まだまだこれからだ!

九重

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第二章 平穏な日々ばかりではないようです。

歩く最終兵器?

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「行ッテモ、何モデキナイ、ケド……モシ、戦争、終ワル可能性アルナラ……行ッテ、出来ルコトシタイ! タダ、待ッテイル、……嫌!」

 我慢していた正直な思いがうららの口をつく。
 ディアナは、満足そうに頷いた。


「よう言った! ……聞いたか? ウララは間違いなく『行きたい』と言ったぞ。ならばわしらは全力でウララのバックアップをする! いいか? あくまでバックアップじゃ! これは、わしの暴走では断じてない! いいな!」


 物凄く嬉しそうにバックアップを強調するディアナ。
 暖は、なんだか自分が罠にはまったような気がした。
 ダンケルも不安を感じたのだろう。

「魔界に連れて行けるのは、ウララだけだぞ!」

 焦って叫び出す。
 ディアナは、フンと鼻で笑った。


「その通りじゃ。――――しかしウララは竜の加護持ちじゃ。竜は、己れの竜玉の持ち主が危機におちいった時、全てを排して契約者の元に駆けつける! 例えそこがどこであろうともな」


 聞いたダンケルは、「あっ!」と叫ぶ。
 ギオルは、長い首を振り大きく頷いた。
 わかっていたのだろう、リオールとラミアーも薄く笑う。

「竜族は、古代より魔族以外のあらゆる種族と親交がある。多くの種族が、竜が助けを求める時、その声に応えると盟約を交わしておるのじゃ」

 続くディアナの言葉に、ダンケルの顔は、みるみる青ざめていく。

「そうか! その手があったか! ――――ドワーフは、竜の友だ!」

 ネモが勢い込んで叫ぶ。

「エルフは、竜と最も親交の深い種族です」

 リオールの笑みは、相変わらず美しい。

「吸血鬼もよ」

 ラミアーはクスクスと楽しそうに含み笑いをする。

「勿論、わしら魔法使いも竜とは友好的な関係にある。依頼があれば応えよう」

 物凄く悪い笑みを浮かべて、ダンケルを見るディアナ。
 ギオルは、みんなに「よろしく頼む」と言った。



「――――と、いうことじゃ。ウララ、心置きなく魔界に行って危機に陥って来い! ギオルに乗って、わしらが直ぐに駆けつけてやる!」



 ディアナは声高らかに宣言した。

(え? え? ちょっと、待って!)

 暖は心の中で狼狽える。

(ってことは、私が魔界に行って、危険なめに遭うことは、確定事項なの?)

 とんでもない! と思う。


「……エット、私、ヤッパリ魔界ハ」

「大丈夫ですよ。ウララ。魔界に行ってもウララに危険などありません。私が、行く前に防御魔法を最大威力で何重にもかけて差し上げますから。しかも付きで。――ウララを攻撃する愚か者は、塵さえ残さず消滅させてやります」

 言っている内容に関わらず、リオールの笑みは本当に美しい。


「やり過ぎだろう!」


 ダンケルは叫んだ。

「備えあれば憂いなし。足りないくらいですよ」

 あっさりとリオールは返す。

「そうだな。我もウララの危機に自動でを放つ加護を付けておこう。瞬時に駆けつける予定だが、万にひとつもウララが傷つけられる可能性は潰したいからな」

 ギオルまで、そんなことを言い出した。

「だったら私は、ウララに邪な思いで触れた者に対し、自動的に魔法をかけておくわぁ。あっという間に干からびさせてみせるわよ」

 クスクスとラミアーが笑う。 

「ふむ。誰の術が一番早く魔族を倒すか楽しみだな」 

 と、ギオル。

「負けませんよ」

 リオールは、胸を張った。

「あら、私に勝てるつもりでいるのぉ?」

 ラミアーは、自信たっぷりだ。

 無駄に張り合う三人の怖すぎる会話に、暖の顔はひきつった。
 このままでは自分は、歩く最終兵器になるのではないだろうか? 



「ダンケル、本当ニ、私、魔界、連レテ行ク?」

 思わずダンケルに確認してしまう。
 聞かれた魔族の顔も、思いっきりひきつっていた。


「ちょっと、考えさせてくれ……」


 頭をおさえてダンケルは唸りはじめる。
 無理もないと、暖は思った
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