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♦️かつての邪竜との対決♦️
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「クククク、では行くぞ!」
ルシャナは邪悪な笑みを浮かべながら紅い光を右手から放った!
「何ですか、この禍々しい邪気は」
「今から具現化する記憶は、私がレイラ=ヴァレルジアと闘った時の記憶、つまり過去のレイラ=ヴァレルジアだ」
「大丈夫なんですか? そんなものを具現化させたらその時点で世界が終わりになりませんか?」
「大丈夫じゃ、お主らが殺されそうになったら私が消してやる」
「それより構えよ、そろそろ出てくるぞ!」
紅い光は更に一層輝きだし、過去のレイラ=ヴァレルジアの具現体が現れた!
「これが昔のレイラの姿なのか?」
「そうじゃ、この小生意気な顔をしたやつがレイラ=ヴァレルジアじゃ」
「その生意気っぷりと来たら今でも忘れぬぞ!」
「そ、そうなんですね……。ちなみにどんなことをされたのですか?」
「胸の大きさでマウントを取られた……。」
「あっ…そ、そうなんですね」
夜月は思ったよりどうでもいい理由だったので、すこし呆れた気持ちになったが、すぐに気持ちを切り替えて闘いに集中した。
「では行きます! 覚悟してください!」
夜月はそう言うと、触れれば燃える性質を持つお札を具現体に向けて投げつけた!
さすがに五枚投げつけたのだから一発は当たるかとも思ったが、あっさりとかわされてしまった。
「ちっ、やはり一筋縄ではいきませんね!」
「なら今度は俺が行く!」
アレンは剣を構え、具現体に向かって突撃した!
突撃された具現体は攻撃をかわそうとせず、左手で剣を止めると、邪悪な笑みを浮かべながら右手に出現させた剣でアレンの剣を叩き折ってしまった!
「げっ! 剣が折られた!」
「アレン! 剣を修復します! こちらに剣を向けてください!」
「わかった!」
アレンは夜月に剣を向け直してもらおうとした。
だがその瞬間、具現体が魔法を唱えた!
「『時を破壊し剣を朽ちらせよ!時間破壊!』」
「なっ! 嘘だろ!?」
「アレンの剣が!?」
アレンの剣は具現体の放った魔法が直撃したことによって跡形もなく消滅してしまった!
「なんじゃお主ら、ヴァレルジアの能力を知らなかったのか?」
「いや、俺は知っていたが、時を破壊する能力……こういうことか……。」
「そうじゃ、ヴァレルジアの能力の中でも最強の能力……時間破壊は対象の時間を破壊して存在を消滅させる魔法じゃ」
「しかも生物に当たれば魂ごと消滅させるからかなりやばいのぉ」
「まじか……じゃあ、あの魔法が来たら回避しないと!」
「そうじゃのぉ、ほれほれ次の魔法が来るぞ♪」
「朽ちゆけ人間よ!『時間破壊』」
「おいおい! 三発連続で魔法を放ってきたぞ!」
「アレン! 今助けます! 防御壁の陣! 展開!」
「ほほう、防御壁でガードする気か……じゃが気をつけろ、防御壁程度で防げる魔法ではないぞ」
「えっ!?」
二人は驚いた!
具現体の放った魔法は防御壁をあっさりと消滅させて、アレンの方へと飛んできた!
「やばい! 俺死んだ!」
「アレン!」
「やれやれ、しょうがないのぉ。そこまでじゃ!」
ルシャナが右手を上げて制止すると、具現体はきれいさっぱり消えていった。
「はぁ~はぁ……死ぬかと思った」
「大丈夫か? 危なかったのぉ、あと少しで消されておったぞ♪」
「ああそうだな、ありがとう」
「よいよい、それより夜月よ、大丈夫か? 顔がすごく真っ青じゃぞ? 腰まで抜かしおって」
「だ、大丈夫です………。」
「そうか? あまり無理をするでないぞ?」
「ええ、わかっています………ちょっと頭を冷やしてきます」
「わかった、あまり遠くにはいくでないぞ?」
「はい」
夜月はそう言うと、川がある方面へと走っていった。
「夜月どうしたんだろな」
「アレンよ、すこし人の心を察することを学ぶことじゃ」
「えっ?」
アレンは頭にはてなマークを浮かべるような顔になった。
🔶
アレンたちから離れた夜月は、川の付近まで来ると体育座りをして落ち込み始めた。
「ヴァルレジア……まさかあんなに恐ろしい存在とは……正直恐い………。」
「はは、魔を払う巫女のくせに、身体を震わせて恐れるなんて」
夜月は自分の弱さを自覚し、なんとも言えない思いが胸の奥底からわき出て涙を流した。
「恐い……恐い………。 恐れてはいけないと分かっていますが、この身体は言うことを聞いてくれませんね」
夜月は暫く一人で泣いていたが、暫くすると後ろからルシャナが歩いてきた。
「やはり泣いておったか、大丈夫か?」
「ええ、情けないですよね、巫女が恐怖して嘆くなんて………。」
「何を言うておる? あんな邪竜を前にして恐れないものなどおらぬわ。いや、アレンは別かのぉ」
「奴は恐れるどころか愛してしまっておる」
「まったく、勇者としての自覚をもっと持ってほしいものじゃのぉ」
ルシャナは呆れたような顔をしながらため息したあとに、『にこっ』とした顔になって更に言葉を続けた。
「それに引き換え、夜月は真面目じゃ。巫女なのに脅えている自分に悔し涙まで流しておる」
「じゃがな、夜月は巫女である前に感情をちゃんと持った人間じゃ、だから臆してしまったことを気にする必要はない」
「ルシャナ……。ぐすん、ありがとうございます」
「よいよい、それよりそろそろ戻ろうか」
「ほれ、アレンが心配そうな顔でこっちに向かってきておるぞ?」
「おーい、大丈夫か~」
「ほらのぉ。お主は今まで一人で頑張っていたかもしれぬが、今は仲間がおることを忘れるでないぞ♪」
「……はい♪」
夜月は笑顔になり、アレンの元へと戻っていった。
🔶
アレンが夜月たちと行動を共にしているころ、リシェルと再会したヴァルレジアはとある孤島にいた。
「さぁて、ではこれからどうするか考えるか」
「そうですね、まずは住居を作った方がよろしいのでは?」
「いくら邪竜様とはいえ、さすがにずっと外で寝ていたら風邪をひいてしまいます」
「お、おう……そうだな………。」
ヴァルレジアはリシェルに圧倒され、冷や汗をかきながら首をコクコクと縦に振った。
「しかし、どうやって家を造る? 短時間で造れるようなものでもないだろ?」
「ふふふ、お忘れですかヴァルレジア様……私の能力を」
「う~む、なんじゃったかな……。」
「私の能力は『創造』すること、自分が思い描いたものを具現化させる能力です」
「なるほどな、それで家を造るわけか」
「はい♪ では早速造り上げましょう!」
そういうとリシェルは右手を前のかざし能力を発動させた。
すると、目の前には大きな黒い魔城が建設された。
それを見たヴァルレジアは、口をポカーンと開けて驚いた。
「すごいな……これが私たちの家か?」
「はい♪ 邪竜様の力を示すためにはこのぐらいの場所に住まなくては」
「お、おう………そうだな………。」
これは驚いた、まさか城に住むことに……いや、世界に力を知らしめる者ならばこれぐらいのところに住むものか。
そういう……ものか?
ヴァルレジアは無理矢理納得しつつ、魔城に住むことにした。
「さて♪ それじゃヴァルレジア様! どうぞ中に入ってください♪」
「お、おう……そうだな」
ヴァルレジアは冷や汗をかきながら城内へと入っていった。
「おお! すごいなこれは!」
城内は結構広く、正面には二階へと続く大きな階段があった。
「天井が高いな……一階も広く、部屋だらけだ」
「はい♪ 私の実家の城を元にデザインしたお城です♪」
「うえっ!? お前こんなような城に住んでいたのか!」
「リシェルよ……お前本当は高貴な家柄のドラゴンだったのか?」
「高貴なんて、私の家はヴァルレジア様の家柄とはほど遠いほどかくしたですよ♪」
「そうか………。」
絶対嘘だ! だって私の家は、ヴァレルジア一族は別に貴族とかではなく、ただ魔力が高い魔法一族だぞ。
そういえば、一つ気になることがあったな。
「リシェルは姉妹とかいるのか」
「姉妹ですか? 姉が一人います」
「姉か……そうかそうか」
「邪竜様?」
「実はな、私にも……いや、私たちにも姉がいるんだ」
「邪竜様にも、ですか?」
「そうだ。ルチア=ヴァレルジアと言ってな、とてもすごい魔法使いさ」
「私たちは姉とは仲がよかったが、あることが切っ掛けで今は絶縁状態だ」
「そうなんですか、奇遇ですね。私も今姉とは絶縁状態なんですよ」
「そうなのか。ちなみにお前の姉はどういう人なんだ?」
「そうですね、負けず嫌いの魔法使いですよ」
「能力は自分が経験した記憶の創造ですね」
「昔ヴァルレジア様と出会っていますよ?」
「えっ? 私が会っているだと? どこで?」
「うふふ、かなり前にですよ♪ たしかその時に胸でマウントを取られたと言っていましたね♪」
「…………っ!?」
そう言えばいたな。たしかル~なんちゃら? 忘れてしまったわ。
「まぁなんだ、そう言えば確かに昔出会ったことがあったな」
「邪竜様、本当はあまりよく覚えていないのでは?」
「うっ! そんなことないぞ」
「ふふふ、邪竜様ってこう言う可愛い一面もあるんですね♥️」
「やかましいわ! それより、次はどう行動するかを考えるぞ!」
「はい♪」
ヴァルレジアは誤魔化すように無理矢理話題を変えると、今後のことを話し始めた。
🔶
ヴァルレジアたちが活動を決めてから数日たった頃、アレンたちは再びレイラの具現体と戦っていた。
前に比べ、すぐにやられてしまうことはなくなったが、それでもまだまだであった。
「はぁ~はぁ~ まだ勝てない、やっぱりレイラは手を抜いていたんだな」
「そりゃあそうじゃろ♪ 邪竜が本気を出せば、人間なんて一捻りじゃろう」
「そうだよな! それじゃあさっさとレイラより強くならないとな!」
「そうじゃの♪ 恋人を取り戻したくば強くなるしかないからのぉ」
こやつ、初めて会った時と比べて随分たくましくなったのぉ。
さすがは勇者といったところか。
じゃがまだ足りぬな~もうちょっと……。
「アレンよ、目で動きを追っているだけでは邪竜には勝てぬぞ、予測するのだ」
「予測って、具体的に何をどうすればいいんだ?」
「そうじゃのぉ、相手の思考を予測して次にどう攻撃するのか予想するのじゃ」
「そうすれば……。」
そう言うと、ルシャナは具現体と戦い始めた!
具現体は殴る蹴るの連続攻撃を繰り出してきたが、それをあっさりと片手で受け流した後に、具現体に腹パンをくらわせて倒してしまった!
「こんな風に簡単に倒すことが出来る……というわけじゃ」
「あぁ………。」
「驚きました。意外と強かったんですね」
「ん? どういう意味じゃ? 私は戦えないと思ったのか?」
「はい。特殊能力があるだけで、戦闘面では弱いのかと思っていました」
「ああ、それは俺も思っていたよ」
「なんじゃと!?………貴様ら……………私はこう見えても昔は強い幻想造竜として尊敬されていたのじゃぞ!」
「そうなんですね、人は見かけでは分からないとはまさにこの事ですね」
「うるさいわ! 私だって、わたしだって!本当はこんな姿ではなく、成長した大人の姿になりたいわ!」
「じゃが昔奴と戦った時に身体の時を止められてしまい、それからずっと子供のままなのじゃ!」
「そ、そうでしたか……それは御愁傷様でした」
「うぅ~ぐすん、もうよい! それより修行の再開じゃ! ほれっ! かかってこい! コテンパンにしてくれるわ!」
「えっ?! もしかして怒っていらっしゃいますか?」
「もしかしなくとも怒っているだろうな……いくぞ夜月!」
「は、はい!」
アレンと夜月は激怒したルシャナに立ち向かうためにあらゆる神経を研ぎ澄ませた!
「ゆくぞアレン、そして夜月よ。私を苛めたことを後悔させてくれるわ!」
ルシャナは右手から蒼い炎を出して攻撃してきた。
「うわっと! あっぶねぇ~ だがなんとか避けた……ってうぇえええ!?」
「地面に穴が空いている! 殺す気か!?」
「ふん! それがどうした! 貴様らは私のハートに穴を開けたのだ! このぐらいの報いを受けて当然じゃ!」
「お、落ち着いてくださいルシャナ!! 貴女を傷つけたことは謝りますから! 」
「怒りを静めて下さい!」
「うるさい!」
ルシャナの攻撃の激しさは更に増し、複数の出現した魔法陣から、蒼色の閃光を放つ魔法弾が飛んできた!
「きゃああああああ!」
「うわああああああああ!」
あ、あぶねぇ。このままじゃ、レイラを救う前に死んでしまう!
何とか許してもらわないと。
「な、なあルシャナ、お前は確かに成長は止まってしまったが、お前は今でも美少女だぞ!」
「そんなこと言っても騙されんぞ!」
「そんなことないぞ。中々の美貌を持ち合わせた幻想造竜だと思うぞ」
「うむむむ、はぁ……もうよいわ。私も大人げなかったか」
ルシャナはため息を一つ吐いた後に、魔法陣を消していった。
「ふぅ~ 危なかった……。」
何とか抑えることが出来たようだぜ。
レイラから女性を怒らせた時の対処方を聞いていてよかった~
ありがとうレイラ。
それと、待っていてくれ。必ず助けに行ってやる!
つづく
ルシャナは邪悪な笑みを浮かべながら紅い光を右手から放った!
「何ですか、この禍々しい邪気は」
「今から具現化する記憶は、私がレイラ=ヴァレルジアと闘った時の記憶、つまり過去のレイラ=ヴァレルジアだ」
「大丈夫なんですか? そんなものを具現化させたらその時点で世界が終わりになりませんか?」
「大丈夫じゃ、お主らが殺されそうになったら私が消してやる」
「それより構えよ、そろそろ出てくるぞ!」
紅い光は更に一層輝きだし、過去のレイラ=ヴァレルジアの具現体が現れた!
「これが昔のレイラの姿なのか?」
「そうじゃ、この小生意気な顔をしたやつがレイラ=ヴァレルジアじゃ」
「その生意気っぷりと来たら今でも忘れぬぞ!」
「そ、そうなんですね……。ちなみにどんなことをされたのですか?」
「胸の大きさでマウントを取られた……。」
「あっ…そ、そうなんですね」
夜月は思ったよりどうでもいい理由だったので、すこし呆れた気持ちになったが、すぐに気持ちを切り替えて闘いに集中した。
「では行きます! 覚悟してください!」
夜月はそう言うと、触れれば燃える性質を持つお札を具現体に向けて投げつけた!
さすがに五枚投げつけたのだから一発は当たるかとも思ったが、あっさりとかわされてしまった。
「ちっ、やはり一筋縄ではいきませんね!」
「なら今度は俺が行く!」
アレンは剣を構え、具現体に向かって突撃した!
突撃された具現体は攻撃をかわそうとせず、左手で剣を止めると、邪悪な笑みを浮かべながら右手に出現させた剣でアレンの剣を叩き折ってしまった!
「げっ! 剣が折られた!」
「アレン! 剣を修復します! こちらに剣を向けてください!」
「わかった!」
アレンは夜月に剣を向け直してもらおうとした。
だがその瞬間、具現体が魔法を唱えた!
「『時を破壊し剣を朽ちらせよ!時間破壊!』」
「なっ! 嘘だろ!?」
「アレンの剣が!?」
アレンの剣は具現体の放った魔法が直撃したことによって跡形もなく消滅してしまった!
「なんじゃお主ら、ヴァレルジアの能力を知らなかったのか?」
「いや、俺は知っていたが、時を破壊する能力……こういうことか……。」
「そうじゃ、ヴァレルジアの能力の中でも最強の能力……時間破壊は対象の時間を破壊して存在を消滅させる魔法じゃ」
「しかも生物に当たれば魂ごと消滅させるからかなりやばいのぉ」
「まじか……じゃあ、あの魔法が来たら回避しないと!」
「そうじゃのぉ、ほれほれ次の魔法が来るぞ♪」
「朽ちゆけ人間よ!『時間破壊』」
「おいおい! 三発連続で魔法を放ってきたぞ!」
「アレン! 今助けます! 防御壁の陣! 展開!」
「ほほう、防御壁でガードする気か……じゃが気をつけろ、防御壁程度で防げる魔法ではないぞ」
「えっ!?」
二人は驚いた!
具現体の放った魔法は防御壁をあっさりと消滅させて、アレンの方へと飛んできた!
「やばい! 俺死んだ!」
「アレン!」
「やれやれ、しょうがないのぉ。そこまでじゃ!」
ルシャナが右手を上げて制止すると、具現体はきれいさっぱり消えていった。
「はぁ~はぁ……死ぬかと思った」
「大丈夫か? 危なかったのぉ、あと少しで消されておったぞ♪」
「ああそうだな、ありがとう」
「よいよい、それより夜月よ、大丈夫か? 顔がすごく真っ青じゃぞ? 腰まで抜かしおって」
「だ、大丈夫です………。」
「そうか? あまり無理をするでないぞ?」
「ええ、わかっています………ちょっと頭を冷やしてきます」
「わかった、あまり遠くにはいくでないぞ?」
「はい」
夜月はそう言うと、川がある方面へと走っていった。
「夜月どうしたんだろな」
「アレンよ、すこし人の心を察することを学ぶことじゃ」
「えっ?」
アレンは頭にはてなマークを浮かべるような顔になった。
🔶
アレンたちから離れた夜月は、川の付近まで来ると体育座りをして落ち込み始めた。
「ヴァルレジア……まさかあんなに恐ろしい存在とは……正直恐い………。」
「はは、魔を払う巫女のくせに、身体を震わせて恐れるなんて」
夜月は自分の弱さを自覚し、なんとも言えない思いが胸の奥底からわき出て涙を流した。
「恐い……恐い………。 恐れてはいけないと分かっていますが、この身体は言うことを聞いてくれませんね」
夜月は暫く一人で泣いていたが、暫くすると後ろからルシャナが歩いてきた。
「やはり泣いておったか、大丈夫か?」
「ええ、情けないですよね、巫女が恐怖して嘆くなんて………。」
「何を言うておる? あんな邪竜を前にして恐れないものなどおらぬわ。いや、アレンは別かのぉ」
「奴は恐れるどころか愛してしまっておる」
「まったく、勇者としての自覚をもっと持ってほしいものじゃのぉ」
ルシャナは呆れたような顔をしながらため息したあとに、『にこっ』とした顔になって更に言葉を続けた。
「それに引き換え、夜月は真面目じゃ。巫女なのに脅えている自分に悔し涙まで流しておる」
「じゃがな、夜月は巫女である前に感情をちゃんと持った人間じゃ、だから臆してしまったことを気にする必要はない」
「ルシャナ……。ぐすん、ありがとうございます」
「よいよい、それよりそろそろ戻ろうか」
「ほれ、アレンが心配そうな顔でこっちに向かってきておるぞ?」
「おーい、大丈夫か~」
「ほらのぉ。お主は今まで一人で頑張っていたかもしれぬが、今は仲間がおることを忘れるでないぞ♪」
「……はい♪」
夜月は笑顔になり、アレンの元へと戻っていった。
🔶
アレンが夜月たちと行動を共にしているころ、リシェルと再会したヴァルレジアはとある孤島にいた。
「さぁて、ではこれからどうするか考えるか」
「そうですね、まずは住居を作った方がよろしいのでは?」
「いくら邪竜様とはいえ、さすがにずっと外で寝ていたら風邪をひいてしまいます」
「お、おう……そうだな………。」
ヴァルレジアはリシェルに圧倒され、冷や汗をかきながら首をコクコクと縦に振った。
「しかし、どうやって家を造る? 短時間で造れるようなものでもないだろ?」
「ふふふ、お忘れですかヴァルレジア様……私の能力を」
「う~む、なんじゃったかな……。」
「私の能力は『創造』すること、自分が思い描いたものを具現化させる能力です」
「なるほどな、それで家を造るわけか」
「はい♪ では早速造り上げましょう!」
そういうとリシェルは右手を前のかざし能力を発動させた。
すると、目の前には大きな黒い魔城が建設された。
それを見たヴァルレジアは、口をポカーンと開けて驚いた。
「すごいな……これが私たちの家か?」
「はい♪ 邪竜様の力を示すためにはこのぐらいの場所に住まなくては」
「お、おう………そうだな………。」
これは驚いた、まさか城に住むことに……いや、世界に力を知らしめる者ならばこれぐらいのところに住むものか。
そういう……ものか?
ヴァルレジアは無理矢理納得しつつ、魔城に住むことにした。
「さて♪ それじゃヴァルレジア様! どうぞ中に入ってください♪」
「お、おう……そうだな」
ヴァルレジアは冷や汗をかきながら城内へと入っていった。
「おお! すごいなこれは!」
城内は結構広く、正面には二階へと続く大きな階段があった。
「天井が高いな……一階も広く、部屋だらけだ」
「はい♪ 私の実家の城を元にデザインしたお城です♪」
「うえっ!? お前こんなような城に住んでいたのか!」
「リシェルよ……お前本当は高貴な家柄のドラゴンだったのか?」
「高貴なんて、私の家はヴァルレジア様の家柄とはほど遠いほどかくしたですよ♪」
「そうか………。」
絶対嘘だ! だって私の家は、ヴァレルジア一族は別に貴族とかではなく、ただ魔力が高い魔法一族だぞ。
そういえば、一つ気になることがあったな。
「リシェルは姉妹とかいるのか」
「姉妹ですか? 姉が一人います」
「姉か……そうかそうか」
「邪竜様?」
「実はな、私にも……いや、私たちにも姉がいるんだ」
「邪竜様にも、ですか?」
「そうだ。ルチア=ヴァレルジアと言ってな、とてもすごい魔法使いさ」
「私たちは姉とは仲がよかったが、あることが切っ掛けで今は絶縁状態だ」
「そうなんですか、奇遇ですね。私も今姉とは絶縁状態なんですよ」
「そうなのか。ちなみにお前の姉はどういう人なんだ?」
「そうですね、負けず嫌いの魔法使いですよ」
「能力は自分が経験した記憶の創造ですね」
「昔ヴァルレジア様と出会っていますよ?」
「えっ? 私が会っているだと? どこで?」
「うふふ、かなり前にですよ♪ たしかその時に胸でマウントを取られたと言っていましたね♪」
「…………っ!?」
そう言えばいたな。たしかル~なんちゃら? 忘れてしまったわ。
「まぁなんだ、そう言えば確かに昔出会ったことがあったな」
「邪竜様、本当はあまりよく覚えていないのでは?」
「うっ! そんなことないぞ」
「ふふふ、邪竜様ってこう言う可愛い一面もあるんですね♥️」
「やかましいわ! それより、次はどう行動するかを考えるぞ!」
「はい♪」
ヴァルレジアは誤魔化すように無理矢理話題を変えると、今後のことを話し始めた。
🔶
ヴァルレジアたちが活動を決めてから数日たった頃、アレンたちは再びレイラの具現体と戦っていた。
前に比べ、すぐにやられてしまうことはなくなったが、それでもまだまだであった。
「はぁ~はぁ~ まだ勝てない、やっぱりレイラは手を抜いていたんだな」
「そりゃあそうじゃろ♪ 邪竜が本気を出せば、人間なんて一捻りじゃろう」
「そうだよな! それじゃあさっさとレイラより強くならないとな!」
「そうじゃの♪ 恋人を取り戻したくば強くなるしかないからのぉ」
こやつ、初めて会った時と比べて随分たくましくなったのぉ。
さすがは勇者といったところか。
じゃがまだ足りぬな~もうちょっと……。
「アレンよ、目で動きを追っているだけでは邪竜には勝てぬぞ、予測するのだ」
「予測って、具体的に何をどうすればいいんだ?」
「そうじゃのぉ、相手の思考を予測して次にどう攻撃するのか予想するのじゃ」
「そうすれば……。」
そう言うと、ルシャナは具現体と戦い始めた!
具現体は殴る蹴るの連続攻撃を繰り出してきたが、それをあっさりと片手で受け流した後に、具現体に腹パンをくらわせて倒してしまった!
「こんな風に簡単に倒すことが出来る……というわけじゃ」
「あぁ………。」
「驚きました。意外と強かったんですね」
「ん? どういう意味じゃ? 私は戦えないと思ったのか?」
「はい。特殊能力があるだけで、戦闘面では弱いのかと思っていました」
「ああ、それは俺も思っていたよ」
「なんじゃと!?………貴様ら……………私はこう見えても昔は強い幻想造竜として尊敬されていたのじゃぞ!」
「そうなんですね、人は見かけでは分からないとはまさにこの事ですね」
「うるさいわ! 私だって、わたしだって!本当はこんな姿ではなく、成長した大人の姿になりたいわ!」
「じゃが昔奴と戦った時に身体の時を止められてしまい、それからずっと子供のままなのじゃ!」
「そ、そうでしたか……それは御愁傷様でした」
「うぅ~ぐすん、もうよい! それより修行の再開じゃ! ほれっ! かかってこい! コテンパンにしてくれるわ!」
「えっ?! もしかして怒っていらっしゃいますか?」
「もしかしなくとも怒っているだろうな……いくぞ夜月!」
「は、はい!」
アレンと夜月は激怒したルシャナに立ち向かうためにあらゆる神経を研ぎ澄ませた!
「ゆくぞアレン、そして夜月よ。私を苛めたことを後悔させてくれるわ!」
ルシャナは右手から蒼い炎を出して攻撃してきた。
「うわっと! あっぶねぇ~ だがなんとか避けた……ってうぇえええ!?」
「地面に穴が空いている! 殺す気か!?」
「ふん! それがどうした! 貴様らは私のハートに穴を開けたのだ! このぐらいの報いを受けて当然じゃ!」
「お、落ち着いてくださいルシャナ!! 貴女を傷つけたことは謝りますから! 」
「怒りを静めて下さい!」
「うるさい!」
ルシャナの攻撃の激しさは更に増し、複数の出現した魔法陣から、蒼色の閃光を放つ魔法弾が飛んできた!
「きゃああああああ!」
「うわああああああああ!」
あ、あぶねぇ。このままじゃ、レイラを救う前に死んでしまう!
何とか許してもらわないと。
「な、なあルシャナ、お前は確かに成長は止まってしまったが、お前は今でも美少女だぞ!」
「そんなこと言っても騙されんぞ!」
「そんなことないぞ。中々の美貌を持ち合わせた幻想造竜だと思うぞ」
「うむむむ、はぁ……もうよいわ。私も大人げなかったか」
ルシャナはため息を一つ吐いた後に、魔法陣を消していった。
「ふぅ~ 危なかった……。」
何とか抑えることが出来たようだぜ。
レイラから女性を怒らせた時の対処方を聞いていてよかった~
ありがとうレイラ。
それと、待っていてくれ。必ず助けに行ってやる!
つづく
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ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
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