主人公の義弟兼当て馬の俺は原作に巻き込まれないためにも旅にでたい

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光の国に転生した闇属性の俺!?

15)公爵家の夜(2)

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ゲームでの知識を絞り出す。簡単な知識から応用的な知識まで、自分の知り得ることを思い出すのだ。

例えば属性で言えば水は火に強く、火は風に強く、風には土に強く、土は水に強いという法則が基本的にある。

そして、闇や光はその法則から外れ、基本弱点は存在しない。闇と光は相殺し合う。もしかしたら兄のような光属性の人がいればこのバリアも消すことが出来るかもしれない。

(でも、今ここに兄はいないから…)

この前シャドウを呼び出した時を思い出す。呼び出すこともできるということは自分に取り入れることもできるのではないか?

「おとうしゃま、魔法って吸収できたりしゅるんですか?」

「う~ん他人の魔力は分からないが、戦場とかでは魔力枯渇に備えて魔力石から供給したりはするが…」

確かに、『リュミ騎士』をプレイしていた時も「魔力石」は無くてはならない存在だった。ここで、魔力は取り入れることが出来るということが分かった。

(自分の魔法を魔力として吸収できるかは分かんないけど…)

ピトッと自分の出した黒い膜に触れる。さっきは手のひらから出すイメージで黒い玉を出したから、次は吸収するような掴み取るようなイメージで触れてみる。

「ー戻って」

「ナハト?」

手のひらが少しだけぽわぽわとしてくる。ご飯を食べた時みたいにお腹が満たされる感じがする。

(これが魔力を回復してるってことか…?)

目を開けると、夜のように暗かった空が明るくなっていた。俺は魔力の吸収に成功したようだ。

「これは凄い。ナハト、どうしたんだい?」

「おとうしゃまが魔力は吸収できるってことを教えてくだしゃったので試してみたんです」

「なるほど、私の息子は私が思ってたより頭が良くて器用なようだ」

「ありがとう…ございましゅ」

よしよしと優しく頭を撫でてくれる。こんな風に誰かに褒めてもらうのは何度でも慣れないものだ。

「しかし、これからどうしたものか」

「ど、どうしたんでしゅか?」

「いいやナハトの才能がありすぎるから専門家の先生を雇おうかと考えていただけだよ」

それから「ナハトも疲れただろう?今日はもう部屋に帰って休みなさい」と部屋に返されてしまった。俺自身は特にそんなに疲れていないが、確かに今日は色々あったから考える時間は必要だ。

自分用の机に座って今日あったことを元に色々考えてみる。

(魔力は出すことも吸収することもできる。闇属性はかなり硬いバリアのようなものを作り出すことができる)

「そういえば…」

「僕の魔力ってどれくらいあるんだろう」

他の人の魔力はこのイヤリングを通してみることが出来るが、自分自身の魔力量というものは見ることが出来ない。

「もし見れたら自分の限界値とか、今できる魔法とか知れて楽なんだけどなあ…」

(やっぱり、自分が誕生日の時は兄に魔導書をお願いしようっと)

「ふわぁ、色々考えたらなんか眠くなってきちゃった」

少し昼寝をしようとベッドの上に寝転がる。この時の俺は今日の出来事が王国全体で騒ぎになっていることについて知る由もなかった。

この出来事は「闇に包まれた公爵家」として王国中に広まり、公爵家には闇属性の子供がいるという事も知れ渡ってしまったのであった。

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