【完結】サポートキャラって勝手に決めないで!

里音

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17 後日談2

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そして結婚式の真っ最中、リリアナは後悔していた。いや、でもあれは正当な理由だった。
だけどあのキスを止めたのがダメだったのだ。そのせいでこんなことになっているのだから。

リリアナは困まっていた。目の前にはジェイドの嬉しそうな顔。
結婚式の最中だから周りの視線が私達、いえ私に集まっている。
だって…

先程神父さまが恭しく

「では誓いのキスを。にお願いします。」

「ええっ?」

私は勿論、周りからも驚きの声が出た。そんな事は今まで聞いたことも見たこともない。普通は誓いのキスと言えば新郎様からだ。
それに対して悠然と構えていたのはジェイド様のみ。
きっとさっきの『後の楽しみ』はこの事だったんだ。私が神父さまに助けを求める視線を向けると神父さまが私にだけ聞こえるような声で

「お恥ずかしいでしょうがお願いします。新婦様から誓いのキスをしないと式を進めてはいけないと。新郎様からきつく言われております。」

こんな人がいる前でなんて…。恥ずかしくて涙目になってジェイドを見つめるが、動かない。
意を決してジェイドの肩に手をかけ伸び上がるようにして触れるだけのキスをする。

顔が離れた瞬間、ジェイドが私を抱き寄せ唇を塞がれた。
びっくりして口を開けていたから、ジェイドの舌が入ってくるのを止められなかった。
深いキスをされて息も絶え絶えで頭がぼうっとし、腰砕けになった。
ジェイドはそんなリリアナを愛おしそうに目を細め、横抱きにし目で神父を急かし式を完了させた。

マキナイル侯爵は頭を抑え、モントン伯爵は項垂れている。
女性陣は顔を赤くしながら夢見る顔になっていた。反対に男性陣は囃し立てていた。

ジェイドはこれで牽制出来たと、腕の中の新妻にまたキスを落とすと、教会を後にした。


その後、リリアナはすぐに妊娠が判明し、ジェイドが今以上にリリアナを構い、第一子の男児を産むとそれからも順調に2人の子供を授かった。
ジェイドは子供も可愛がるが、いつまでも一番は妻のリリアナだった。




あれから殿下とヒロインは王命で学園を辞めさせられてそのまま簡単に結婚式を挙げて僻地へ送られたそうだ。

「あれー?何かおかしい。王子ルートは王子妃になるはずなのに。なんで僻地の伯爵夫人?
これってざまぁ?えっなんで私がざまぁされてるの?
なんで攻略が難しいジェイドをリリアナが攻略してるの?リリアナってサポートキャラだったよね?
もしかして私のサポートしないで自分で攻略してたの?ずるい。
あーん。ハーレムルートがダメなら王子妃ルートが良かったと思ってたけど、高難度だけどやっぱりジェイドルートが良かったのに。」

卒業式でサリントンを裏切りジェイドへ乗り換えようとしたからか、領地に来て早々サリントンは愛人を作り、アデリーナは見向きもされなくなっていた。だが、王子妃に目が眩んでいたアデリーナも美貌だけで愛もない、地位もない、お金もない王子はいらない。金の切れ目が縁の切れ目とばかりにサリントンを疎ましく思っている。
サリントンとアデリーナは毎日、お互いを罵り合い、言い争いが絶えない。だが、王命での婚姻のため別れることができない。
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