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第8章 変化と成長
4 告白
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――今日は、街で目薬をもらう日だ。
ルピナも13歳になったらしいけど、あの子は相変わらずポヤポヤのキラキラって感じがする。レンファは堂々と「夢見タヌキさん」って呼んでいて、ルピナはレンファのことを「陰険キツネ」って呼んでいる。
友達同士、仲がいいのは良いことだ。
「じゃあね、アレクくん! 早く陰険キツネと別れてね!」
「…………ばーか」
「ばっ、バカって言った方がバカだもん!?」
じっとりとした目で夢見タヌキ――ルピナに悪口を言ったレンファは、小さく肩を竦めてから僕の手を引いた。
「用が済んだなら帰りますよ、アレク」
「うん、ばいばいルピナ。ルピナにも早く、ちゃんとした彼氏ができると良いね」
「私はアレクくんが別れるまで待つのー!」
ルピナが叫ぶと、受付に居たルピナのお父さんお母さんが「店内ではお静かに!」って怒った。
ルピナは2人の子供なのに、あの子が騒ぐたびに「ウチの子じゃありません」「親の顔が見てみたいです」みたいな顔をしておどけているのが面白い。なんだかんだでルピナが可愛いんだろうな。そうでなきゃ、あんなに叱らないと思う。
レンファは、ルピナと一緒に居る時だけいつもより口が悪くなる。どうも「相手がこちらの土俵に上がってこられないんですから、私が下りてあげるしかないでしょう」らしい。
よく分からないけど、ルピナに合わせた対応をしているってことかな。お父さんお母さんも文句を言わずに「ルピナと遊んでくれてありがとうねえ」しか言わないし、たぶんレンファは優しいってことだと思う。
「日差しが強くなってきましたし、そろそろ帽子を被るようにした方が良いのでは? 目は眼鏡で守られるとして、アルビノは肌だって弱いんですから」
「そうだなあ……森の中だと葉っぱの陰も多いし、気にする必要がなくて楽なんだけど」
季節が巡るたびに真っ白い髪の毛は伸びて、僕はセラス母さんの髪型を真似するようになった。
伸びた髪の毛をグワッと左に分ければ、光しか感じられないだけの左目を隠すことができるんだ。
どれだけ気を付けても、右目と左目は同じ方を向けない。見る人が見れば不安になるだろうから、最初から隠して誤魔化していた方が楽だ。
母さんとお揃いなんて、仲良しみたいで楽しいし! まあ、左右逆だけど。
レンファもお揃いの分け方にしようって言ってみたけど「髪が片側に寄るのはバランスが悪くて落ち着かないです」って断られた。
髪の毛でバランスをとっていたのか――キツネの尻尾みたいなもの? 可愛い。
僕はレンファと手を繋いだまま、父さんと母さんが待つ商会まで歩いた。どうも爺ちゃんと婆ちゃんに捕まって、お茶会の刑に処されてるらしい。
たぶんこのあと、僕とレンファも処されるだろうな。
もう夏が近いから蒸し暑いし、ジリジリする。歩いている人たちの顔も、どことなく疲れてゲンナリしている。
「アレク、前は誠実な対応を褒めましたけど――」
「うん?」
「タヌ……ルピナは、キープしておいた方が良いかも知れませんね」
「キープ? ルピナをどこかへ置いておくの? よく分からない」
レンファは僕の顔を見上げたあと、すぐにサッと目を逸らした。続きがあるのかと思ってしばらく待ったけど、レンファは何も言わなかった。
キープしておく――でもルピナは人で、モノじゃない。どこにも置いておけないと思う。
1人で考え込んでいると、レンファは小さな声で説明し始めた。
「私は、君に永遠を約束できません」
「うん、いつ死ぬか分からないもんね。また森に還ってくるかどうかも分からないし、今度こそ本当に終わりかも知れない」
「そうです。本当に終わりだったら、君はどうしますか? いえ、逆に終わりじゃなかったら、どうしますか。君は――どうしたい? いつ終わるかも、終わらないかも分からないような私よりも……少なくとも、ルピナの方が君を幸せにできると思うんです。だから」
「――10年だけ待つよ」
「え?」
この答えだけは、実はずっと前から決まっていた。
不老不死の――いや、不死の魔女を好きになった時から、ずっと考え続けたことだ。
「レンファが死んだあと、僕はあの森で10年だけ次の君を待つよ。だって君は、前のレンファが死んでから8年で森まで還ってきたんでしょう?」
「そう、ですけど……」
困ったみたいに眉毛を下げたレンファが可愛くて、僕は真面目な顔をするのが難しくなった。吹き出すように笑いが漏れて、ニコニコしながら気持ちを伝える。
「じゃあ、長めに10年だけ待ってみるよ。本当はね、君が死んだら……僕も寂しくて、死にたくなるんじゃないかと思ったんだ。でも、呪いが解けたかどうか確信がもてないってことは、死んでも終わらないかも知れないじゃないか。そうなった時、僕は絶対にレンファを1人にしたくない――だから、安心して死んでいい。また新しい体で目が覚めちゃったら、森へ……僕のところへ戻っておいで」
レンファは真っ黒な目をパチパチと瞬かせた。そして、なんだか眩しいものを見るように目を細める。
「……10年が過ぎたら?」
「うーん、寂しくなって死ぬかも。いや、僕自身の手で死ぬんじゃないよ? きっと、勝手に……自然に死ぬんだ――10年も君の居ない世界で過ごして、僕の心と体はボロボロになっているだろうから。母さんが言っていたよ、病は気からだって」
だって今これだけ毎日幸せなのに、それがいきなり10年間寂しく暮らすことになったら――たぶん僕は病気になる。
それは間違いない。だから、10年間どうやって生き延びるかが問題なんだ。
「それにね? ルピナだって僕に永遠を約束できないよ。永遠なんて、人には約束できない。それは僕も同じことだ。だって、いつ死ぬかなんて誰にも分からない」
「それは――」
レンファは明日の朝、目覚めないかも知れない。でも、じゃあ僕はいつまで生きられる? 誰が僕の命を保障してくれる?
「やっぱり、早めに結婚して子供をつくっておいた方が良いと思うんだ。僕はレンファが終わったあとも10年間一生懸命頑張るつもりだけど、もしかすると頑張るだけじゃあどうにもならない時が来るかもしれない。ただ、もし僕に何かあっても……子供さえ居れば、レンファが還って来た時に寂しくないよね?」
またどこかを捻られるかな? なんて予想しながら言ってみたけど、レンファは意外と真面目な顔をして、僕を見上げている。
じっと僕の目を見たあと、少しだけ首を傾げた。
「アレクは、女性に求められるのが苦手ですよね。もしも私が君を好きになったらどうするの? 脱兎のごとく逃げ出すんですか?」
「ダットさんは存じ上げないけど……僕は逃げないよ。だってもう、僕はずっと君が欲しくて欲しくて堪らないんだから。僕は、僕という人間を〝みて〟くれるレンファのことが誰よりも好きなんだ。だから君のために生きて、君の還りを待って、それから――君を追いかけるよ」
今日はちゃんと伝わるかな。また「刷り込みだ」「勘違いだ」って決めつけられるかも。
僕が花でつくった指輪のビン詰めは、いつの間にか2本目の半分まで埋まっている。
あれがあと何本いっぱいになれば、レンファは僕を信じられるようになるんだろう。あと何本、いっぱいにできるだろう。
――不意に白い手が伸びてきて、僕の左目を覆った。光すら届かなくなって真っ暗だけど、すごく落ち着いて肩の力が抜ける。
「……そこまで言わせてしまったら、私も年貢の納め時ですか?」
ちょっとだけ緩んだキツネ目を見て、すごく嬉しいはずなのに、僕はどうしてか鼻の奥がツンと痛んだ。
本当は1日でも長く一緒に居たい。できることなら、僕が先に死にたいよ。でも、こんなに好きな子を、一生1人きりにはできないから――。
「時間の約束は、守るべきだと思うな」
「私は、私より先に死ぬ人とは結婚したくありませんよ」
「頑張って死なないようにするってば。僕はこの世で一番僕を大事にする。その次がレンファで、生まれてくる子供はその下かも……こんなことを言ったら怒られるかな」
レンファは深く、何度も頷いた。
それから急に早足になったから、僕は手を引きずられて前につんのめった。
「……家庭の調和のために、そのうち生まれてくる子供には内緒にしておいてあげます」
ふわふわの黒髪が前で揺れていて、僕はそれに飛びついて顔を埋めたくなった。でも、思いっきり捻られそうだから我慢する。
「僕の次に大事にするからね」って声を掛けたら、「別に、私が一番でアレクが次でも構いません」だって。
全く、言うことがコロコロ変わるんだから!
やっぱりレンファは気難しくて、面倒くさがりで可愛いな。この子のためなら、僕はどんなに寂しくたって、辛くたって――10年、頑張れると思うんだ。
ルピナも13歳になったらしいけど、あの子は相変わらずポヤポヤのキラキラって感じがする。レンファは堂々と「夢見タヌキさん」って呼んでいて、ルピナはレンファのことを「陰険キツネ」って呼んでいる。
友達同士、仲がいいのは良いことだ。
「じゃあね、アレクくん! 早く陰険キツネと別れてね!」
「…………ばーか」
「ばっ、バカって言った方がバカだもん!?」
じっとりとした目で夢見タヌキ――ルピナに悪口を言ったレンファは、小さく肩を竦めてから僕の手を引いた。
「用が済んだなら帰りますよ、アレク」
「うん、ばいばいルピナ。ルピナにも早く、ちゃんとした彼氏ができると良いね」
「私はアレクくんが別れるまで待つのー!」
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レンファは、ルピナと一緒に居る時だけいつもより口が悪くなる。どうも「相手がこちらの土俵に上がってこられないんですから、私が下りてあげるしかないでしょう」らしい。
よく分からないけど、ルピナに合わせた対応をしているってことかな。お父さんお母さんも文句を言わずに「ルピナと遊んでくれてありがとうねえ」しか言わないし、たぶんレンファは優しいってことだと思う。
「日差しが強くなってきましたし、そろそろ帽子を被るようにした方が良いのでは? 目は眼鏡で守られるとして、アルビノは肌だって弱いんですから」
「そうだなあ……森の中だと葉っぱの陰も多いし、気にする必要がなくて楽なんだけど」
季節が巡るたびに真っ白い髪の毛は伸びて、僕はセラス母さんの髪型を真似するようになった。
伸びた髪の毛をグワッと左に分ければ、光しか感じられないだけの左目を隠すことができるんだ。
どれだけ気を付けても、右目と左目は同じ方を向けない。見る人が見れば不安になるだろうから、最初から隠して誤魔化していた方が楽だ。
母さんとお揃いなんて、仲良しみたいで楽しいし! まあ、左右逆だけど。
レンファもお揃いの分け方にしようって言ってみたけど「髪が片側に寄るのはバランスが悪くて落ち着かないです」って断られた。
髪の毛でバランスをとっていたのか――キツネの尻尾みたいなもの? 可愛い。
僕はレンファと手を繋いだまま、父さんと母さんが待つ商会まで歩いた。どうも爺ちゃんと婆ちゃんに捕まって、お茶会の刑に処されてるらしい。
たぶんこのあと、僕とレンファも処されるだろうな。
もう夏が近いから蒸し暑いし、ジリジリする。歩いている人たちの顔も、どことなく疲れてゲンナリしている。
「アレク、前は誠実な対応を褒めましたけど――」
「うん?」
「タヌ……ルピナは、キープしておいた方が良いかも知れませんね」
「キープ? ルピナをどこかへ置いておくの? よく分からない」
レンファは僕の顔を見上げたあと、すぐにサッと目を逸らした。続きがあるのかと思ってしばらく待ったけど、レンファは何も言わなかった。
キープしておく――でもルピナは人で、モノじゃない。どこにも置いておけないと思う。
1人で考え込んでいると、レンファは小さな声で説明し始めた。
「私は、君に永遠を約束できません」
「うん、いつ死ぬか分からないもんね。また森に還ってくるかどうかも分からないし、今度こそ本当に終わりかも知れない」
「そうです。本当に終わりだったら、君はどうしますか? いえ、逆に終わりじゃなかったら、どうしますか。君は――どうしたい? いつ終わるかも、終わらないかも分からないような私よりも……少なくとも、ルピナの方が君を幸せにできると思うんです。だから」
「――10年だけ待つよ」
「え?」
この答えだけは、実はずっと前から決まっていた。
不老不死の――いや、不死の魔女を好きになった時から、ずっと考え続けたことだ。
「レンファが死んだあと、僕はあの森で10年だけ次の君を待つよ。だって君は、前のレンファが死んでから8年で森まで還ってきたんでしょう?」
「そう、ですけど……」
困ったみたいに眉毛を下げたレンファが可愛くて、僕は真面目な顔をするのが難しくなった。吹き出すように笑いが漏れて、ニコニコしながら気持ちを伝える。
「じゃあ、長めに10年だけ待ってみるよ。本当はね、君が死んだら……僕も寂しくて、死にたくなるんじゃないかと思ったんだ。でも、呪いが解けたかどうか確信がもてないってことは、死んでも終わらないかも知れないじゃないか。そうなった時、僕は絶対にレンファを1人にしたくない――だから、安心して死んでいい。また新しい体で目が覚めちゃったら、森へ……僕のところへ戻っておいで」
レンファは真っ黒な目をパチパチと瞬かせた。そして、なんだか眩しいものを見るように目を細める。
「……10年が過ぎたら?」
「うーん、寂しくなって死ぬかも。いや、僕自身の手で死ぬんじゃないよ? きっと、勝手に……自然に死ぬんだ――10年も君の居ない世界で過ごして、僕の心と体はボロボロになっているだろうから。母さんが言っていたよ、病は気からだって」
だって今これだけ毎日幸せなのに、それがいきなり10年間寂しく暮らすことになったら――たぶん僕は病気になる。
それは間違いない。だから、10年間どうやって生き延びるかが問題なんだ。
「それにね? ルピナだって僕に永遠を約束できないよ。永遠なんて、人には約束できない。それは僕も同じことだ。だって、いつ死ぬかなんて誰にも分からない」
「それは――」
レンファは明日の朝、目覚めないかも知れない。でも、じゃあ僕はいつまで生きられる? 誰が僕の命を保障してくれる?
「やっぱり、早めに結婚して子供をつくっておいた方が良いと思うんだ。僕はレンファが終わったあとも10年間一生懸命頑張るつもりだけど、もしかすると頑張るだけじゃあどうにもならない時が来るかもしれない。ただ、もし僕に何かあっても……子供さえ居れば、レンファが還って来た時に寂しくないよね?」
またどこかを捻られるかな? なんて予想しながら言ってみたけど、レンファは意外と真面目な顔をして、僕を見上げている。
じっと僕の目を見たあと、少しだけ首を傾げた。
「アレクは、女性に求められるのが苦手ですよね。もしも私が君を好きになったらどうするの? 脱兎のごとく逃げ出すんですか?」
「ダットさんは存じ上げないけど……僕は逃げないよ。だってもう、僕はずっと君が欲しくて欲しくて堪らないんだから。僕は、僕という人間を〝みて〟くれるレンファのことが誰よりも好きなんだ。だから君のために生きて、君の還りを待って、それから――君を追いかけるよ」
今日はちゃんと伝わるかな。また「刷り込みだ」「勘違いだ」って決めつけられるかも。
僕が花でつくった指輪のビン詰めは、いつの間にか2本目の半分まで埋まっている。
あれがあと何本いっぱいになれば、レンファは僕を信じられるようになるんだろう。あと何本、いっぱいにできるだろう。
――不意に白い手が伸びてきて、僕の左目を覆った。光すら届かなくなって真っ暗だけど、すごく落ち着いて肩の力が抜ける。
「……そこまで言わせてしまったら、私も年貢の納め時ですか?」
ちょっとだけ緩んだキツネ目を見て、すごく嬉しいはずなのに、僕はどうしてか鼻の奥がツンと痛んだ。
本当は1日でも長く一緒に居たい。できることなら、僕が先に死にたいよ。でも、こんなに好きな子を、一生1人きりにはできないから――。
「時間の約束は、守るべきだと思うな」
「私は、私より先に死ぬ人とは結婚したくありませんよ」
「頑張って死なないようにするってば。僕はこの世で一番僕を大事にする。その次がレンファで、生まれてくる子供はその下かも……こんなことを言ったら怒られるかな」
レンファは深く、何度も頷いた。
それから急に早足になったから、僕は手を引きずられて前につんのめった。
「……家庭の調和のために、そのうち生まれてくる子供には内緒にしておいてあげます」
ふわふわの黒髪が前で揺れていて、僕はそれに飛びついて顔を埋めたくなった。でも、思いっきり捻られそうだから我慢する。
「僕の次に大事にするからね」って声を掛けたら、「別に、私が一番でアレクが次でも構いません」だって。
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