ダンスパーティーで婚約者から断罪された挙句に婚約破棄された私に、奇跡が起きた。

ねお

文字の大きさ
6 / 12

06 タッグを組んだ2人

しおりを挟む
 ふう、この気持ちはどうしたら良いのか・・・

 王城の廊下で、私はモヤモヤとした気持ちで歩いていた。

 グスタフ・ブランス侯爵令息への気持ちは日に日に強くなる一方だったのだ。肥大化した気持ちは、大将軍としての職務にも影響を及ぼすようになってしまっていた。
 王城での会議中にもだ。会議でどんな話がなされていたかも、記憶が定かではない、いったいどうすれば・・・。

「エーデルワイス大将軍、様子が以前と違うようだが、体調が悪いのか?」

 そんな私に声をかけてきた人物がいらっしゃった。
 レンデス殿下。第3王子である。

「レンデス殿下。・・・いえ、なんでもありませぬ」
「なんでもない、ということはなかろう。はたから見ていても、大将軍が平常の状態ではないことはわかる。何か悩みがあるのではないか?もし良ければ私に話してほしい。力になりたいのだ」

 そう、優しいお言葉をかけてくださった。この御方が本心からそう声をかけてくださっている。
 心がかなり白いからだ。王族でここまで白い方もめずらしいものだ。

 決して他者に明かすまいとしていた私の気持ちだが、私はつい、王子に話をしてしまったのである。







「そうであったか、それは辛いな。わかるぞ」
「殿下もわかってくださいますか???もうアタシの心はダーリンでいっぱいなんですのよ!!!」

 エーデルワイス大将軍のただならぬ様子を見て話を聞いた私だが、まさかこんな偶然があるとは・・・。
 彼は俺の想い人であるクリスティーナ嬢の婚約者である、グスタフ・ブランスに懸想しているのだという。

 大将軍が男色家であったことも驚いたが、彼がグスタフの魅力を語り始めてからの口調の変わりようには度肝を抜かれた。二重人格ではないかと疑うほどの変わりようだ。

 大将軍は、彼の見た目と心の内のどす黒さのギャップに惹かれているのだという。正直俺には、まったく魅力に感じられなかったのだが、お互い婚約者がいる相手を想ってしまう辛さは痛いほど理解できる。

 そんな彼に、俺もクリスティーナ嬢を懸想していることを打ち明けた。俺達はお互いに同じ境遇だ。彼も「まぁ殿下もなんですの!?それはお辛いわねぇ」と気持ちをわかってくれた。
 傷の舐め合いのようではあるが、俺も話をしたことで少し心が楽になれた気がする。

 もしグスタフがエーデルワイス大将軍とくっ付いてくれれば、俺にもチャンスが・・・と一瞬考えたが、どう考えてもグスタフが彼と恋仲になる訳がない。彼は大の女好きだ。クリスティーナ嬢という絶世の美女を婚約者としていながら、影で様々な女性と浮気をするような下衆なのだ。

 もし・・・エーデルワイス大将軍がグスタフ好みの美女だったら・・・、そんな無意味な考えがよぎった俺に・・・悪魔の閃きが浮かんだのだ。

「・・・殿下、今、何をお考えですか?・・・よろしければ私にお話しください。・・・決して他言は致しませんので」

 急に大将軍の口調が元に戻った。・・・彼の前では隠し事はできんか。彼の話だと、彼は人の心の色がわかるというからな。恐らく、私の心にどす黒いものが見えたのかもしれない。

 そして私は、悪魔の閃きの内容を彼に話したのだ。

 それは、ここから遥か離れた魔法大国にある秘薬の話である。
 その秘薬は、服用したものの姿や声を、自分の理想とするものに変えるというものだ。時間制限はあるが。

 そして、その薬を私が数年前に偶然手に入れたという話をだ。



 その話をした時、エーデルワイス大将軍の目が妖しく光ったように見えた。私は他者の心の色を見ることはできないが・・・おそらく彼の心にも、私と同じどす黒いものが湧いたのだろう。

 そして、我々は手を組むことになった。

 お互いの想い人を手に入れるために。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

ざまぁを回避したい王子は婚約者を溺愛しています

宇水涼麻
恋愛
春の学生食堂で、可愛らしい女の子とその取り巻きたちは、一つのテーブルに向かった。 そこには、ファリアリス公爵令嬢がいた。 「ファリアリス様、ディック様との婚約を破棄してください!」 いきなりの横暴な要求に、ファリアリスは訝しみながらも、淑女として、可憐に凛々しく対応していく。

【短編】お姉さまは愚弟を赦さない

宇水涼麻
恋愛
この国の第1王子であるザリアートが学園のダンスパーティーの席で、婚約者であるエレノアを声高に呼びつけた。 そして、テンプレのように婚約破棄を言い渡した。 すぐに了承し会場を出ようとするエレノアをザリアートが引き止める。 そこへ颯爽と3人の淑女が現れた。美しく気高く凛々しい彼女たちは何者なのか? 短編にしては長めになってしまいました。 西洋ヨーロッパ風学園ラブストーリーです。

【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします

宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。 しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。 そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。 彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか? 中世ヨーロッパ風のお話です。 HOTにランクインしました。ありがとうございます! ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです! ありがとうございます!

婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。

三葉 空
恋愛
 ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……

【完結24万pt感謝】子息の廃嫡? そんなことは家でやれ! 国には関係ないぞ!

宇水涼麻
ファンタジー
貴族達が会する場で、四人の青年が高らかに婚約解消を宣った。 そこに国王陛下が登場し、有無を言わさずそれを認めた。 慌てて否定した青年たちの親に、国王陛下は騒ぎを起こした責任として罰金を課した。その金額があまりに高額で、親たちは青年たちの廃嫡することで免れようとする。 貴族家として、これまで後継者として育ててきた者を廃嫡するのは大変な決断である。 しかし、国王陛下はそれを意味なしと袖にした。それは今回の集会に理由がある。 〰️ 〰️ 〰️ 中世ヨーロッパ風の婚約破棄物語です。 完結しました。いつもありがとうございます!

妹に婚約者を奪われたので妹の服を全部売りさばくことに決めました

常野夏子
恋愛
婚約者フレデリックを妹ジェシカに奪われたクラリッサ。 裏切りに打ちひしがれるも、やがて復讐を決意する。 ジェシカが莫大な資金を投じて集めた高級服の数々――それを全て売りさばき、彼女の誇りを粉々に砕くのだ。

婚約破棄を兄上に報告申し上げます~ここまでお怒りになった兄を見たのは初めてでした~

ルイス
恋愛
カスタム王国の伯爵令嬢ことアリシアは、慕っていた侯爵令息のランドールに婚約破棄を言い渡された 「理由はどういったことなのでしょうか?」 「なに、他に好きな女性ができただけだ。お前は少し固過ぎたようだ、私の隣にはふさわしくない」 悲しみに暮れたアリシアは、兄に婚約が破棄されたことを告げる それを聞いたアリシアの腹違いの兄であり、現国王の息子トランス王子殿下は怒りを露わにした。 腹違いお兄様の復讐……アリシアはそこにイケない感情が芽生えつつあったのだ。

甘やかされて育ってきた妹に、王妃なんて務まる訳がないではありませんか。

木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるラフェリアは、実家との折り合いが悪く、王城でメイドとして働いていた。 そんな彼女は優秀な働きが認められて、第一王子と婚約することになった。 しかしその婚約は、すぐに破談となる。 ラフェリアの妹であるメレティアが、王子を懐柔したのだ。 メレティアは次期王妃となることを喜び、ラフェリアの不幸を嘲笑っていた。 ただ、ラフェリアはわかっていた。甘やかされて育ってきたわがまま妹に、王妃という責任ある役目は務まらないということを。 その兆候は、すぐに表れた。以前にも増して横暴な振る舞いをするようになったメレティアは、様々な者達から反感を買っていたのだ。

処理中です...