心臓が痛いほど跳ねた。
「……そうだよな。
どんな世界にいたとしても、俺は、俺だ。
フィンが好きだって気持ちは、誰かに決められたものじゃない。
俺が、俺の意志で選んだんだ」
その瞬間、フィンが俺をそっと抱きしめた。
胸の奥で、トクン、と音が鳴る。
「おかえり、エリゼオ。
生きててくれて……ありがとう」
その声に、涙がにじんだ。
このぬくもり。この思い。
全てが、俺のものだ。
たとえこの世界がどんな仕組みでできていようと——
俺は、確かに“生きている”んだ。
フィンが腕を外すと、俺の懐から何かが零れ落ちた。
あ、これ。
敵が襲ってきたとき、フィンが渡してくれた短剣だ。
俺が眠っている間、ずっと温かくて、フィンに抱きしめられてるみたいだった。
「これ、ありがとう。
もしかして、魔道具なのか?
怪我して寝ている間、ずっと暖かくて。
すごく安心できた」
俺の言葉に、フィンが一瞬微笑み、すぐ悲痛な表情になる。
「これはね、君を守ってくれるように願いながら、私が魔力を込めたんだ。
きっと、これがなかったら君は……もっとひどい怪我をしていたはずだ。
あの爆発に巻き込まれて、生きているのは本当に奇跡なんだよ」
その時のことを思い出したのか、フィンの手がかすかに震えていた。
「……そっか。ありがとな」
「もう、こんな無茶なことはしないでくれ」
「……ごめんね」
フィンのまつ毛も震えていた。
俺、ほんと考えなしに動いた。
けれど、それでフィンを守れたんだ。
だから、フィンには悪いけど、ちっとも後悔なんかしてない。
おれが返事をしないことに、フィンは気が付いたみたいだ。
フィンは俺の顔をじっと見て、少しだけ眉を上げた。
「全然反省してないな。……分かった。
次に無茶をしたら、私の部屋から一歩も出さないよ。
食事も入浴も全て私が世話してあげる。
うん、それもいいな。君の瞳に映るのは私だけだなんて、幸せだ」
なぜか途中からうっとりした表情になったフィンに、思わず笑ってしまう。
そうだよ、それでこそフィンだ。
俺のことが好きすぎて、ちょっとおかしなことを言う。
そんなフィンが俺は大好きなんだ。
俺、ちゃんと自分でフィンを選んだ。
そうだよ。
前世のころから、俺はフィンが好きだったじゃないか。
妹にはあきれられても、「一番かっこいいのはフィンだよ」って言い続けてた。
あの頃から、俺はフィンに心を奪われてた。
懸命に自分の責任を果たそうとする姿がかっこよかった。
そんなフィンが今は俺に「好きだよ」と言って、特別優しくしてくれる。
そんなの、好きにならないわけないじゃないか。
もう、悩むのはやめだ。
俺は「俺」で、「俺」は生まれ変わる前から「フィン」が大好きなんだから。
「フィン、大好きだよ。大丈夫、俺はずっと一緒だからな!!」
一瞬きょとんとしたフィンが、次の瞬間、破顔して俺を力強く抱きしめてきた。
「ああ! もう君が何を言っても、私は君を離さないよ。一生、いや、生まれ変わっても、ずっと一緒だからね」
俺も力強くフィンを抱きしめ返す。
って、背中、痛え!
そりゃそうだ。短剣が守ってくれたって言っても、すごい大怪我だったもんな。
それでも今、この瞬間が一番幸せだった。
フィンと俺がいて、互いに笑い合う。
それ以上の幸せなんかない。
そしてそれは、これからずっと続くと、信じて疑わなかった。
互いに思いを伝えあった俺たちに、再び別れの危機が訪れるなんて――
この時は思いもしなかったんだ。
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