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アマンダが学園に入学しました。波乱の始まりです。
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そうして忙しくもまだ穏やかな学園生活をおくっていたが、それもアマンダ様が学園に入学して壊れてしまいました。
アマンダ様は所構わずトリスタン様を見かけると駆け寄り腕を絡めて仲睦まじく寄り添う。まるでアマンダ様がトリスタン様と恋仲の様に。それをトリスタン様も嫌がるどころか満更でもないようだ。
だから、「トリスタン様とアマンダ様の2人は恋人同士だけど義理の兄妹だから、それで表立って婚約解消できないらしいの。婚約者は愛されない可哀想な女」とか、「アマンダ様とは恋仲なのに知り合ったのはアリシア様と婚約後でトリスタン様に執着するアリシア様が婚約を解消させないからだ」と一部の令嬢達から嫌味を言われるようになった。
今日も聞こえよがしに私に睨みながら言われる。
「ほら見て、アリシア様よ。トリスタン様から婚約解消されないように彼の機嫌を取るために色々と手を回しているらしいの。」
「知っていますわ。トリスタン様が教授から頼まれた仕事も彼女が横取りしてそれを彼に渡す事で媚を売っているのでしょう。そうまでして婚約を解消したくないのかしら?」
「アマンダ様と違ってあの容姿ですし、お家の方も伯爵家とはいえそこそこですもの。トリスタン様に縋りつきたいのでは?」
「アマンダ様とトリスタン様は血の繋がらないご兄妹だとか…。
トリスタン様は幼い頃に結んだアリシア様との婚約を悩んでいらっしゃるとか。アマンダ様、お可哀想に。」
全然違う。彼にも彼のご両親にもいつでも婚約解消したい。向こうから言い出すのでも良い。解消には応じると伝えている。それを本気で取り合ってくれないだけだ。
それに彼に媚を売るために手伝っているのではなく、丸投げされているだけだ。
その仕事を放棄しないのは今はまだ婚約者である彼の尻拭い的な感じで仕方なくしているだけなのだ。
彼が幼い頃は家庭教師から出された宿題ができない。わからない。などと泣きついてきていたので私が教えて一緒にしていた。
少し大きくなってきて私も彼を甘やかしてばかりではいけないと思い突き放した。そうすると彼は何もせず家庭教師に怒られる毎日を送っていた。
それを見た彼のご両親、主に夫人が私がいるときちんとするからと彼の面倒を私に頼み、そのまま婚約を結ぶことになったのだ。
婚約者となった彼の素行や勉強面で周りや家庭教師から彼に言っても埒があかないと私に直接言われるようになった。
今の彼は教授からの仕事を私に丸投げノータッチで成果だけを自分のものにしている。
それを提出する際にもちろん自分だけがこれをしました。とは言わない。当たり前だが私にやらせましたとも言わない。
聞かれた時は私に「少しだけ手伝ってもらいました」と言う。
彼の中での手伝いとはどこからどこまでなんだろうか?
「アリシア嬢。今日も疲れた顔をしてるね。」
そう声をかけてきたのはクラスメイトのレイモンド。ノートン侯爵家の嫡男だ。
「レイモンド様。私、そんな疲れた顔をしておりますか?」
「ああ、ドクトール殿がきた瞬間に顔に出てたよ。」
そう言って笑う。
確かに今日提出の書類を先程までやって仕上げた。それをトリスタンが奪うように取りに来てたからね。いつものように感謝の気持ちは感じられず、それどころか「遅かったな、君ならもう少し早く終わらせられるだろう。次はもっと早くしてくれ。」と言い捨てていったのだから。
「ああ、もういい加減にして欲しい。彼のせいで私の自由な時間はないのに彼は義妹とイチャイチャお出かけよ。それなのに令嬢方には嫌味を言われているの。私はいつでも婚約解消するって言ってるのに。
この前なんて教授に「君がドクトール君の手伝いをすると言って足を引っ張っているんだって。婚約者に良いところを見せようとするのはわかるが弁えなさい。」なんて言われたのよ。彼は丸投げしてるだけで全部私がしているのよ。
彼と婚約解消できないのなら彼の立場を盤石にしたいと思ってやっているけれど、もう無理よ。」
「報われないな。彼は義妹をどう思っているんだ?」
確かにこの関係を身近で見ているレイモンド様には不思議に思えるだろう。
「彼はアマンダ様の好意には気づいていて、まるで恋人同士のようにふるまっているわ。今はギリギリ兄妹のラインを超えてはいないようね。
婚約者の私を捨てることになれば今のように楽はできなくなるとわかっているよ。
家族の前では仲の良い兄妹を演じているわ。だから2人の仲を言って婚約解消を言い出しても取り合ってもらえないのよ。」
アマンダ様は所構わずトリスタン様を見かけると駆け寄り腕を絡めて仲睦まじく寄り添う。まるでアマンダ様がトリスタン様と恋仲の様に。それをトリスタン様も嫌がるどころか満更でもないようだ。
だから、「トリスタン様とアマンダ様の2人は恋人同士だけど義理の兄妹だから、それで表立って婚約解消できないらしいの。婚約者は愛されない可哀想な女」とか、「アマンダ様とは恋仲なのに知り合ったのはアリシア様と婚約後でトリスタン様に執着するアリシア様が婚約を解消させないからだ」と一部の令嬢達から嫌味を言われるようになった。
今日も聞こえよがしに私に睨みながら言われる。
「ほら見て、アリシア様よ。トリスタン様から婚約解消されないように彼の機嫌を取るために色々と手を回しているらしいの。」
「知っていますわ。トリスタン様が教授から頼まれた仕事も彼女が横取りしてそれを彼に渡す事で媚を売っているのでしょう。そうまでして婚約を解消したくないのかしら?」
「アマンダ様と違ってあの容姿ですし、お家の方も伯爵家とはいえそこそこですもの。トリスタン様に縋りつきたいのでは?」
「アマンダ様とトリスタン様は血の繋がらないご兄妹だとか…。
トリスタン様は幼い頃に結んだアリシア様との婚約を悩んでいらっしゃるとか。アマンダ様、お可哀想に。」
全然違う。彼にも彼のご両親にもいつでも婚約解消したい。向こうから言い出すのでも良い。解消には応じると伝えている。それを本気で取り合ってくれないだけだ。
それに彼に媚を売るために手伝っているのではなく、丸投げされているだけだ。
その仕事を放棄しないのは今はまだ婚約者である彼の尻拭い的な感じで仕方なくしているだけなのだ。
彼が幼い頃は家庭教師から出された宿題ができない。わからない。などと泣きついてきていたので私が教えて一緒にしていた。
少し大きくなってきて私も彼を甘やかしてばかりではいけないと思い突き放した。そうすると彼は何もせず家庭教師に怒られる毎日を送っていた。
それを見た彼のご両親、主に夫人が私がいるときちんとするからと彼の面倒を私に頼み、そのまま婚約を結ぶことになったのだ。
婚約者となった彼の素行や勉強面で周りや家庭教師から彼に言っても埒があかないと私に直接言われるようになった。
今の彼は教授からの仕事を私に丸投げノータッチで成果だけを自分のものにしている。
それを提出する際にもちろん自分だけがこれをしました。とは言わない。当たり前だが私にやらせましたとも言わない。
聞かれた時は私に「少しだけ手伝ってもらいました」と言う。
彼の中での手伝いとはどこからどこまでなんだろうか?
「アリシア嬢。今日も疲れた顔をしてるね。」
そう声をかけてきたのはクラスメイトのレイモンド。ノートン侯爵家の嫡男だ。
「レイモンド様。私、そんな疲れた顔をしておりますか?」
「ああ、ドクトール殿がきた瞬間に顔に出てたよ。」
そう言って笑う。
確かに今日提出の書類を先程までやって仕上げた。それをトリスタンが奪うように取りに来てたからね。いつものように感謝の気持ちは感じられず、それどころか「遅かったな、君ならもう少し早く終わらせられるだろう。次はもっと早くしてくれ。」と言い捨てていったのだから。
「ああ、もういい加減にして欲しい。彼のせいで私の自由な時間はないのに彼は義妹とイチャイチャお出かけよ。それなのに令嬢方には嫌味を言われているの。私はいつでも婚約解消するって言ってるのに。
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彼と婚約解消できないのなら彼の立場を盤石にしたいと思ってやっているけれど、もう無理よ。」
「報われないな。彼は義妹をどう思っているんだ?」
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