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4 新たな恋の予感
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からかう様な口調とお姫様、という呼び方が懐かしくて、私も同じように返す。
「そうだったわね。私の騎士になってくれるのかしら」
「当然なりますよ。私が護られただけなんて、格好悪い騎士のままになってしまう」
眉を下げているブライアルドは大型犬のようだ。
「気にしないで。……紋がなくなる今なら、あなたの傷全て治せるわ」
「護衛は必要ない?」
「いいえ、完璧な騎士になってねって事よ! 一緒に行ってくれると、嬉しい」
その瞬間、彼の表情がほころんだ。心の奥底で温めていた感情が、ようやく解放されたように感じた。
「知ってましたか? 聖国の聖女は結婚が許可されているという事を」
「えっ」
「私が聖国に行くなら、何もかもを、あなたに捧げたいと思っています。……私に、ずっと隣に居る権利をもらえませんか?」
彼の真っ直ぐな視線が私を射抜く。思わず、心が揺れ動いた。
「どうしてそんな……」
「ずっとずっと、好きだったんです。命を救われて、余計その思いが強くなった。それだけです」
「私、そんなこと……考えたこともなかったわ」
「それでも構いません。幼馴染として勝手に好きだったんですから。実を言うと、私のお姫様を護りたくて騎士になったんです」
彼はそう言って、優しく笑った。その笑顔に、私の心はもう動いてしまった気がする。
「……道中で、色々と話しましょう」
彼は笑みを浮かべたまま、私の手を取った。
まだざわざわとしたままの広間で、私は呆然としたままのアルバートとリリアを見た。
「アルバート殿下! リリア様には紋は刻まないようにね!」
私は振り返り、最後の言葉をアルバートに告げる。彼は激しく顔を歪め、怒りを抑えられないようだった。
「ば、馬鹿にしやがって……」
魔法陣を描きかかったアルバートを、騎士たちが抑えつける。
「やめろ! 私を誰だと思っているんだ! あんな女のせいで、聖女ぶったつまらない女にどうして私が! 離せ!」
「……アルバートの、王位継承権をはく奪をする」
暴れるアルバートに王の冷たい宣告が下されると、彼はその場に崩れ落ちた。私は深く息を吸い込み、ようやく自分の自由を感じることができた。
これからは、私の人生を自分の意志で歩む。聖女として、そしてひとりの人間として。
……隣に騎士が居るかどうかは、これからの話だ。
「そうだったわね。私の騎士になってくれるのかしら」
「当然なりますよ。私が護られただけなんて、格好悪い騎士のままになってしまう」
眉を下げているブライアルドは大型犬のようだ。
「気にしないで。……紋がなくなる今なら、あなたの傷全て治せるわ」
「護衛は必要ない?」
「いいえ、完璧な騎士になってねって事よ! 一緒に行ってくれると、嬉しい」
その瞬間、彼の表情がほころんだ。心の奥底で温めていた感情が、ようやく解放されたように感じた。
「知ってましたか? 聖国の聖女は結婚が許可されているという事を」
「えっ」
「私が聖国に行くなら、何もかもを、あなたに捧げたいと思っています。……私に、ずっと隣に居る権利をもらえませんか?」
彼の真っ直ぐな視線が私を射抜く。思わず、心が揺れ動いた。
「どうしてそんな……」
「ずっとずっと、好きだったんです。命を救われて、余計その思いが強くなった。それだけです」
「私、そんなこと……考えたこともなかったわ」
「それでも構いません。幼馴染として勝手に好きだったんですから。実を言うと、私のお姫様を護りたくて騎士になったんです」
彼はそう言って、優しく笑った。その笑顔に、私の心はもう動いてしまった気がする。
「……道中で、色々と話しましょう」
彼は笑みを浮かべたまま、私の手を取った。
まだざわざわとしたままの広間で、私は呆然としたままのアルバートとリリアを見た。
「アルバート殿下! リリア様には紋は刻まないようにね!」
私は振り返り、最後の言葉をアルバートに告げる。彼は激しく顔を歪め、怒りを抑えられないようだった。
「ば、馬鹿にしやがって……」
魔法陣を描きかかったアルバートを、騎士たちが抑えつける。
「やめろ! 私を誰だと思っているんだ! あんな女のせいで、聖女ぶったつまらない女にどうして私が! 離せ!」
「……アルバートの、王位継承権をはく奪をする」
暴れるアルバートに王の冷たい宣告が下されると、彼はその場に崩れ落ちた。私は深く息を吸い込み、ようやく自分の自由を感じることができた。
これからは、私の人生を自分の意志で歩む。聖女として、そしてひとりの人間として。
……隣に騎士が居るかどうかは、これからの話だ。
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