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聖なる森と月の乙女
公爵令嬢と社交界デビュー①
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「アル!私来週で16歳になるのよ!ついに私も社交界デビューだわ!」
いけないいけない、興奮してしまったわ。
ここは我が家のサロン。
お兄様がアルフレッドを我が家のささやかなお茶会に招待したのだ。
参加者は私とアルフレッドとお兄様。
アルフレッドの前で公爵令嬢の猫が剥がれるのはいつものことなのだが、今日は場所がいけない。
いつ、どこで、お母様の目や耳に入って雷を落とされるか分かったものではないからだ。
コホンと気を取り直して、にっこりアルフレッドに微笑みかける。
お兄様はアルフレッドの隣で口許を押さえて、肩をプルプルさせて震えている。
その様子に少しいらっとするものの、折角アルフレッドが来てくれているのだからと無視することに決めた。
「もちろん知ってるよ、ティア。当日はここでパーティーを開くんだろう?」
「えぇ、そうよ!もう少しでドレスが仕立て上がる予定なの。とっておきを注文したからとても楽しみだわ。アルは…その…お祝いに来てくれる?それとも、招待するのは迷惑をかけてしまうかしら?お父様とお兄様にお窺いしても、アルに直接聞きなさいって全然取り合ってくれないのよ。こんなことを聞いて煩わせたくないのに。」
迷惑なら遠慮せずに言ってと言うと、アルフレッドはとても驚いたように肩を竦めた。
「どうして私の迷惑になると思うの?喜んで参加させてもらうよ。私の大切なティアのデビューなんだ。行かなかったら死ぬまで後悔するよ。」
「本当?とっても嬉しいわ!だって、婚約者候補は私以外にもいるもの。そのたびにパーティーに参加してたら、アルの身が保たないでしょう?只でさえ忙しいのに、私のせいでもっと忙しくさせてしまうのは嫌なの。でも、死ぬまで後悔するって大袈裟ね。」
くすくすと笑う私を、アルフレッドは眩しそうに目を細めて見つめたあと、いつもの優しい微笑みを浮かべる。
「ティアのお願いで私が迷惑に思うことはないよ。ところで、エスコートは誰にしてもらうの?もし、まだ決まっていないなら、是非私がお相手したいな。」
「…いいの?アルってば、私がして欲しいこと何でもお見通ししているみたいね!来てくれるだけでも嬉しいから、エスコートをお願いするのは諦めてたの。」
何だか胸の奥がポカポカして、ちょっとだけ照れ臭い気持ちになる。
へへっと照れ笑いを浮かべると、アルの微笑みが一段と深くなった。
「ねぇ、君たち。俺もここにいるって忘れてる訳じゃないよね?」
「お兄様ったら、もちろん忘れるわけないじゃない。」
何言ってるの、と呆れたように言う私に、お兄様は疲れたようにため息をついた。
いけないいけない、興奮してしまったわ。
ここは我が家のサロン。
お兄様がアルフレッドを我が家のささやかなお茶会に招待したのだ。
参加者は私とアルフレッドとお兄様。
アルフレッドの前で公爵令嬢の猫が剥がれるのはいつものことなのだが、今日は場所がいけない。
いつ、どこで、お母様の目や耳に入って雷を落とされるか分かったものではないからだ。
コホンと気を取り直して、にっこりアルフレッドに微笑みかける。
お兄様はアルフレッドの隣で口許を押さえて、肩をプルプルさせて震えている。
その様子に少しいらっとするものの、折角アルフレッドが来てくれているのだからと無視することに決めた。
「もちろん知ってるよ、ティア。当日はここでパーティーを開くんだろう?」
「えぇ、そうよ!もう少しでドレスが仕立て上がる予定なの。とっておきを注文したからとても楽しみだわ。アルは…その…お祝いに来てくれる?それとも、招待するのは迷惑をかけてしまうかしら?お父様とお兄様にお窺いしても、アルに直接聞きなさいって全然取り合ってくれないのよ。こんなことを聞いて煩わせたくないのに。」
迷惑なら遠慮せずに言ってと言うと、アルフレッドはとても驚いたように肩を竦めた。
「どうして私の迷惑になると思うの?喜んで参加させてもらうよ。私の大切なティアのデビューなんだ。行かなかったら死ぬまで後悔するよ。」
「本当?とっても嬉しいわ!だって、婚約者候補は私以外にもいるもの。そのたびにパーティーに参加してたら、アルの身が保たないでしょう?只でさえ忙しいのに、私のせいでもっと忙しくさせてしまうのは嫌なの。でも、死ぬまで後悔するって大袈裟ね。」
くすくすと笑う私を、アルフレッドは眩しそうに目を細めて見つめたあと、いつもの優しい微笑みを浮かべる。
「ティアのお願いで私が迷惑に思うことはないよ。ところで、エスコートは誰にしてもらうの?もし、まだ決まっていないなら、是非私がお相手したいな。」
「…いいの?アルってば、私がして欲しいこと何でもお見通ししているみたいね!来てくれるだけでも嬉しいから、エスコートをお願いするのは諦めてたの。」
何だか胸の奥がポカポカして、ちょっとだけ照れ臭い気持ちになる。
へへっと照れ笑いを浮かべると、アルの微笑みが一段と深くなった。
「ねぇ、君たち。俺もここにいるって忘れてる訳じゃないよね?」
「お兄様ったら、もちろん忘れるわけないじゃない。」
何言ってるの、と呆れたように言う私に、お兄様は疲れたようにため息をついた。
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