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政略結婚と恋愛結婚。幸せになる方は?1
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私とコルタはお兄様に事情を説明するために、廊下から近い場所にあるお兄様の執務室に向かった。
恋愛関係というデリケートな話なので、廊下で話をして誰かに聞かれたら困るからだ。
それに、お兄様がまた胃を押さえ始めたため、体を休めて落ち着ける場所で説明をするために。
お兄様の執務室は左手には執務室があり、窓際には私達が座っている応接セットが配置されている。
私が左手を見れば窓からはうっそうとした木々が周囲からの視線を隠してくれ、執務で疲れた時に休むにはちょうど良さそうだ。
入口と執務机が設置されている壁以外には本棚が設置されてあり、天井から床までぎっしりと本が収納されているのがお兄様らしい。
「――じゃあ、突然メディに避けられてしまったコルタがティアに事情を聞こうとしていただけなんだね。ティアに逃げられないようにあんな態勢で……また矢印が複雑になったのかと思ったよ」
お兄様は私とコルタから説明を受けたけれども、胃が落ち着かないようで摩っている。
私達が囲んでいるテーブルの上には、メイドが入れてくれたハーブティーと籠に入った蜂蜜キャンディーが置かれていた。
「お兄様、ごめんなさい。また胃を」
「悪かった。誤解させて」
テーブル越しに座っているコルタが深々と頭を下げる。
「さっき説明して貰ったけど、メディがコルタを避けたのって本当かい? メディが避けるなんて考えられないんだけど」
「完全に避けられた。顔を真っ赤にしてティアの後ろに隠れたんだ。その上、仕事があるって逃げ出したし」
「顔を真っ赤に……? メディがコルタを好きになったとか?」
「ないだろ。あいつはレイのことが好きなんだからな。考えられるのは、俺がメディのことを好きだと知られてしまった可能性だ」
隣に座っているお兄様が私へと顔を向けたので、私は息を吐き出して唇を動かす。
「名前は言えないけど、とある人からメディが聞いたの。その人からコルタを頼むって」
「はぁ? なんで勝手に頼むんだよ。余計なことだ。俺はただメディの傍で見守れれば良かっただけなのに」
「事情があるの。その人はエタセルを離れて、遠くに行ってしまうかもしれないから」
不愉快そうなコルタの気持ちも理解できる。
勝手に自分の気持ちを伝えられたら迷惑だ。
でも、ルナ様の心情も察せるし。
「エタセルを離れる? 誰だよ、そいつ」
「言えない。でも、その人の気持ちもわかるわ。勿論、勝手にメディへの気持ちを伝えられたコルタの気持ちも」
「なるほど。では、メディはきっとコルタの気持ちを知り、どう接して良いかわからなくなってしまったのかもしれないね。メディも色々考える時間が欲しいと思うから、少しそっとしてあげたらどうだい?」
お兄様の言葉に、コルタは唇を噛みしめると前髪をかき上げ立ち上がった。
「コルタ?」
「鍛錬場に行く。少し体を動かして発散させたい」
「うん、気をつけて」
コルタは返事をせず片手を上げると、執務室の扉へと消えていく。
私とお兄様は、ただ彼を見送るしか出来なかった。
ルナ様のことを責めることも出来ないし、コルタに怒らないでとも言えないから。
一度絡んだ糸は本当に解くのが難しい。
「コルタが怒るのも無理はないよ」
「わかります。でも、ルナ様の気持ちも理解出来ます」
「ルナ様だったのかい?」
「……はい」
私はお兄様にルナ様とのお茶会を話した。
お兄様の胃が心配だったけれども、ルナ様の縁談に関してお兄様も詳しいので色々フォローして貰うことがあるかもしれなかったからだ。
「そのお茶会に僕がティアの身で参加したら、きっと気絶していたよ……絶対に……」
「お兄様。ルナ様はキャンベリア国との縁談を受けなければならないのですか?」
「受けるかどうかはルナ様次第だよ。レイガルド様もそうおっしゃっていた。勿論、僕だって好きな人と結ばれるのが一番だと思っている。でも、僕は必ずしも政略結婚が駄目だなんて言えない。僕達の両親を見ているからね。逆にライは政略結婚に関しては絶対に反対だろう。トラウマの禍根であるグレーニャ様のことがあるからね。ティアと出会う前に結婚はしないと決めていたくらいだから」
「相手次第ですね」
「そうだね。でも、ルナ様のお相手の方はとても良い方で前回のエタセルのパーティーで彼女を好きになったそうなんだ。ルナ様の負担になるようなことは絶対にしないし、もし縁談が纏まれば式などもエタセルに合せるって。だから、何回か会ってからでも良いかなとは個人的に思う」
エタセルとしては政略結婚だが、あちらとしては恋愛感情が絡んでいるのか。
「メディとコルタって、僕は悪くないと感じるなぁ」
「何故ですか? レイガルド様とメディでも国同士の結びつきは得られます」
「ティアがライを選んだ場合でもエタセルとファルマの結びつきは得られるよ。まだ、ティアがどちらを選ぶかわからないけどね」
「それは……」
「エタセルは王妃だけではなく、側室も娶らなければならないから。ここはファルマのような大国ではないんだ。王族の婚姻によって国同士の結びつきを強くしなきゃ。レイガルド様の政略結婚に対して、メディが耐えられるかどうか。僕としては、彼女だけを支えてくれる男性が傍にいてあげて欲しいなぁって」
メディには耐えられそうにないかもしれない。
お母様の件もあるし。
「ねぇ、ティア。ルナ様からレイガルド様を頼むと言われたから、レイガルド様を選ばなければならないということはないよ。ゆっくり考えて」
「はい」
お兄様に返事はしたけど、私はルナ様に言われたことが気がかりだった。
私がエタセルに残ってレイの隣で国を発展させるために仕事をしていけば……
でも、同時にメディのことも考えてしまう。
――どうすればいいのかわからないわ。今はまずメディの様子を見に行かないと。
恋愛関係というデリケートな話なので、廊下で話をして誰かに聞かれたら困るからだ。
それに、お兄様がまた胃を押さえ始めたため、体を休めて落ち着ける場所で説明をするために。
お兄様の執務室は左手には執務室があり、窓際には私達が座っている応接セットが配置されている。
私が左手を見れば窓からはうっそうとした木々が周囲からの視線を隠してくれ、執務で疲れた時に休むにはちょうど良さそうだ。
入口と執務机が設置されている壁以外には本棚が設置されてあり、天井から床までぎっしりと本が収納されているのがお兄様らしい。
「――じゃあ、突然メディに避けられてしまったコルタがティアに事情を聞こうとしていただけなんだね。ティアに逃げられないようにあんな態勢で……また矢印が複雑になったのかと思ったよ」
お兄様は私とコルタから説明を受けたけれども、胃が落ち着かないようで摩っている。
私達が囲んでいるテーブルの上には、メイドが入れてくれたハーブティーと籠に入った蜂蜜キャンディーが置かれていた。
「お兄様、ごめんなさい。また胃を」
「悪かった。誤解させて」
テーブル越しに座っているコルタが深々と頭を下げる。
「さっき説明して貰ったけど、メディがコルタを避けたのって本当かい? メディが避けるなんて考えられないんだけど」
「完全に避けられた。顔を真っ赤にしてティアの後ろに隠れたんだ。その上、仕事があるって逃げ出したし」
「顔を真っ赤に……? メディがコルタを好きになったとか?」
「ないだろ。あいつはレイのことが好きなんだからな。考えられるのは、俺がメディのことを好きだと知られてしまった可能性だ」
隣に座っているお兄様が私へと顔を向けたので、私は息を吐き出して唇を動かす。
「名前は言えないけど、とある人からメディが聞いたの。その人からコルタを頼むって」
「はぁ? なんで勝手に頼むんだよ。余計なことだ。俺はただメディの傍で見守れれば良かっただけなのに」
「事情があるの。その人はエタセルを離れて、遠くに行ってしまうかもしれないから」
不愉快そうなコルタの気持ちも理解できる。
勝手に自分の気持ちを伝えられたら迷惑だ。
でも、ルナ様の心情も察せるし。
「エタセルを離れる? 誰だよ、そいつ」
「言えない。でも、その人の気持ちもわかるわ。勿論、勝手にメディへの気持ちを伝えられたコルタの気持ちも」
「なるほど。では、メディはきっとコルタの気持ちを知り、どう接して良いかわからなくなってしまったのかもしれないね。メディも色々考える時間が欲しいと思うから、少しそっとしてあげたらどうだい?」
お兄様の言葉に、コルタは唇を噛みしめると前髪をかき上げ立ち上がった。
「コルタ?」
「鍛錬場に行く。少し体を動かして発散させたい」
「うん、気をつけて」
コルタは返事をせず片手を上げると、執務室の扉へと消えていく。
私とお兄様は、ただ彼を見送るしか出来なかった。
ルナ様のことを責めることも出来ないし、コルタに怒らないでとも言えないから。
一度絡んだ糸は本当に解くのが難しい。
「コルタが怒るのも無理はないよ」
「わかります。でも、ルナ様の気持ちも理解出来ます」
「ルナ様だったのかい?」
「……はい」
私はお兄様にルナ様とのお茶会を話した。
お兄様の胃が心配だったけれども、ルナ様の縁談に関してお兄様も詳しいので色々フォローして貰うことがあるかもしれなかったからだ。
「そのお茶会に僕がティアの身で参加したら、きっと気絶していたよ……絶対に……」
「お兄様。ルナ様はキャンベリア国との縁談を受けなければならないのですか?」
「受けるかどうかはルナ様次第だよ。レイガルド様もそうおっしゃっていた。勿論、僕だって好きな人と結ばれるのが一番だと思っている。でも、僕は必ずしも政略結婚が駄目だなんて言えない。僕達の両親を見ているからね。逆にライは政略結婚に関しては絶対に反対だろう。トラウマの禍根であるグレーニャ様のことがあるからね。ティアと出会う前に結婚はしないと決めていたくらいだから」
「相手次第ですね」
「そうだね。でも、ルナ様のお相手の方はとても良い方で前回のエタセルのパーティーで彼女を好きになったそうなんだ。ルナ様の負担になるようなことは絶対にしないし、もし縁談が纏まれば式などもエタセルに合せるって。だから、何回か会ってからでも良いかなとは個人的に思う」
エタセルとしては政略結婚だが、あちらとしては恋愛感情が絡んでいるのか。
「メディとコルタって、僕は悪くないと感じるなぁ」
「何故ですか? レイガルド様とメディでも国同士の結びつきは得られます」
「ティアがライを選んだ場合でもエタセルとファルマの結びつきは得られるよ。まだ、ティアがどちらを選ぶかわからないけどね」
「それは……」
「エタセルは王妃だけではなく、側室も娶らなければならないから。ここはファルマのような大国ではないんだ。王族の婚姻によって国同士の結びつきを強くしなきゃ。レイガルド様の政略結婚に対して、メディが耐えられるかどうか。僕としては、彼女だけを支えてくれる男性が傍にいてあげて欲しいなぁって」
メディには耐えられそうにないかもしれない。
お母様の件もあるし。
「ねぇ、ティア。ルナ様からレイガルド様を頼むと言われたから、レイガルド様を選ばなければならないということはないよ。ゆっくり考えて」
「はい」
お兄様に返事はしたけど、私はルナ様に言われたことが気がかりだった。
私がエタセルに残ってレイの隣で国を発展させるために仕事をしていけば……
でも、同時にメディのことも考えてしまう。
――どうすればいいのかわからないわ。今はまずメディの様子を見に行かないと。
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