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第十三章 全力うさぎ、背中を押してくれた人
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「サツキちゃん、待って!」
試合終了、うちのクラスが勝利して皆が喜び合う中で、コートを後にしようとしているサツキちゃんの姿を見つけて追いかける。
声をかけたのが私だとわかったのか。
「おめでとう。三組、強かったね」
振り返ったサツキちゃんは仕方なさそうに少しだけ笑った。
廊下の端により、サツキちゃんに向かって話しかける。
あの時の私の気持ち、ちゃんと伝えなきゃ。
「あのね、サツキちゃん、私」
「うん」
「多分、絶対許せないの。あの当時のことは。どうしたって、あの時の自分は辛かった、って思うから」
「そうだよね」
わかってる、とうなずいたサツキちゃんは、もうあの頃のサツキちゃんじゃない。
「そう、すっごく辛かったし、毎日学校に来るのも嫌だったし。サツキちゃんのことが怖かったから、だから逃げてた。話も聞かずに……」
「うん……」
私の気持ちを全部受け止めて、自業自得だからとさびしそうにうなずいたサツキちゃんに。
「でも、今の私はもう許してる」
「え?」
「だって、今のサツキちゃんは私にイジワルするために、メールをくれたんじゃないってことわかってるから」
「私はウイちゃんに気づかせようとしてたんだよ?」
「うん、気づいて、謝るチャンスを待ってた。そうなんでしょ?」
顔をあげて私を見つめたサツキちゃんは、小さくコクンとうなずいた。
「だから、もう許した! この間、サツキちゃんはごめんねって言ってくれたでしょ」
「あんなの、全然謝ったうちには」
「謝りたいって気持ちはいっぱい伝わったもん。だから、私にも言わせてよ」
「え?」
「逃げててごめんね、何も知らずに逃げちゃってごめん、臆病すぎたのごめんね」
そう呟いたら、サツキちゃんが見る見るボヤケていく。
「ごめんね、ウイちゃん」
「ごめんね、サツキちゃん」
お互いに何度も謝り合いながら、いつの間にか抱きしめあっていた。
人目も気にせず、抱きしめあって、わんわん泣く変な二人は目立っていたと思う。
試合終了、うちのクラスが勝利して皆が喜び合う中で、コートを後にしようとしているサツキちゃんの姿を見つけて追いかける。
声をかけたのが私だとわかったのか。
「おめでとう。三組、強かったね」
振り返ったサツキちゃんは仕方なさそうに少しだけ笑った。
廊下の端により、サツキちゃんに向かって話しかける。
あの時の私の気持ち、ちゃんと伝えなきゃ。
「あのね、サツキちゃん、私」
「うん」
「多分、絶対許せないの。あの当時のことは。どうしたって、あの時の自分は辛かった、って思うから」
「そうだよね」
わかってる、とうなずいたサツキちゃんは、もうあの頃のサツキちゃんじゃない。
「そう、すっごく辛かったし、毎日学校に来るのも嫌だったし。サツキちゃんのことが怖かったから、だから逃げてた。話も聞かずに……」
「うん……」
私の気持ちを全部受け止めて、自業自得だからとさびしそうにうなずいたサツキちゃんに。
「でも、今の私はもう許してる」
「え?」
「だって、今のサツキちゃんは私にイジワルするために、メールをくれたんじゃないってことわかってるから」
「私はウイちゃんに気づかせようとしてたんだよ?」
「うん、気づいて、謝るチャンスを待ってた。そうなんでしょ?」
顔をあげて私を見つめたサツキちゃんは、小さくコクンとうなずいた。
「だから、もう許した! この間、サツキちゃんはごめんねって言ってくれたでしょ」
「あんなの、全然謝ったうちには」
「謝りたいって気持ちはいっぱい伝わったもん。だから、私にも言わせてよ」
「え?」
「逃げててごめんね、何も知らずに逃げちゃってごめん、臆病すぎたのごめんね」
そう呟いたら、サツキちゃんが見る見るボヤケていく。
「ごめんね、ウイちゃん」
「ごめんね、サツキちゃん」
お互いに何度も謝り合いながら、いつの間にか抱きしめあっていた。
人目も気にせず、抱きしめあって、わんわん泣く変な二人は目立っていたと思う。
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