54 / 67
第六章「博士の遺言」
6-8
しおりを挟む
「ねえ、チロル!」
アイルちゃんが耳をピンと立てて、毛を逆立ている。
同じようにチロルも毛を逆立てながら、わたしの腕を抜け出て振り返った。
「どうしたの? チロル」
アイルちゃんとチロルが、なにもない白いリビングの壁に向かって低い声でうなりはじめた。
すると、白い壁が波打つように揺れて、その真ん中グルグルと渦を巻いている。
「メイ!」
ヒューガがわたしの前に立ち、かばうように背中に隠してくれる。
わたしは、ヒューガの背中にぎゅっとしがみつきながら、壁から目が離せない。
渦巻きが大きくなったかと思うと、突然そこにポッカリとまっ黒な穴が開いた。
「困るよ、君たち。約束した場所にいてくれないと」
穴の中から白衣を着た男の人が現れた。
これって未来の人? 白衣を着ているからには、多分研究所の人なんだろう。
でも、未来の人かどうか、パッとはわからない。
いたって普通の人間だったから。
変わっているのは眼鏡だけだ。
映画などに出てきそうな片方だけのメガネは、外側からも緑色の文字や記号が浮かんでいるのがわかる。
「……、ん~、これは困りましたね。一般人を巻き込んでましたか」
最初はチロルとアイルちゃんしか目に入ってなかったらしいけど、その目がわたしたちを捉えている。
「人の家に、勝手に家に入らないでください! ここ、わたしの家なんですよ! ケーサツ、呼びますよ! 変な人が家にいるって」
「ケーサツ? ああ、どうぞ、呼べるのなら呼んで下さいな。我々も未来の警察を呼びますよ、ハッピーペットを盗んだ罪で君たちを捕まえるように、と」
クスクス笑った男の人は、わたしもヒューガもカチカチに固まり、おびえていることに気付いているようだ。
「家に穴開けたのだって立派な犯罪だろ。絶対、そっちの方が罪が重いんだからな! この不法侵入者!! 不審者!!」
震えながらもヒューガが加勢してくれたけれど、未来人はクスクス笑った。
「そうでしょうか? 未来ではハッピーペットを盗んだ者は、重い罪に問われてますがね?」
重い罪に一瞬ビビったけれど、さっきからこの人ずっとバカにしているみたいに笑ってる。
相手がわたしたち子供だからって、余裕ぶっているんだ。
どう言い返したらいいのかわからなくなり黙ってしまうわたしたちに、ニヤリと目を細めた。
アイルちゃんが耳をピンと立てて、毛を逆立ている。
同じようにチロルも毛を逆立てながら、わたしの腕を抜け出て振り返った。
「どうしたの? チロル」
アイルちゃんとチロルが、なにもない白いリビングの壁に向かって低い声でうなりはじめた。
すると、白い壁が波打つように揺れて、その真ん中グルグルと渦を巻いている。
「メイ!」
ヒューガがわたしの前に立ち、かばうように背中に隠してくれる。
わたしは、ヒューガの背中にぎゅっとしがみつきながら、壁から目が離せない。
渦巻きが大きくなったかと思うと、突然そこにポッカリとまっ黒な穴が開いた。
「困るよ、君たち。約束した場所にいてくれないと」
穴の中から白衣を着た男の人が現れた。
これって未来の人? 白衣を着ているからには、多分研究所の人なんだろう。
でも、未来の人かどうか、パッとはわからない。
いたって普通の人間だったから。
変わっているのは眼鏡だけだ。
映画などに出てきそうな片方だけのメガネは、外側からも緑色の文字や記号が浮かんでいるのがわかる。
「……、ん~、これは困りましたね。一般人を巻き込んでましたか」
最初はチロルとアイルちゃんしか目に入ってなかったらしいけど、その目がわたしたちを捉えている。
「人の家に、勝手に家に入らないでください! ここ、わたしの家なんですよ! ケーサツ、呼びますよ! 変な人が家にいるって」
「ケーサツ? ああ、どうぞ、呼べるのなら呼んで下さいな。我々も未来の警察を呼びますよ、ハッピーペットを盗んだ罪で君たちを捕まえるように、と」
クスクス笑った男の人は、わたしもヒューガもカチカチに固まり、おびえていることに気付いているようだ。
「家に穴開けたのだって立派な犯罪だろ。絶対、そっちの方が罪が重いんだからな! この不法侵入者!! 不審者!!」
震えながらもヒューガが加勢してくれたけれど、未来人はクスクス笑った。
「そうでしょうか? 未来ではハッピーペットを盗んだ者は、重い罪に問われてますがね?」
重い罪に一瞬ビビったけれど、さっきからこの人ずっとバカにしているみたいに笑ってる。
相手がわたしたち子供だからって、余裕ぶっているんだ。
どう言い返したらいいのかわからなくなり黙ってしまうわたしたちに、ニヤリと目を細めた。
34
あなたにおすすめの小説
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
【運命】と言われて困っています
桜 花音
児童書・童話
小6のはじまり。
遠山彩花のクラスである6年1組に転校生がやってきた。
男の子なのに、透き通るようにきれいな肌と、お人形さんみたいに、パッチリした茶色い瞳。
あまりにキレイすぎて、思わず教室のみんな、彼に視線が釘付けになった。
そんな彼が彩花にささやいた。
「やっと会えたね」
初めましてだと思うんだけど?
戸惑う彩花に彼はさらに秘密を教えてくれる。
彼は自らの中に“守護石”というものを宿していて、それがあると精霊と関われるようになるんだとか。
しかも、その彼の守護石の欠片を、なぜか彩花が持っているという。
どういうこと⁉
中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP
じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】
悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。
「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。
いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――
クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です*
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる