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心の行方3
しおりを挟む「近々、俺の家とお前の家。あとバ会長の家で仕事をするらしいな。大きな仕事だと聞いた。失敗できないとな。」
先ほどよりい幾分か大きく声を出す冬至に違和感。
誰かに説明をしているような、聞かせているような。
そんな話し方だ。
「だからだろう。お前があいつに近づいたのは。」
「は?」
「この仕事があったから近づいたんだろう。息子同士仲が良いほうが都合もいい。」
「え、ちょっ」
まって。
驚きすぎて咄嗟に反応できなかった。
まさか冬至がこんな検討違いのことを言うなんて。今日の冬至は、俺の予想の斜め上をいくらしい。
「はあ......。ごめんけど。俺はそんなこと全然、」
ーー考えたこともない。
そう言おうとして、後ろから聞こえた音に振り返る。
ドアに何か当たったのか、
それはカコーンと間抜けな音を響かせて。
先ほど閉め忘れていたらしい。
少し開いたドアの隙間に、
「え」
俺は別に目が良いほうじゃない。
だけど俺ははっきり見た。
「桜庭っ!!」
視線をドアの方へ向けたまま。
そのままの体勢で彼を追いかけるため走りだそうとして、背後から聞こえた声に足をとめる。
振り返って見えた冬至の姿に、全部知っていたんだ。と、一人納得する。
あぁ、だからあんな話し方をしてたんだ。
大きく声を張って、説明するみたいに。
「冬至。」
「......まだ話しは終わっていない。」
「終わったよ。俺は会長を追いかける。」
「おいっ!」
至近距離で睨まれる。
胸ぐらを掴まれないだけましだろうか。
肩で息をして大袈裟に声を張る冬至に不思議と頭は冷静で。
少し昔のことを思い出す。
俺がまだ、兄さんと本当の兄弟になれていなかった時のこと。
......まるであの時みたいだと思う。
冬至がこんなに本気で怒って、本気で焦っているのはあの時以来ことだ。
「冬至、ごめん。俺は会長を追いかける。はやく行かないと」
「駄目だといっているだろう!」
「俺はっ!!」
冬至の顔を睨み返す。
すごく久しぶりにこんな大声を出した気がした。
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