王様のナミダ

白雨あめ

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腐男子の彼2

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「おはようございます! 何をされてたんですか?」

「あぁ。......ちょっとな。」


徐々に近づいてくる二つの足音に深く腰を下げる。
この時間に生徒がいるのも珍しい。とりあえず見つからないよう隠れなければ。


俺がこそこそと姿を隠す時間で、悠は完璧にいつもの彼になっていた。そこには悠の言うところによる王道ができあがあっているのだ。
無口で無表情な、自分の気持ちを伝えるのが苦手な生徒会書記。

それが、この学園での悠の役職だ。

「もう行ったから、出てきていいよん。」

「あ、あぁ。うん。」

悠の言った通り、先ほどの生徒が居なくなったのを確認してから、若干痛む腰を思いっきり伸ばす。
何が楽しいのか、笑顔で俺を見ている悠が目に入り、一言文句を言おうと彼を見返す。

「悠もさぁ、見つかるのがイヤならわざわざ俺をこんな場所に連れて来ないでよ。今日、ほんとは会議始まるギリギリまでベットから出るつもりなかったのに。」

風紀委員長である冬至に聞かれたら、怒声の一つでもとんできそうな理由だが、これが俺の本心なのだから仕方がない。
悠も、悠もで。
風紀副委員長である俺と生徒会の書記が友人関係なんておかしいっ、なんて言い、やたら俺との関係を隠したがるくせに、どうして俺をわざわざ中庭なんかに連れてくるのか。

これでは、言ってることとやってることが正反対というやつになるんじゃないのか。

「えぇー。だって今日こんなに天気いいんだよっ。部屋にこもってるなんてもったいないじゃん。それに桜庭くんにもこの気持ちいい綺麗な空気と、最上級の萌え話を提供してあげようと思ったんだよ!」

「絶対さいごのが一番の理由だよね。」

「おぉー、桜庭くん。分かってるね、桜庭くん。」

なんだろう。
あらかた予想できた回答なのに、名前を連呼されただけで、こんなにムカついてしまうのは、一体どういうことなんだろうか。

「あー、そういえば。そろそろ行かなくちゃいけないんじゃないの? 会議。」

そうだった、忘れてた。
悠の言葉に急ぎ時計を確認してみれば、分針は12の左隣である11に。


「あっ、やばい。」

「ほんとだねー、やばいねー。」

「いや、君もヤバいのは一緒のはずなんだけど。」

 
なんで君はそんな余裕なわけ。

心のなかで思ったことが顔にでてしまっていたのか、悠は俺の顔を一瞥すると、その細い眉を寄せ表情豊かに言って見せた。

「あぁ、そういえば聞いた? 会長今日お熱出しちゃったみたいでさ。」

「え、会長体調わるいの?」

「うん。朝、親衛隊の子が教えてくれたんだけど。......まぁ、そんな高くないみたいだし、大丈夫じゃないのー? こんな大事な時期に俺様何様生徒会長に倒れられたら、僕生きていけないしっ。」

「へー。」

あの会長が熱ね。


「あれ。桜庭くん、どうかした?」

「え? なにが。」

「いえいえ。ただ、美しく麗しい桜庭様のお顔にいけないシワがよってますわよ! ってね。」


「……………。」


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