2 / 16
王宮での断罪②
しおりを挟む耳を塞いでいた第二王子が気を取り直したのか、キっと顔を上げて叫んだ。
「こんな暴挙、母上が黙っていないぞ!」
「王妃殿下にはこの決定を覆す力はございません」
昔っから都合が悪くなると、王妃様のスカートの影に隠れるのよね。
王妃様ってば、このバカを猫っ可愛がりして、やる事なす事全部肯定してきたから、諫言など聞きゃあしない。
ちょっとでも注意しようものなら、「母上に言いつけてやる!」だもん、十八歳になった今でも。
王妃様が第二王子をこんなバカに育ててしまったんだと思うわ。
長男のジェラルド殿下はまともな腹黒なのに。
慣例通り乳母に育てられたから、王妃様の悪影響がなかったんだろうね。
「王妃様はこの度、北の離宮で病気療養することになりましたの。既に王都を旅立っておられますわ」
「そんなの聞いてないぞ!」
でしょうね!
第二王子に騒がれるのを防ぐために、秘密裏に動いていたらしい。
だけど、普通にしてても気づかなかったかもね。
公務はテキトー、はたまた仮病で欠席。太鼓持ち侍従たちと『馬鹿次男ズ』とつるんでばっかりだから。
それに奴ら、昨日は王子の私室に籠って今日の打ち合わせをしてたんだってよ。
そのままお泊りした馬鹿どもが王宮を出た後、王妃様の護送部隊が出発したそうだ。
今回の護送、王妃様のご実家の侯爵家とか派閥の貴族家が奪還に動くかもしれないと、一個小隊の騎士に守られて移動している。
それらの段取りと指揮をしているのが第一王子のジェラルド殿下。
『北の離宮』があるのは辺境の飛び地にある王領だけど、そこまでではなく王都を出るまで部隊に帯同する予定だそうだ。
この大広間と繋がっている小広間には、卒業生たちの父兄が集っているんだけど、そちらから騒ぐ声が聞こえてきた。
王妃様の派閥の人達でしょうね。
「同じ宮殿にお住まいなのに、お別れのご挨拶もなかったのですか。寂しいことですわねぇ」
もちろん、王妃様とバカ息子が顔を会わせないよう、連絡を取り合えないよう王城内で働く者たちが結託して隔離していたのだ。
馬鹿どもが自分たちの事ばかりにかまけている間に、様々な事が決定し施行されている。
情報は大事よ。我が家の諜報員は広範囲に散っているし、王家の諜報員や忍者みたいな『影』部隊も暗躍しているから、バカどもの行動も知っている。
つまり、わたしの行動も知られているって事なのよねぇ。あーあ。
本来なら、宰相の息子であるシューサイが情報を取得して立ち回らなければならないのに、貴族学院の事だけにしか目が向いてなかった自身の愚かさを後で嘆くがいいさ!
「ウソだ! デタラメだ! 母上は王妃だぞ!? この国の最上位の女性なんだ! 北の離宮に行くわけがない!!」
『北の離宮』というのは、罪を犯した王族が幽閉される宮殿。
昔には気を病んだ王族が収監されたりもしていたんだって。
マザコン王子が地団太を踏むのも仕方がない。
いや、衆人環視の中で地団太を踏むっておこちゃまか!
「王妃様におかれては、『公金横領罪』など、大小様々な罪が暴かれました。ここでは詳しくは申せませんが、国王陛下が強権を以て『北の離宮』行きを決定されましたの」
「そんな乱暴な!」
すぐに反論したのはシューサイ。さすがマニュアル男。
通常なら罪を問われたら、裁判まで貴賓牢に収監されるし、王族なら私室に監禁される。それなのにそこをすっ飛ばして幽閉措置を取る強硬手段。
これらは国王陛下が『超法規的措置』という強権を発動したため。
――『王位簒奪』を謀っていた事が分かったから。
第二王子ジェイソンを玉座に就けようと色々画策してた一端で、昔から命を狙われていた第一王子。
実子なのに酷くない? どういう心境なのかさっぱりだわ。
で、更に、今度はわたしたち兄妹にも刺客を放ってくれたのよ。
犯人誰だよって探るじゃない? すぐ分かったわ。リズボーン家なめんなよ!
ということで、首謀者のアサマシィ侯爵家(王妃様の実家)には、既に捕縛の手が回っている。
現在同時進行でお送りしています。ハイ。
あらぁ、小広間からも悲鳴が聞こえてるわー。
まさかこんなに早く行動に移されるとは思っていなかったんでしょう。
残念! こんなパーティーに呑気に参加している場合じゃなかったと後悔してももう遅い!
広間の扉は既に騎士たちにより封鎖されているんだもん。
第二王子の罪は、『公金横領・職権乱用』、あと一番重いのが『王位簒奪』。
旗頭にされて、無自覚に振舞っていた上、先ほどの「未来の国王だぞ」宣言。
王太子が第一王子のジェラルド殿下に決定した後だから、まさに「簒奪企ててます」という意味に採られるわよね。
はぁ、おバカ。でもここはあえて触れない。話が進まないからねー。
「罪の証拠も証人も物証も揃っているそうですわ。それでも反論があるならば、国王陛下に奏上して下さいませ」
言えるもんならな!
「だいたい、王妃殿下が熱望されてこの祝賀パーティーは王宮で開催されたというのに、当のご本人がご臨席されていないなど、おかしいと思いませんでしたの?」
「そ、それは……後でご来場されると思っていたから……」
シューサイの返答は歯切れが悪く尻すぼみだ。
今更になって、状況確認を怠っていたことを悔やんでいるのかもしれなわね。
お そ い っ て!
「ああ、ついでに言っておきますわ。
わたしくと第二王子の仮初の婚約は半年前、既に白紙となってますの。
ですから『婚約破棄』、『嫉妬に駆られて』と言われても婚約者ではございませんので困ってしまいますわ」
「「「「……え、ええ!? 白紙ぃぃ!?」」」」
想定通り知らなかったようだ。
仮契約書を破棄する時、王家側は国王陛下と侍従長、近衛騎士しかいなかった。
一応、陛下は本人にちゃんと伝えるって言ってたけど、恐らく伝わらないだろうなーと思ってたよ。
どうせあのバカは他人の話をまともに聞かないし、王妃様の横やりが入るだろうから。
筆頭公爵家の後ろ盾は、是が非でも失いたくなかっただろう。
わたしと第二王子の仮婚約は、どちらかに良縁が舞い込めば白紙にする、というゆるーい契約だったのよね。
それで半年前、わたしに隣国の第三王子との縁談が持ち上がったから、そこで白紙にされたのよ。
まぁ、その第三王子との縁談は見送られたんだけど、ジェイソンと再婚約とはならなかったからホッとしている。
得意満面にこんな所で婚約破棄を突き付けたのに、そもそも婚約はなかった事にされているってね。いい面の皮。
次から次へとバカどもには想定外な事を聞かされて、どうやら頭真っ白になっているみたいね。呆然と口が開きっぱなしのアホ面さらしてまぁ。
でもここで時間を食ってる訳にはいかないんだよ。まだまだ話はこれからだからね!
「それはさておき、」
「おけるのかっ!」
すかさず誰かのツッコミが入ったけどスルー。
「セシルさんへの虐めを訴えておりましたけれど、ここで断言いたします。事実無根であることを証明しますわ! では、オリビア様、後はよろしく」
四馬鹿次男ズとセシルを見据えてから、わたしは背後に控えていたコールマン侯爵令嬢オリビア様を振り返った。
彼女、わたしの側近なのよ。嫋やかな美人で、例えるなら白百合。学院の成績も常に五位以内だった才媛。
なんだけどぉ、あのシューサイの婚約者だったのよねぇ。
既に双方の当主同士の話し合いも済み、シューサイの有責で、こちらは本当の『婚約破棄』となった。
その時のすがすがしい笑顔ったらねぇ。
淑女の微笑みを浮かべ、美しいカーテシーをしてから、オリビア様は侍女からリストと魔導具を受け取った。
「わたくし、オリビア=コールマンから、ライアー男爵家令嬢の偽証を告発いたします」
「オリビア! 貴様、」
「バカディ公爵家令息様、あなた様とは既に他人、名前を呼び捨てになさらないで下さい。不快ですわ」
オリビア嬢に食って掛かろうとしたシューサイだけど、すっごく冷たーい一瞥でぴしゃりと言い放たれて、「ぐっ」とか息をのみ込んだ。
いつまでも“俺の女”みたいに思ってんじゃないわよ! ばーか!
「改めまして。ライアー男爵令嬢の訴える数々の被害、その日時と学院内に設置されている映像記録用魔導具の映像に齟齬がございます。まずは――」
シューサイの事など脇へと追いやり、粛々と検証を進めていくオリビア様は、仕事の出来る女官然としているわ。カッコいー。
オリビア様が持つリストは、シューサイが証拠だとバサバサ振っていた書類の写し。
机の上に無防備に放って置くから、諜報員がらくらく書き写してきたものだけど、結構あっさり少なめ。
何故なら、原本に書かれていた内容がろくでもなかったからって聞いたわ。
いついつ、セシルがどういう被害に遭ったのか、それはいいんだけど、それ以外の内容が大半を占めていたそうだ。
セシルがどのような状態であったか、どんな風に悲しんでいたか、それがシューサイたちにどのように見えたとか、“悪役令嬢”のわたしへの罵詈雑言などなど。
とてもじゃないけど、その無駄な文章を省いて写したそうだ。そしたら紙一枚で済んでるっていうね。
それを証拠って言ってたんだよ、アイツ。
「こちらはその当時の証拠映像となります。学院内の各所に、防犯目的で設置されている監視映像魔導具【CAMERA】の、該当日時の記録をお借りしてまいりました」
オリビア様が魔導具を起動すると、人々の頭上、空中にちょっとした立体映像が現れる。
「〇月〇日の放課後、ライアー男爵家令嬢の教科書が、何者かに破られ捨てられたとの証言ですが、実際はこちらです」
そこに投影されていたのは、誰もいない教室で、きょろきょろと辺りを確認した後、おもむろに教科書とノートを数冊取り出し、一心不乱にセシル自らが破っている姿だった。
呆気に取られる衆目。
映像がそれから少し進むと、教室にシューサイがやって来て、うって変わって涙ながらに駆け寄っていくセシル。
“誰か”に教科書とノートが破られたとしくしく訴えるセシルを、最初驚いていたがすぐに優しく慰めるシューサイ。
映像はここで終了。
シューサイが慌てて該当記録を探している。
無駄な文章が多いせいか手間取ってるわ。
「次は〇月〇日、昼休みの終わり頃、庭園の噴水へ、“ある方”に突き落とされて風邪を引いた、との証言ですが実際はこちらです」
映像には、スキップしながら噴水までやって来たセシルが、自らドボンと噴水池に飛び込み、バシャバシャと水遊びを楽しむ姿が映っていた。
五分ほど経ってから自分で噴水池から脱出し、スカートの裾をぎゅっと絞っている辺りでナルシス登場。
「何があったの!?」 「紫っぽい黒髪の女の人に突き落とされたんですぅ」 「それってリズボーン公爵令嬢!? なんて女だ! すぐに乾かさないと風邪をひいてしまう。よし、僕が魔法で乾かしてあげるよ!」 「ええっ!? 大丈夫ですぅ。寮の部屋で着替えるからぁぁぁ」
なんて会話があって、セシルは脱兎のごとく駆け出した。
うん、正解だ。ナルシスに魔法を掛けられたら、乾くどころか黒焦げになるだろう。
さて、次の現場に移り、今度は階段落ち。
もちろんセシルは自分で落ちた。あっぶねーなぁ。
自分でもさすがに怖かったんだろう、踊り場でうろうろした後、半分まで降りてまたうろうろし、最終的に下から五段目からとぅと飛び降りた。
ざわつく衆目。
セシルが痛い、助けてーと叫ぶところで映像は終了。
実はこの十分後くらいにやっとノーキングが登場してセシルを助け起こしているんだけど、もうそこは重要じゃないから割愛。
他にも“わたしたち(四馬鹿次男ズの婚約者たち)”が徒党を組んで、校舎裏に呼び出したセシルを罵倒し殴ったという日の映像でも、セシル一人で転んでイターイとか叫んでいるだけ。
本来なら、わたしに足を引っかけられて転んだ、という偽証の証拠映像も出したかったんだけど、これは初期の頃の上、回数が多かったから諦めたの。
見事にスカーと、わたしにぶつかる事なくいきなり単独で転ぶ映像が残っているから、いつでも提出可能だ。
まぁ大事なのは、全て自作自演であることが映像として残っているって事よ!
わざとらしいほど、きっちり映像に納まっているのよねー。ふふふ。
「以上の証拠映像によりライアー男爵家令嬢が、リズボーン筆頭公爵家令嬢、エイプリル伯爵家令嬢(ノーキングの元婚約者)、メイ伯爵家令嬢(ナルシスの元婚約者)、それとわたくしを冤罪で貶めようとしたことは明白。
そしてこれらの虚言を事実として突き付けた皆さまには、マリアージェ公女殿下に対する不敬罪が適用されるでしょう」
第二王子以外はね。
腐ってもまだ表向き王族だからなー。
「こんなの捏造だ!!」
はい、二度目の捏造宣言頂きました。
シューサイ、自分がやってるから他人もやるだろうって方向に直結させんな!
セシルに教師を篭絡させて、試験問題を流出させたことバレてんだからな! その教師は免職だぞ!
自分が不正をして試験で一位を取ったから、わたしが一位になったら不正だと騒ぐという実に小者らしさよ。
それに監視映像の件でテンパってるのか、証言リストの流出にまで思い至ってない。バカが。
わたしは鼻で嗤ってやったけど、オリビア様はカチンと来たようだ。
「捏造などと、王宮魔導師団技術研究所に言いがかりをつけるとは、バカディ公爵家令息様は魔導具に造詣が深いご様子。
では、この監視映像魔導具【CAMERA】の映像をどのようにすれば捏造映像を創れるのか、ぜひここでご教授願えないでしょうか。
幸い高位貴族家のお歴々が揃っておいでですもの、きっと証人になって下さいますわ」
「なっ……! それは……そうだ、わたしは専門家ではない! だからその映像を王宮魔導師団技術研究所に分析させろ!」
思いもかけないオリビア様の追及だったのだろう。ちょっと突っ込まれるとしどろもどろ。
今までは淑女の微笑みで、「まあそうですの」「さようでございますか」「かしこまりました」なんて返事しか返してなかったみたいなのよ。
自慢話しかしない相手の相槌なんてそんなもんだろうが、ばーか!
「学院に設置されている【CAMERA】は、王宮魔導師団技術研究所で製造された刻印が入っているものばかり。
記録された映像も魔法干渉がないことは既に研究所で分析・認証済みの上、技術研究所所長と魔導師団団長の承認印を頂いておりますわ。
だからこその証拠としてここにあるのです」
魔導師団団長はアフォネン伯爵。ナルシスのお父さんだよー。
みんなちらっとナルシスを見たよね。
見ただけだけど。こいつ、何も知らねーだろうなって、すぐ視線外したわ。
わたしは侍女に目配せして、【CAMERA】の一つを受け取る。
台座に乗った丸い水晶のような見た目で手の平サイズ。長時間録画できるよう動力部の魔石の効率化には苦労したわー。魔導具師が。
出来た当初はもっと大きくて、録画時間も三十分程度だったのに、王宮魔導師団技術研究所と提携して改良を重ね、今や小さいのに半日録画出来るのよ!
現在、王宮や貴族議会会館、貴族学院などに防犯カメラとしてたくさん設置されているの。もちろん、この会場にも設置されているわ。
「バカディ公爵令息、こちらにしっかり魔法刻印がされてますわ。
これは偽造防止も兼ねている物ですから、映像に手を加えたり出来ませんのよ」
わたしはシューサイの目の前に、ずいっと突き出してやる。
『この刻印が目に入らぬかー!』てな具合。
ちょっと仰け反ったシューサイは、思い余ったのか、忌々し気にわたしの手ごと【CAMERA】をパシっと払い除けた。
うぉっ、ちょっと、それ高いのよ!
50
あなたにおすすめの小説
転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す
RINFAM
ファンタジー
なんの罰ゲームだ、これ!!!!
あああああ!!!
本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!
そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!
一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!
かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。
年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。
4コマ漫画版もあります。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
悪役令嬢だから知っているヒロインが幸せになれる条件【8/26完結】
音無砂月
ファンタジー
※ストーリーを全て書き上げた上で予約公開にしています。その為、タイトルには【完結】と入れさせていただいています。
1日1話更新します。
事故で死んで気が付いたら乙女ゲームの悪役令嬢リスティルに転生していた。
バッドエンドは何としてでも回避したいリスティルだけど、攻略対象者であるレオンはなぜかシスコンになっているし、ヒロインのメロディは自分の強運さを過信して傲慢になっているし。
なんだか、みんなゲームとキャラが違い過ぎ。こんなので本当にバッドエンドを回避できるのかしら。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした
きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。
全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。
その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。
失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。
【完結】婚約破棄したら『悪役令嬢』から『事故物件令嬢』になりました
Mimi
ファンタジー
私エヴァンジェリンには、幼い頃に決められた婚約者がいる。
男女間の愛はなかったけれど、幼馴染みとしての情はあったのに。
卒業パーティーの2日前。
私を呼び出した婚約者の隣には
彼の『真実の愛のお相手』がいて、
私は彼からパートナーにはならない、と宣言された。
彼は私にサプライズをあげる、なんて言うけれど、それはきっと私を悪役令嬢にした婚約破棄ね。
わかりました!
いつまでも夢を見たい貴方に、昨今流行りのざまぁを
かまして見せましょう!
そして……その結果。
何故、私が事故物件に認定されてしまうの!
※本人の恋愛的心情があまり無いので、恋愛ではなくファンタジーカテにしております。
チートな能力などは出現しません。
他サイトにて公開中
どうぞよろしくお願い致します!
悪役令嬢は伝説だったようです
バイオベース
恋愛
「彼女こそが聖女様の生まれ変わり」
王太子ヴァレールはそう高らかに宣言し、侯爵令嬢ティアーヌに婚約破棄を言い渡した。
聖女の生まれ変わりという、伝説の治癒魔術を使う平民の少女を抱きながら。
しかしそれを見るティアーヌの目は冷ややかだった。
(それ、私なんですけど……)
200年前に国を救い、伝説となった『聖女さま』。
ティアーヌこそがその転生者だったのだが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる