69 / 73
第二章
69
しおりを挟む
翌日、フリードリヒは再び結婚・恋愛相談所を訪れていた。
「世界一のプロポーズの仕方を教えて下さい。絶対に失敗しないプロポーズの仕方を」
「あれ? ご婚約はされているんじゃなかったのですか? あ、お相手が変わりました?」
今日もマルクスは女装して対応する。
おかしいな? フリッツ様は婚約者様の事をあんなに好きっぽかったのに。
「いえ、相手は変わっていません。婚約はしていましたが、成り行きだったので、プロポーズをしていないのです」
「あ、では、もう、その方と結婚する事に決められたのですね!」
「決めたわけではありませんが、知っておくことは大事だと思ったのです」
この人、めっちゃツンデレじゃない!?
「そ、そうなのですね」
「それで、どうすれば良いですか?」
「プロポーズというのは、女性にとって、とっても大事な日です。男性は自分が用意する事には懸命になりますが、女性にも準備が必要な事を考えない方が多いのです。カッコイイところをアピールしたつもりが、独りよがりな暴君である事をアピールしてしまい、失敗する事が多々あります」
「なるほど、具体的にはどうすればいいのですか?」
「プロポーズをする日は、事前にお洒落してもらうように伝えたり、ドレスやアクセサリーなどを贈って身に付けて欲しいとお願いしたり、ハイソ(上流)な場所に出掛けようと誘ったり、とにかく着飾ってもらうのです」
「それならば、ドレスを贈ります。平民の娘なので、あまりドレスは持っていないはず」
「贈り物にも注意が必要です。サイズ違いだったり、相手の好みと違う物を贈ると、逆に怒らせる原因になります」
「相手の好みをリサーチするのですね。それは大変ですね...」
「お金があるのでしたら、商人を呼んで、婚約者様に好きな物を選んでもらっては?」
「それなら、絶対に気にいる物を贈れますね!」
「実は指輪も選ばせてあげた方が喜びますよ」
「それではプロポーズの時に指輪がなくて格好がつかないのでは?」
「男性は格好をつけて一瞬のロマンスを重要視しますが、女性は指輪が自分の好みでないと一生苦しむ場合があるのです。中には、もらった時だけして、その後は二度と身に付けないという方も多いです」
「そ、そうなのですね...高価な物を贈るのに、してもらえないのは嫌です」
「ですが、ロマンスと両立させる素晴らしい方法があるんです! その分、お金はかかりますけどね」
「どんな方法ですか?」
「本物の婚約指輪は後で一緒に買う事にして、プロポーズの際はプロポーズ用のダミーの指輪、もしくは指輪に代わる記念品を用意するのです。ほら、オペラでも、銀製の薔薇をプロポーズの際に贈る演目があるでしょう?」
「それは素晴らしい案ですね!」
「そして、プロポーズには雰囲気も重要です! 汚いところや雑多な場所を避け、出来るだけ美しくて静かな場所を選びましょう。花がいっぱい咲いていたり、夜景が見えたり、遠くから音楽が聞こえるような場所も素敵です。
タイミングも大事です! その場所について、いきなりプロポーズするのではなく、美しい物を眺めたり、美味しい物を食べたり、音楽に耳を傾けたりして、ロマンチックなムードを作って下さい」
「分かりました!」
「でも、1番大事なのはフリッツ様が愛していることを伝える事です。素晴らしいシチュエーションでプロポーズしても失敗する人もいれば、有り得ないシチュエーションでプロポーズしても成功する人もいます」
「では、色々準備しても意味がないということですか?」
「いえ、違いは、愛が伝わっているか、どうかなんです。お相手様は、この人なら自分を大切にしてくれる。幸せにしてくれると思えば、不器用なプロポーズでもOKするのです。ですが、独りよがりで、相手のことを考えないプロポーズは、別れを決断させるきっかけになります。つまり、プロポーズで手を抜けば、相手を大事にしない男だとアピールしてしまうことになります」
「それは...恐ろしいですね。ですが、非常に参考になりました。また、お願いします」
「毎度、御贔屓に有難うございます!」
「世界一のプロポーズの仕方を教えて下さい。絶対に失敗しないプロポーズの仕方を」
「あれ? ご婚約はされているんじゃなかったのですか? あ、お相手が変わりました?」
今日もマルクスは女装して対応する。
おかしいな? フリッツ様は婚約者様の事をあんなに好きっぽかったのに。
「いえ、相手は変わっていません。婚約はしていましたが、成り行きだったので、プロポーズをしていないのです」
「あ、では、もう、その方と結婚する事に決められたのですね!」
「決めたわけではありませんが、知っておくことは大事だと思ったのです」
この人、めっちゃツンデレじゃない!?
「そ、そうなのですね」
「それで、どうすれば良いですか?」
「プロポーズというのは、女性にとって、とっても大事な日です。男性は自分が用意する事には懸命になりますが、女性にも準備が必要な事を考えない方が多いのです。カッコイイところをアピールしたつもりが、独りよがりな暴君である事をアピールしてしまい、失敗する事が多々あります」
「なるほど、具体的にはどうすればいいのですか?」
「プロポーズをする日は、事前にお洒落してもらうように伝えたり、ドレスやアクセサリーなどを贈って身に付けて欲しいとお願いしたり、ハイソ(上流)な場所に出掛けようと誘ったり、とにかく着飾ってもらうのです」
「それならば、ドレスを贈ります。平民の娘なので、あまりドレスは持っていないはず」
「贈り物にも注意が必要です。サイズ違いだったり、相手の好みと違う物を贈ると、逆に怒らせる原因になります」
「相手の好みをリサーチするのですね。それは大変ですね...」
「お金があるのでしたら、商人を呼んで、婚約者様に好きな物を選んでもらっては?」
「それなら、絶対に気にいる物を贈れますね!」
「実は指輪も選ばせてあげた方が喜びますよ」
「それではプロポーズの時に指輪がなくて格好がつかないのでは?」
「男性は格好をつけて一瞬のロマンスを重要視しますが、女性は指輪が自分の好みでないと一生苦しむ場合があるのです。中には、もらった時だけして、その後は二度と身に付けないという方も多いです」
「そ、そうなのですね...高価な物を贈るのに、してもらえないのは嫌です」
「ですが、ロマンスと両立させる素晴らしい方法があるんです! その分、お金はかかりますけどね」
「どんな方法ですか?」
「本物の婚約指輪は後で一緒に買う事にして、プロポーズの際はプロポーズ用のダミーの指輪、もしくは指輪に代わる記念品を用意するのです。ほら、オペラでも、銀製の薔薇をプロポーズの際に贈る演目があるでしょう?」
「それは素晴らしい案ですね!」
「そして、プロポーズには雰囲気も重要です! 汚いところや雑多な場所を避け、出来るだけ美しくて静かな場所を選びましょう。花がいっぱい咲いていたり、夜景が見えたり、遠くから音楽が聞こえるような場所も素敵です。
タイミングも大事です! その場所について、いきなりプロポーズするのではなく、美しい物を眺めたり、美味しい物を食べたり、音楽に耳を傾けたりして、ロマンチックなムードを作って下さい」
「分かりました!」
「でも、1番大事なのはフリッツ様が愛していることを伝える事です。素晴らしいシチュエーションでプロポーズしても失敗する人もいれば、有り得ないシチュエーションでプロポーズしても成功する人もいます」
「では、色々準備しても意味がないということですか?」
「いえ、違いは、愛が伝わっているか、どうかなんです。お相手様は、この人なら自分を大切にしてくれる。幸せにしてくれると思えば、不器用なプロポーズでもOKするのです。ですが、独りよがりで、相手のことを考えないプロポーズは、別れを決断させるきっかけになります。つまり、プロポーズで手を抜けば、相手を大事にしない男だとアピールしてしまうことになります」
「それは...恐ろしいですね。ですが、非常に参考になりました。また、お願いします」
「毎度、御贔屓に有難うございます!」
0
あなたにおすすめの小説
ドレスが似合わないと言われて婚約解消したら、いつの間にか殿下に囲われていた件
ぽぽよ
恋愛
似合わないドレスばかりを送りつけてくる婚約者に嫌気がさした令嬢シンシアは、婚約を解消し、ドレスを捨てて男装の道を選んだ。
スラックス姿で生きる彼女は、以前よりも自然体で、王宮でも次第に評価を上げていく。
しかしその裏で、爽やかな笑顔を張り付けた王太子が、密かにシンシアへの執着を深めていた。
一方のシンシアは極度の鈍感で、王太子の好意をすべて「親切」「仕事」と受け取ってしまう。
「一生お仕えします」という言葉の意味を、まったく違う方向で受け取った二人。
これは、男装令嬢と爽やか策士王太子による、勘違いから始まる婚約(包囲)物語。
『すり替えられた婚約、薔薇園の告白
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢シャーロットは幼馴染の公爵カルロスを想いながら、伯爵令嬢マリナの策で“騎士クリスとの婚約”へとすり替えられる。真面目なクリスは彼女の心が別にあると知りつつ、護るために名乗りを上げる。
社交界に流される噂、贈り物の入れ替え、夜会の罠――名誉と誇りの狭間で、言葉にできない愛は揺れる。薔薇園の告白が間に合えば、指輪は正しい指へ。間に合わなければ、永遠に
王城の噂が運命をすり替える。幼馴染の公爵、誇り高い騎士、そして策を巡らす伯爵令嬢。薔薇園で交わされる一言が、花嫁の未来を決める――誇りと愛が試される、切なくも凛とした宮廷ラブロマンス。
せめて、淑女らしく~お飾りの妻だと思っていました
藍田ひびき
恋愛
「最初に言っておく。俺の愛を求めるようなことはしないで欲しい」
リュシエンヌは婚約者のオーバン・ルヴェリエ伯爵からそう告げられる。不本意であっても傷物令嬢であるリュシエンヌには、もう後はない。
「お飾りの妻でも構わないわ。淑女らしく務めてみせましょう」
そうしてオーバンへ嫁いだリュシエンヌは正妻としての務めを精力的にこなし、徐々に夫の態度も軟化していく。しかしそこにオーバンと第三王女が恋仲であるという噂を聞かされて……?
※ なろうにも投稿しています。
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さくら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
【片思いの5年間】婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。
五月ふう
恋愛
「君を愛するつもりも婚約者として扱うつもりもないーー。」
婚約者であるアレックス王子が婚約初日に私にいった言葉だ。
愛されず、婚約者として扱われない。つまり自由ってことですかーー?
それって最高じゃないですか。
ずっとそう思っていた私が、王子様に溺愛されるまでの物語。
この作品は
「婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。」のスピンオフ作品となっています。
どちらの作品から読んでも楽しめるようになっています。気になる方は是非上記の作品も手にとってみてください。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる