【完結】サポートキャラって勝手に決めないで!

里音

文字の大きさ
9 / 16

10 破滅の前の静けさ

しおりを挟む
一方、サポートキャラのリリアナはといえば

相変わらずジェイド様と生徒会室で昼食を共にしている。変わったことといえば時々マリエッタ様、殿下の側近であり攻略対象者のマイケル様が加わったことだろう。
護衛のカイル様は殿下についているのでほとんど来られない。
来るのは殿下がヒロインと2人っきりになりたい時だけ邪魔者扱いされた時だ。それも最近では頻度が高くなってきている。

まあ私はジェイド様と2人っきりでいたのを見られて苦し紛れに生徒会に誘われていたと言い、渋々生徒会に入ったのだ。だからお昼休みに生徒会室にいても何も問題はない。
渋々入った生徒会だが、生徒会メンバーは学年も家格も上の方々だが、優しく接してくれる。

「リリィ、ヒロインは明日の卒業式の事を何か言っていましたか?」

そう、もう一つ変わったのはジェイド様の態度。リリアナ嬢からいつの間にかリリアナと呼び捨てになった。まあ、相手は侯爵子息だし、気にしていなかった。
放っておいたらそのうち、リリィとなった。愛称は家族や恋人、婚約者など親しい人しか呼ばないものなのだが、わかっているのだろうか?一度それとなく忠告したが、仲が良かったら愛称で呼ぶだろう。私にリリィと呼ばれるのは嫌か?ダメなのか?仲が良いと思っていたのは私だけなのか?と言われてしまいダメです。とは言えなくなってしまった。
ジェイド様の距離感が近いのと頭を撫でたりのスキンシップが多いのが気になったが、妹感覚か、身分を気にせず気を許してくれているのだろうと気にしない事にした。
マリエッタ様も私の事をリリアナと呼んで姉妹のように仲良くしてくださっている。決してヒロインの言うような意地悪な人ではない。私も姉のように慕っている。
マキナイル家は侯爵なのにどなたにも気安くしてくださるフレンドリーな家風なのね。と言うと生徒会の人達マリエッタ様、マイケル様がたまに可哀想な人を見る目で私を見ているがなぜだろう?

他の生徒会メンバーマイケル様、カイル様は私を頑なに呼び捨てにしていない。一度カイル様が「リリアナちゃん」と呼んだが、何故かジェイド様の方を見て顔色を悪くし「ご、ごめん。もう呼ばないよ。」と言われた。



そうそう、ヒロインの動向ね。

「明日の卒業式後パーティー開始前に婚約破棄を宣言すると言っていました。なんでも、憂いなくパーティーを楽しみたいからだそうです。
マリエッタ様の処遇は取り巻きを使ったイジメだそうで、婚約破棄と侯爵家からの追放らしいです。
殿下は側近候補の御三方も解任されるそうです。なんでもヒロインに色目を使っているという理由で。
なので婚約破棄宣言をしてその場で婚約を発表することも視野に入れているそうです。

勿論殿下のエスコートの相手はヒロインです。パーティードレスとアクセサリーは殿下から贈られたそうです。ドレスの色はパステルピンクで、アクセサリーはピンクダイヤモンドです。見せられましたがかなり高価な物でした。」

「マリエッタ。殿下からドレスやアクセサリーは勿論贈られてきただろうね?」

ジェイド様がごく自然に訊かれたが、声は低かった。それに対しマリエッタ様は淡々とお応えになられた。

「いいえ、何も贈られてきておりません。なので侯爵家こちらで全て用意しました。色は予めリリアナに聞いていたのでパステルピンクは避けましたわ。勿論、殿下の衣装の色とも被らないようにしました。」

ジェイドはニヤリと黒い笑みを浮かべ

「殿下の私財ではヒロインにそれらを贈るのは到底無理だろうね。そのお金はどこから出てるのやら?」

ジェイドの言わんとしている事はここにいるメンバーはすぐわかった。

サリントン殿下の私財からではなく、王族として婚約者に贈る為のお金を使っているのだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷たい婚約者が「愛されたい」と言ってから優しい。

狼狼3
恋愛
「愛されたい。」 誰も居ない自室で、そう私は呟いた。

【完結】何回も告白されて断っていますが、(周りが応援?) 私婚約者がいますの。

BBやっこ
恋愛
ある日、学園のカフェでのんびりお茶と本を読みながら過ごしていると。 男性が近づいてきました。突然、私にプロポーズしてくる知らない男。 いえ、知った顔ではありました。学園の制服を着ています。 私はドレスですが、同級生の平民でした。 困ります。

婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~

tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。 ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました

山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。 だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。 なろうにも投稿しています。

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定

婚約破棄ってこんな日にするのね。私は何とお答えすればよろしいのでしょうか。

まりぃべる
恋愛
私は、ユファ=ライヴァン子爵令嬢です。 チルチェイン=ヤーヌス伯爵令息が、婚約者だったのですけれど、婚約破棄したいと言われました。 こんな日に!? 私は、何とお答えすれば良いのでしょう…。 ☆現実とは違う、この作品ならではの世界観で書いております。 緩い設定だと思ってお読み下さると幸いです。

(完)僕は醜すぎて愛せないでしょう? と俯く夫。まさか、貴男はむしろイケメン最高じゃないの!

青空一夏
恋愛
私は不幸だと自分を思ったことがない。大体が良い方にしか考えられないし、天然とも言われるけれどこれでいいと思っているの。 お父様に婚約者を押しつけられた時も、途中でそれを妹に譲ってまた返された時も、全ては考え方次第だと思うわ。 だって、生きてるだけでもこの世は楽しい!  これはそんなヒロインが楽しく生きていくうちに自然にざまぁな仕返しをしてしまっているコメディ路線のお話です。 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。転生者の天然無双物語。

処理中です...