王様のナミダ

白雨あめ

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犬猿の仲の2人4

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「だいたい貴様は......」

なおも会長に攻撃的な冬至を止めるため、紺色の袖口を引っ張る。
黒髪短髪の眉目秀麗な男がこちらを向いた。

「ん? なんだ。」

ふつうに返されて少し罪悪感。

「冬至っ! 俺、昨日準備室に書類置き忘れたかも!」

できるだけ大げさに。

「なんだと? なんの書類だ?」

「分かんない。でも多分すごい大切な書類だと思う。」

「あ? このバカっ! なにやってるんだ。今から探しにいくぞ。」

「うん。行く行く。」


相手をバカにするような笑顔から一転、真面目な顔になり風紀室を出ていった冬至を追いかけ、ドアの方へ向かう。
いまだソファーの横に突っ立ったままの会長へ、できる限り普通の声色で声をかけた。

「会長。それ、別に飲まなくていいからね。ただのインスタントだし。会長がいっつも飲んでるのって、ここのコンビニにしか売ってないコーヒーだよね。あれ、俺も飲んだことあるけど美味しかったよ。」


返事はない。


「だからそれ、そこらへん置いといてね。帰ってきたら冬至が片付けるから。」

「え、あ。」


今度は何か言いたそうな会長をおいて、ドアを閉める。
ガチャリ、と鍵の部分の金属音。
それにほっ、と安心して安堵の息をつく。

「はぁ。」

あの会長に、こんな助けなんていらなかったかもしれない。
彼のことだ。きっと、俺が気をつかって嘘を言ったことにも気づいているだろう。
そうなれば、あの会長の怒りをかうのは当然のことで。

でも。

彼が、泣いてしまうのではないかと思ったから。
昨夜見た夢のように、ぼろぼろと。


酷く、美しく泣いてしまうのではないかと心配した。


そんなことあるはずないと分かっているけど。

「いやだな。」

自信家で、俺様で。
何事にも一番なあの会長に、涙は似合わない。


俺が彼の涙をみる日など絶対にこないと思うけれど。
もし、そんな未来がやってくるのだとしたら、俺はーー。

「とりあえず、ハンカチ持ち歩こうかな。」

そっと、ハンカチを差し出すくらいは多分許されるだろう。


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