【完結】義妹と婚約者どちらを取るのですか？

婚約者を取るの？義妹を取るの？

そんな陰口の日々に私の限界がきて、それを婚約者に伝えた。

「トリスタン様。あなたとアマンダ様は義理の兄妹だが、血は繋がっていない。それで2人は恋仲になっている。それを幼い頃からの婚約者の私が邪魔をしているって一部の令嬢達から言われているの。」


「周りにはそんなに僕とアマンダが仲良く映っているんだね。後妻や連れ子はよく思われないことが多いからそれは良かった。」

「問題は兄妹仲が良いと言うことではなくて、貴方達兄妹が恋仲だと言う事、それで婚約者である私があなた達2人を引き裂く悪女として陰口を言われているのよ。」

「アリシア、そんなに怒らないで。大丈夫だよ。そのうちみんなわかってくれるよ。」

彼は大丈夫を繰り返して話にならない。
まあ、便利な婚約者を逃したくないだけだろう。

「それならあなた達家族の仲の良さはアピールできたのだから、これからは婚約者として私を優先してくれる？」

彼は眉を顰めて軽蔑したようにこちらを見ると

「アリシア、どちらを優先するとか言わないでくれ。
僕にとって君は婚約者だし、アマンダは大事な義妹なんだから。比べることなんてできないよ。
そんなことを言う君には失望したよ。」

今の私の状況を説明した後だから嘘でも婚約者である私を優先すると言う答えが欲しかったが、確かに比べるべきではなかったかもしれない。
彼の中でアマンダ様はまだ義妹で家族なんだから。
私は素直に謝った。

「ごめんなさい。あなたの言う通りね。」



その後彼の態度は以前より冷たくなった。週に1度あった学園への送り迎えはなくなり1ヶ月に1度の贈り物さえ無くなった。
アマンダ様とは同じ邸なこともあり毎日一緒に学園に来ては帰りも一緒に街に寄り何か買っているらしい。
確かに彼に義妹と婚約者のどちらかを取れ。と詰め寄ったのだから私を嫌いになるのはわかる。
というか、この状況はアマンダ様を取ったのではないの？それなら婚約解消してほしい。
今も婚約解消もせずまだずるずると良いように使われているだけだ。
噂では2人が身体の関係を持ったとも言われている。


そんな時、友人と学園内を歩いていたら上から何かが落ちてきた。運悪く私にぶつかったのだろう。頭に痛みがはしり目の前が真っ暗になり倒れた


「気がついた？」

気がついた時には目の前に心配そうなレイモンド様の顔。
起きあがろうとして頭に痛みが走った。

「いっ…」

「もう少し横になっていて。怪我は大したことないみたいだが、何があるかわからないから。」

私の困惑している顔を見て状況を話してくれた。

私とレイモンド様を含む数人で歩いていた所、2階から本が落ちてきたのだ。それが見事に私の頭に当たって倒れた。上を確認すると数人の令嬢が窓から下を覗いていたがすぐに姿を引っ込めいなくなった。その後誰も謝りに来なかったらしい。
彼は言いにくそうに口を開く。

「見上げた時に君の婚約者の義妹もいたようだ。
あと…君の婚約者に連絡したのだが、怪我もなく意識がないだけなら今行っても意味がないだろう。と言って義妹と帰っていったよ。」

私はここまでされなければならないのだろうか？悲しくて涙が溢れてきた。惨めすぎて泣けてくる。

「ここまでありがとうございました。あとは1人で大丈夫です。」

そう言って追い出そうとしたが、彼は出て行くことなく壊れ物を触るように傷に触れないようにそっと私の頭を撫でた。

「もう我慢しなくて良い。1人で頑張らなくても俺が力になるよ。」

その言葉を聞いて私の涙は決壊したダムのように止まらなかった。