56 / 67
第六章「博士の遺言」
6-10
しおりを挟む
「アイル、チロル、こちらにいらっしゃい? これが何かわかっていますね」
「止めて! ヒューガに手荒な真似しないで!」
研究所の人がこちらに向けたものは銀色の拳銃のようなもので、その先からは緑色のレーザービームが出ていた。
そのビームの先が、ヒューガの心臓部分を光らせていて、引き金を引いたらそこに当るということを示しているようだ。
一歩も動けなくなったヒューガの前にわたしの腕の中から飛び出したアイルちゃんが立ちはだかる。
「アイル!」
チロルもあわてて、アイルちゃんの隣に並び立った。
「アタシが戻ればいいんでしょ! この人たちは本当に何の関係もないの。アタシが弱っていたのを助けてくれただけだから」
「お願いだよ、アイルから首輪を取り上げないで。ボクがずっとアイルに付き添って、他のペットには何も言わないように見張るから! なんだってするから、アイルを助けて」
「言うなっていうなら、もう二度と研究所の不利になるようなことは言わないから。アタシが人間の言葉を話せなくなるように、首輪を取り上げたってかまわない。だけど、ヒューガやメイちゃんに乱暴なことだけはしないで。お願い」
アイルちゃんとチロルの必死な様子に、未来の研究所の人は、満足げに微笑んだ。
「アイル、こっちにいらっしゃい」
「行くな、アイル!」
動こうとしたヒューガの額に、レーザービームが照準を変えた。
「行くから、止めて! ヒューガに、乱暴なことはしないで」
アイルちゃんはピョンを跳ねあがり、白衣の男の人の肩に乗る。
「よし、いいこだ。さて、チロル、君には後始末をお願いしようか」
「え?」
「さっき、何でもやると言っただろう? だから君にお願いするよ」
チロルに、なにをさせようと言うの?
「止めて! ヒューガに手荒な真似しないで!」
研究所の人がこちらに向けたものは銀色の拳銃のようなもので、その先からは緑色のレーザービームが出ていた。
そのビームの先が、ヒューガの心臓部分を光らせていて、引き金を引いたらそこに当るということを示しているようだ。
一歩も動けなくなったヒューガの前にわたしの腕の中から飛び出したアイルちゃんが立ちはだかる。
「アイル!」
チロルもあわてて、アイルちゃんの隣に並び立った。
「アタシが戻ればいいんでしょ! この人たちは本当に何の関係もないの。アタシが弱っていたのを助けてくれただけだから」
「お願いだよ、アイルから首輪を取り上げないで。ボクがずっとアイルに付き添って、他のペットには何も言わないように見張るから! なんだってするから、アイルを助けて」
「言うなっていうなら、もう二度と研究所の不利になるようなことは言わないから。アタシが人間の言葉を話せなくなるように、首輪を取り上げたってかまわない。だけど、ヒューガやメイちゃんに乱暴なことだけはしないで。お願い」
アイルちゃんとチロルの必死な様子に、未来の研究所の人は、満足げに微笑んだ。
「アイル、こっちにいらっしゃい」
「行くな、アイル!」
動こうとしたヒューガの額に、レーザービームが照準を変えた。
「行くから、止めて! ヒューガに、乱暴なことはしないで」
アイルちゃんはピョンを跳ねあがり、白衣の男の人の肩に乗る。
「よし、いいこだ。さて、チロル、君には後始末をお願いしようか」
「え?」
「さっき、何でもやると言っただろう? だから君にお願いするよ」
チロルに、なにをさせようと言うの?
33
あなたにおすすめの小説
【運命】と言われて困っています
桜 花音
児童書・童話
小6のはじまり。
遠山彩花のクラスである6年1組に転校生がやってきた。
男の子なのに、透き通るようにきれいな肌と、お人形さんみたいに、パッチリした茶色い瞳。
あまりにキレイすぎて、思わず教室のみんな、彼に視線が釘付けになった。
そんな彼が彩花にささやいた。
「やっと会えたね」
初めましてだと思うんだけど?
戸惑う彩花に彼はさらに秘密を教えてくれる。
彼は自らの中に“守護石”というものを宿していて、それがあると精霊と関われるようになるんだとか。
しかも、その彼の守護石の欠片を、なぜか彩花が持っているという。
どういうこと⁉
中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP
じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】
悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。
「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。
いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――
クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。
妖精の風の吹くまま~家を追われた元伯爵令嬢は行き倒れたわけあり青年貴族を拾いました~
狭山ひびき
児童書・童話
妖精女王の逆鱗に触れた人間が妖精を見ることができなくなって久しい。
そんな中、妖精が見える「妖精に愛されし」少女エマは、仲良しの妖精アーサーとポリーとともに友人を探す旅の途中、行き倒れの青年貴族ユーインを拾う。彼は病に倒れた友人を助けるために、万能薬(パナセア)を探して旅をしているらしい。「友人のために」というユーインのことが放っておけなくなったエマは、「おいエマ、やめとけって!」というアーサーの制止を振り切り、ユーインの薬探しを手伝うことにする。昔から妖精が見えることを人から気味悪がられるエマは、ユーインにはそのことを告げなかったが、伝説の万能薬に代わる特別な妖精の秘薬があるのだ。その薬なら、ユーインの友人の病気も治せるかもしれない。エマは薬の手掛かりを持っている妖精女王に会いに行くことに決める。穏やかで優しく、そしてちょっと抜けているユーインに、次第に心惹かれていくエマ。けれども、妖精女王に会いに行った山で、ついにユーインにエマの妖精が見える体質のことを知られてしまう。
「……わたしは、妖精が見えるの」
気味悪がられることを覚悟で告げたエマに、ユーインは――
心に傷を抱える妖精が見える少女エマと、心優しくもちょっとした秘密を抱えた青年貴族ユーイン、それからにぎやかな妖精たちのラブコメディです。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
瑠璃の姫君と鉄黒の騎士
石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。
そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。
突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。
大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。
記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる