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学園に入学しました。ここは安息の地なのでしょうか?
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婚約者とその義妹の態度に辟易して何度か2人に「兄妹としての距離をお取りください。」と苦言を呈しましたが、トリスタン様はいつもこう言って終わらせます。
「義妹は父を亡くしたのだよ。再びできた家族と仲良く暮らしたいだけだ。
それに昔から兄が欲しかったそうだ。だから兄ができて浮かれているのだろう。家族が仲良くなるのに問題があるの?」
そしてアマンダ様は家族の前では目を潤ませながら
「兄ができて嬉しいのです。私は仲良くしようとしているだけなんです。私は父をなくしています。もっともっと一緒にいたかった。仲良くしたかった。だから今は新しい家族ができて幸せなんです。もっともっと仲良くなりたいの。」
そう言われると周りは私に暖かく見守ってあげるように諭します。
だけど、アマンダ様は私の前でだけは態度を豹変させて上から目線でものを言う。
「あなたが義兄の婚約者なんておかしいわ。ただの幼なじみってだけじゃない。その容姿でトリスタンの横に並べると思っているの?婚約者がいるから言えないだけでトリスタンも私の事が好きなのよ。私はあなたがトリスタンの婚約者だなんて絶対認めないわ。トリスタンには私がいるの。あなたがトリスタンに縋ってるから優しいトリスタンは婚約破棄できないだけなのよ。立場を弁えなさい。」
確かにアマンダ様は庇護欲をそそるような可憐で可愛らしい容姿です。私はどちらかと言えばキリッとした男性的な雰囲気があるそうです。友人に言わせると男装の麗人が似合うとのこと。なので容姿では勝てないですね。
そんな事を言われてもこの婚約は恋愛ではなく家同士の契約である。簡単に好き、嫌いで婚約破棄など出来はしないだろう。
だけどこのままではいけないと思い両親とドクトール伯爵夫妻に最近のトリスタン様とアマンダ様の様子を話して婚約を解消してはどうだろうかと伝えてはいるが、「アマンダがせっかくできた兄を取られると思っての可愛いヤキモチだろう。もう少ししたら落ち着くさ。」と取り合ってくれない。
それでも、15歳になり私とトリスタン様は学園に入学した。
そうなるとアマンダ様と関わる時間が減り元の穏やかな時間が戻ってきつつあった。
勿論、トリスタン様は今まで通りアマンダ様を優先するのだけれど、私がアマンダ様と会うことが少なくなり突っかかってこられなくなったからだ。
だけどそんな穏やかな時間もすぐに壊れた。
トリスタン様は教授から自分の能力以上の手伝いを引き受けてきては私に丸投げをしだしたのだ。
最初は授業中に教授が「これを今週中にまとめないといけないのだが、誰かやる気がある者はいないか?やってくれたら評価をつける。」と呟いた。だが、宿題がたくさん出ている今週は誰もやりたがらない。それを見て教授は「では、仕方がない今日の当番のドクトール君。お願いしますね」と言ったのだ。
彼はその授業の後すぐに私に相談にきた。困った時は昔からそうだったのだ。なので
「仕方ない。私も手伝うわ。まずは資料集めね。今日の放課後から図書館でしましょう。」
だが、放課後にトリスタンが現れることなく仕方なく先に私一人で資料を集め大まかにまとめた。
彼は他の教授に捕まっていたとかなり遅くに来た。だが、その翌日も彼は来ることはなく結果的に全てを私1人で終わらせた。
3日目、彼は漸く図書館に来ると
「アリシア。なかなか来れなくてごめんね。」
そう言ってできていた提出物を確認して自分のサインをすると感謝の言葉もなく教授に提出しに行った。
その提出物が思いの外良くできていたため教授からの評価が上がりその後も教授は何かと彼に手伝いを振り、それを笑顔で受けてくると私に丸投げしてくるのだ。
婚約者という立場から卒業後の進路のことを考えて彼の評価を上げておきたいと助けていた。それが悪かったのか、彼は事ある毎に私を頼ってきた。
流石にこのままではダメだと思い簡単なまとめ資料の時に
「トリスタン。これはあなたが受けてきたのでしょう?自分で処理したら?このくらいならあなた1人でもできるはずよ。
それと自分の能力以上のことを安請け合いして私を当てにしないで。」
「そんな冷たい事言わないでよ、アリシア。1人でもできるかもしれないけれど、2人ならもっと早くできるだろう?それに困っている人がいたら助けてあげたいんだよ。
それに卒業時の評価に響くんだ。それなら婚約者の君が手伝うのもおかしな話ではないだろう。」
そう言って最初は手伝うフリをするが、別の教授に呼び出されたと私に全てを丸投げしていく。
そのせいで私はとても忙しくなった。
学園は私の安息の地ではなかった様です。
「義妹は父を亡くしたのだよ。再びできた家族と仲良く暮らしたいだけだ。
それに昔から兄が欲しかったそうだ。だから兄ができて浮かれているのだろう。家族が仲良くなるのに問題があるの?」
そしてアマンダ様は家族の前では目を潤ませながら
「兄ができて嬉しいのです。私は仲良くしようとしているだけなんです。私は父をなくしています。もっともっと一緒にいたかった。仲良くしたかった。だから今は新しい家族ができて幸せなんです。もっともっと仲良くなりたいの。」
そう言われると周りは私に暖かく見守ってあげるように諭します。
だけど、アマンダ様は私の前でだけは態度を豹変させて上から目線でものを言う。
「あなたが義兄の婚約者なんておかしいわ。ただの幼なじみってだけじゃない。その容姿でトリスタンの横に並べると思っているの?婚約者がいるから言えないだけでトリスタンも私の事が好きなのよ。私はあなたがトリスタンの婚約者だなんて絶対認めないわ。トリスタンには私がいるの。あなたがトリスタンに縋ってるから優しいトリスタンは婚約破棄できないだけなのよ。立場を弁えなさい。」
確かにアマンダ様は庇護欲をそそるような可憐で可愛らしい容姿です。私はどちらかと言えばキリッとした男性的な雰囲気があるそうです。友人に言わせると男装の麗人が似合うとのこと。なので容姿では勝てないですね。
そんな事を言われてもこの婚約は恋愛ではなく家同士の契約である。簡単に好き、嫌いで婚約破棄など出来はしないだろう。
だけどこのままではいけないと思い両親とドクトール伯爵夫妻に最近のトリスタン様とアマンダ様の様子を話して婚約を解消してはどうだろうかと伝えてはいるが、「アマンダがせっかくできた兄を取られると思っての可愛いヤキモチだろう。もう少ししたら落ち着くさ。」と取り合ってくれない。
それでも、15歳になり私とトリスタン様は学園に入学した。
そうなるとアマンダ様と関わる時間が減り元の穏やかな時間が戻ってきつつあった。
勿論、トリスタン様は今まで通りアマンダ様を優先するのだけれど、私がアマンダ様と会うことが少なくなり突っかかってこられなくなったからだ。
だけどそんな穏やかな時間もすぐに壊れた。
トリスタン様は教授から自分の能力以上の手伝いを引き受けてきては私に丸投げをしだしたのだ。
最初は授業中に教授が「これを今週中にまとめないといけないのだが、誰かやる気がある者はいないか?やってくれたら評価をつける。」と呟いた。だが、宿題がたくさん出ている今週は誰もやりたがらない。それを見て教授は「では、仕方がない今日の当番のドクトール君。お願いしますね」と言ったのだ。
彼はその授業の後すぐに私に相談にきた。困った時は昔からそうだったのだ。なので
「仕方ない。私も手伝うわ。まずは資料集めね。今日の放課後から図書館でしましょう。」
だが、放課後にトリスタンが現れることなく仕方なく先に私一人で資料を集め大まかにまとめた。
彼は他の教授に捕まっていたとかなり遅くに来た。だが、その翌日も彼は来ることはなく結果的に全てを私1人で終わらせた。
3日目、彼は漸く図書館に来ると
「アリシア。なかなか来れなくてごめんね。」
そう言ってできていた提出物を確認して自分のサインをすると感謝の言葉もなく教授に提出しに行った。
その提出物が思いの外良くできていたため教授からの評価が上がりその後も教授は何かと彼に手伝いを振り、それを笑顔で受けてくると私に丸投げしてくるのだ。
婚約者という立場から卒業後の進路のことを考えて彼の評価を上げておきたいと助けていた。それが悪かったのか、彼は事ある毎に私を頼ってきた。
流石にこのままではダメだと思い簡単なまとめ資料の時に
「トリスタン。これはあなたが受けてきたのでしょう?自分で処理したら?このくらいならあなた1人でもできるはずよ。
それと自分の能力以上のことを安請け合いして私を当てにしないで。」
「そんな冷たい事言わないでよ、アリシア。1人でもできるかもしれないけれど、2人ならもっと早くできるだろう?それに困っている人がいたら助けてあげたいんだよ。
それに卒業時の評価に響くんだ。それなら婚約者の君が手伝うのもおかしな話ではないだろう。」
そう言って最初は手伝うフリをするが、別の教授に呼び出されたと私に全てを丸投げしていく。
そのせいで私はとても忙しくなった。
学園は私の安息の地ではなかった様です。
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