【完結】婚約破棄と言われても個人の意思では出来ません

第二章

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　翌日、エミリアは自室のベッドの上で目を覚ました。

　頭痛い！　内臓が気持ち悪い！　でも...

　昨日の夢はいい夢だったな。

　キラッ

　机の上で光るものが見えた。

　眠い目を擦って、目を凝らす。

　黄金の薔薇が、花瓶に生けられている。

　夢じゃ...ない？

　黄金の薔薇を手に取ってみると、薔薇はびしょびしょに濡れている。どうやら花瓶に水を入れて生けていたらしい。慌てて水分を拭きとる。

　錆びたりしないよね？


　1年後、エミリアは平民出身の妃として、歴史に名を刻むこととなった。

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　今日は、ロイヤルファミリーの集まるアフタヌーンティー。ヴィルヘルムとフリードリヒは熱い議論に花を咲かせていた。

「最も素晴らしい『仲良し』は、やっぱりベッドでする『仲良し』だろ？」

「兄上、夫婦の『仲良し』は一緒に食事をすることこそが重要ですよ。歳を重ねてもずっと楽しめますからね」

「クリスチナの意見を聞こうじゃないか！」

「望むところです！」

「殿下、その発言はセクハラでございます。ですが、どうしても答えが知りたいのでしたら、ワタクシは専門家の意見を聞くべきだと思います」

　クリスチナはエミリアに話を振った。

「私は夫が稼いできたお金を妻が使ってあげる一連の流れが『仲良し』だと思います～！」

　エミリアの指には大きなサファイアの指輪が座っている。

「ね？　ルディ！」

　ルディとは、クリスチナとヴィルヘルムの息子ルドルフの愛称である。

「あい！　ルディもなかよちちゅる！」

　そういうとルドルフはクリスチナのお腹を撫でた。

「ルディが1番賢いわね！」　

　クリスチナはもうすぐ、第二子を出産する予定だ。

　ヴィルヘルムは最近、以前よりもずっと、クリスチナの言うことを素直に聞いている。

　フリードリヒは溜息を吐く回数が減っているようだ。

　結婚・恋愛相談所はエミリアの弟のマルクスが正式な店主になった。大繁盛しており、マルクスは大変儲けているらしい。マイヤー宰相までもが、結婚する気のない孫娘エリーゼの相談をするために、マルクスを頻繁に呼び出して、お得意様になっているんだそうな。

　エミリアのところにも、王宮内の貴族達が結婚や恋愛の悩みを相談しに来るようになり、エミリアは社交界での揺るぎない地位を確立しつつある。


　第二王子夫妻の部屋には、永遠の愛を告げる枯れない薔薇が今日も飾られている。

　役目を終えた蝶は空へと飛び立った。


　END


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狸田真より

　最後まで、ご愛読頂き有難うございます。

　フリードリヒは恋愛出来ない現代人みたいな人物で、結婚相手にもより良い条件を求めるタイプでした。

　そんなフリードリヒをエミリアの力で結婚させてみたいなと思い書き始めた第二章。

　当初は外国のお姫様と結婚するエンドを考えていて、エミリアは生涯独身のキャリアウーマンで終わる予定だったのです。

　書いているうちに、なんか自然とフリードリヒがエミリアを好きになってしまって、こんな結末になりました(汗)


　読者の皆様に、少しでも楽しんで頂けていましたら幸いです。