16 / 16
17 後日談2
しおりを挟む
そして結婚式の真っ最中、リリアナは後悔していた。いや、でもあれは正当な理由だった。
だけどあのキスを止めたのがダメだったのだ。そのせいでこんなことになっているのだから。
リリアナは困まっていた。目の前にはジェイドの嬉しそうな顔。
結婚式の最中だから周りの視線が私達、いえ私に集まっている。
だって…
先程神父さまが恭しく
「では誓いのキスを。新婦様から新郎様にお願いします。」
「ええっ?」
私は勿論、周りからも驚きの声が出た。そんな事は今まで聞いたことも見たこともない。普通は誓いのキスと言えば新郎様からだ。
それに対して悠然と構えていたのはジェイド様のみ。
きっとさっきの『後の楽しみ』はこの事だったんだ。私が神父さまに助けを求める視線を向けると神父さまが私にだけ聞こえるような声で
「お恥ずかしいでしょうがお願いします。新婦様から誓いのキスをしないと式を進めてはいけないと。新郎様からきつく言われております。」
こんな人がいる前でなんて…。恥ずかしくて涙目になってジェイドを見つめるが、動かない。
意を決してジェイドの肩に手をかけ伸び上がるようにして触れるだけのキスをする。
顔が離れた瞬間、ジェイドが私を抱き寄せ唇を塞がれた。
びっくりして口を開けていたから、ジェイドの舌が入ってくるのを止められなかった。
深いキスをされて息も絶え絶えで頭がぼうっとし、腰砕けになった。
ジェイドはそんなリリアナを愛おしそうに目を細め、横抱きにし目で神父を急かし式を完了させた。
マキナイル侯爵は頭を抑え、モントン伯爵は項垂れている。
女性陣は顔を赤くしながら夢見る顔になっていた。反対に男性陣は囃し立てていた。
ジェイドはこれで牽制出来たと、腕の中の新妻にまたキスを落とすと、教会を後にした。
その後、リリアナはすぐに妊娠が判明し、ジェイドが今以上にリリアナを構い、第一子の男児を産むとそれからも順調に2人の子供を授かった。
ジェイドは子供も可愛がるが、いつまでも一番は妻のリリアナだった。
あれから殿下とヒロインは王命で学園を辞めさせられてそのまま簡単に結婚式を挙げて僻地へ送られたそうだ。
「あれー?何かおかしい。王子ルートは王子妃になるはずなのに。なんで僻地の伯爵夫人?
これってざまぁ?えっなんで私がざまぁされてるの?
なんで攻略が難しいジェイドをリリアナが攻略してるの?リリアナってサポートキャラだったよね?
もしかして私のサポートしないで自分で攻略してたの?ずるい。
あーん。ハーレムルートがダメなら王子妃ルートが良かったと思ってたけど、高難度だけどやっぱりジェイドルートが良かったのに。」
卒業式でサリントンを裏切りジェイドへ乗り換えようとしたからか、領地に来て早々サリントンは愛人を作り、アデリーナは見向きもされなくなっていた。だが、王子妃に目が眩んでいたアデリーナも美貌だけで愛もない、地位もない、お金もない王子はいらない。金の切れ目が縁の切れ目とばかりにサリントンを疎ましく思っている。
サリントンとアデリーナは毎日、お互いを罵り合い、言い争いが絶えない。だが、王命での婚姻のため別れることができない。
だけどあのキスを止めたのがダメだったのだ。そのせいでこんなことになっているのだから。
リリアナは困まっていた。目の前にはジェイドの嬉しそうな顔。
結婚式の最中だから周りの視線が私達、いえ私に集まっている。
だって…
先程神父さまが恭しく
「では誓いのキスを。新婦様から新郎様にお願いします。」
「ええっ?」
私は勿論、周りからも驚きの声が出た。そんな事は今まで聞いたことも見たこともない。普通は誓いのキスと言えば新郎様からだ。
それに対して悠然と構えていたのはジェイド様のみ。
きっとさっきの『後の楽しみ』はこの事だったんだ。私が神父さまに助けを求める視線を向けると神父さまが私にだけ聞こえるような声で
「お恥ずかしいでしょうがお願いします。新婦様から誓いのキスをしないと式を進めてはいけないと。新郎様からきつく言われております。」
こんな人がいる前でなんて…。恥ずかしくて涙目になってジェイドを見つめるが、動かない。
意を決してジェイドの肩に手をかけ伸び上がるようにして触れるだけのキスをする。
顔が離れた瞬間、ジェイドが私を抱き寄せ唇を塞がれた。
びっくりして口を開けていたから、ジェイドの舌が入ってくるのを止められなかった。
深いキスをされて息も絶え絶えで頭がぼうっとし、腰砕けになった。
ジェイドはそんなリリアナを愛おしそうに目を細め、横抱きにし目で神父を急かし式を完了させた。
マキナイル侯爵は頭を抑え、モントン伯爵は項垂れている。
女性陣は顔を赤くしながら夢見る顔になっていた。反対に男性陣は囃し立てていた。
ジェイドはこれで牽制出来たと、腕の中の新妻にまたキスを落とすと、教会を後にした。
その後、リリアナはすぐに妊娠が判明し、ジェイドが今以上にリリアナを構い、第一子の男児を産むとそれからも順調に2人の子供を授かった。
ジェイドは子供も可愛がるが、いつまでも一番は妻のリリアナだった。
あれから殿下とヒロインは王命で学園を辞めさせられてそのまま簡単に結婚式を挙げて僻地へ送られたそうだ。
「あれー?何かおかしい。王子ルートは王子妃になるはずなのに。なんで僻地の伯爵夫人?
これってざまぁ?えっなんで私がざまぁされてるの?
なんで攻略が難しいジェイドをリリアナが攻略してるの?リリアナってサポートキャラだったよね?
もしかして私のサポートしないで自分で攻略してたの?ずるい。
あーん。ハーレムルートがダメなら王子妃ルートが良かったと思ってたけど、高難度だけどやっぱりジェイドルートが良かったのに。」
卒業式でサリントンを裏切りジェイドへ乗り換えようとしたからか、領地に来て早々サリントンは愛人を作り、アデリーナは見向きもされなくなっていた。だが、王子妃に目が眩んでいたアデリーナも美貌だけで愛もない、地位もない、お金もない王子はいらない。金の切れ目が縁の切れ目とばかりにサリントンを疎ましく思っている。
サリントンとアデリーナは毎日、お互いを罵り合い、言い争いが絶えない。だが、王命での婚姻のため別れることができない。
232
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
愛されるのは私じゃないはずなのですが
空月
恋愛
「おかしいわ、愛されるのは、私じゃないはずなのだけど……」
天から与えられた『特性:物語』によって、自分の生きる世界の、『もっとも物語的な道筋』を知るリリー・ロザモンテは、自分が婚約者のゼノ・フェアトラークに愛されないだろうことを知っていた。そして、愛を知らないゼノが、ある少女と出会って愛を知ることも。
その『ゼノが愛を知る物語』を辿らせるために動いてきたリリーだったが、ある日ゼノから告げられる。「君を愛している」と。
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
婚約破棄ってこんな日にするのね。私は何とお答えすればよろしいのでしょうか。
まりぃべる
恋愛
私は、ユファ=ライヴァン子爵令嬢です。
チルチェイン=ヤーヌス伯爵令息が、婚約者だったのですけれど、婚約破棄したいと言われました。
こんな日に!?
私は、何とお答えすれば良いのでしょう…。
☆現実とは違う、この作品ならではの世界観で書いております。
緩い設定だと思ってお読み下さると幸いです。
断罪するならご一緒に
宇水涼麻
恋愛
卒業パーティーの席で、バーバラは王子から婚約破棄を言い渡された。
その理由と、それに伴う罰をじっくりと聞いてみたら、どうやらその罰に見合うものが他にいるようだ。
王家の下した罰なのだから、その方々に受けてもらわねばならない。
バーバラは、責任感を持って説明を始めた。
婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~
tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。
ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる