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第31話 あなたのそばに…
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翌朝――
柔らかな朝の光が、実家のリビングに静かに差し込んでいた。 階段を下りる足音がして、
「おはよう。」
彩音が二階から降りてくる。
「おはよ。」
キッチンに立ちながら、母が微笑む。
「朝ご飯…今作るね。」
彩音は椅子に腰掛け、器用にあぐらをかいた。
「うん。」
テレビでは朝の情報番組が流れている。
「11時の電車だっけ?」
「うん…」
画面から目を離さず、彩音は答えた。
「お父さんは?」
「彩音にお土産買ってくるって。おはぎ。」
「私の好きなやつだ。」
「うん。」
朝食を済ませ、部屋で帰り支度をしていると――
「ただいま。彩音、おはぎだ。」
玄関から父の声がする。
「ありがとう。食べるの久しぶり。」
リュックを開け、おはぎをそっとしまう。 そのとき、奥に挟んであった一枚の絵に目が止まった。
「……」
「じゃあそろそろ行くか…忘れ物ないか?」
「……」
「どうした?」
彩音は小さく息を吸い込んだ。
「お父さんとお母さんに…話があるの…」
リビングの空気が、わずかに張り詰める。
「どうしたの?」
「……私に……」
言葉が詰まり、喉が鳴る。
「妹……いるの?」
「え……」
「私…小さい頃から…ずっと一緒にいる子がいるの…」
視線を落としたまま、彩音は続ける。
「私にしか…見えない…」
「今も…一緒に…か?」
彩音は、静かにうなづいた。
「私に…全部…話してほしい…」
涙を堪えきれず、声が震える。
母親は深く息を吸い、しばらく目を閉じた。
「あなたには…双子の妹がいたの…」
沈黙のあと、静かに言葉が落ちる。
「名前は…彩乃…」
「あや…の…」
「お母さん…体が弱くて…」
声が詰まり、涙が頬を伝う。
「あなたしか…助けられなかった…」
「私が弱いばっかりに…」
父が、そっと母の肩に手を置く。
「母さんが悪いわけじゃない。俺にも責任はある…」
「毎日…公園のお稲荷様にお願いしてた…」
「2人を…助けてくださいって…」
「公園…私がはじめて会ったのも…その公園…」
「ごめんね…ずっと…言えなくて…」
母親はその場に崩れ落ち、父が支える。
「母さん…」
彩音はリュックから、そっと一枚の絵を取り出した。
それは彩音が前に描いた守護霊さんのえんぴつ画――
「みんなには見えないから…私が描いた…」
両親に手渡す。
「うぅ…ほんとに…ずっと…会いたかった…」
「ごめんね…彩乃……」
父の目にも涙が滲む。
「彩乃も…彩音と一緒にずっといたんだ…」
「彩音と一緒に…成長してたんだな…」
――アパート。
部屋の中で、彩乃はぬいぐるみを抱きしめていた。 小さな腕に力を込め、ぎゅっと胸に押し当てる。
ぬいぐるみを抱いたまましばらく、じっと動かない。
やがて、安堵したように肩から力が抜ける。
そのまま、そっと顔を上げ、天井を見上げた。
ほんの一瞬――
微かに、微笑む。
そして、
ぽろりと――
音も立てず、涙が一筋こぼれ落ちた……
――電車の中。
ガタン…ガタン… ガタン…ガタン…
規則正しい揺れに身を任せながら、彩音は窓の外を見つめる。
(私達が生まれたときの話…全部話してくれた…)
(彩乃が…私を守ってくれてた…)
(私のそばにいて…笑って…怒って…励ましてくれて…)
(彩乃……私の…妹……)
――アパート前。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
階段を上がり、二階へ。
トン……トン……トン……
(彩乃……)
部屋の前に立つ。
鍵を取り出す手が、わずかに震える。
ガチャー
ギィ…
柔らかな朝の光が、実家のリビングに静かに差し込んでいた。 階段を下りる足音がして、
「おはよう。」
彩音が二階から降りてくる。
「おはよ。」
キッチンに立ちながら、母が微笑む。
「朝ご飯…今作るね。」
彩音は椅子に腰掛け、器用にあぐらをかいた。
「うん。」
テレビでは朝の情報番組が流れている。
「11時の電車だっけ?」
「うん…」
画面から目を離さず、彩音は答えた。
「お父さんは?」
「彩音にお土産買ってくるって。おはぎ。」
「私の好きなやつだ。」
「うん。」
朝食を済ませ、部屋で帰り支度をしていると――
「ただいま。彩音、おはぎだ。」
玄関から父の声がする。
「ありがとう。食べるの久しぶり。」
リュックを開け、おはぎをそっとしまう。 そのとき、奥に挟んであった一枚の絵に目が止まった。
「……」
「じゃあそろそろ行くか…忘れ物ないか?」
「……」
「どうした?」
彩音は小さく息を吸い込んだ。
「お父さんとお母さんに…話があるの…」
リビングの空気が、わずかに張り詰める。
「どうしたの?」
「……私に……」
言葉が詰まり、喉が鳴る。
「妹……いるの?」
「え……」
「私…小さい頃から…ずっと一緒にいる子がいるの…」
視線を落としたまま、彩音は続ける。
「私にしか…見えない…」
「今も…一緒に…か?」
彩音は、静かにうなづいた。
「私に…全部…話してほしい…」
涙を堪えきれず、声が震える。
母親は深く息を吸い、しばらく目を閉じた。
「あなたには…双子の妹がいたの…」
沈黙のあと、静かに言葉が落ちる。
「名前は…彩乃…」
「あや…の…」
「お母さん…体が弱くて…」
声が詰まり、涙が頬を伝う。
「あなたしか…助けられなかった…」
「私が弱いばっかりに…」
父が、そっと母の肩に手を置く。
「母さんが悪いわけじゃない。俺にも責任はある…」
「毎日…公園のお稲荷様にお願いしてた…」
「2人を…助けてくださいって…」
「公園…私がはじめて会ったのも…その公園…」
「ごめんね…ずっと…言えなくて…」
母親はその場に崩れ落ち、父が支える。
「母さん…」
彩音はリュックから、そっと一枚の絵を取り出した。
それは彩音が前に描いた守護霊さんのえんぴつ画――
「みんなには見えないから…私が描いた…」
両親に手渡す。
「うぅ…ほんとに…ずっと…会いたかった…」
「ごめんね…彩乃……」
父の目にも涙が滲む。
「彩乃も…彩音と一緒にずっといたんだ…」
「彩音と一緒に…成長してたんだな…」
――アパート。
部屋の中で、彩乃はぬいぐるみを抱きしめていた。 小さな腕に力を込め、ぎゅっと胸に押し当てる。
ぬいぐるみを抱いたまましばらく、じっと動かない。
やがて、安堵したように肩から力が抜ける。
そのまま、そっと顔を上げ、天井を見上げた。
ほんの一瞬――
微かに、微笑む。
そして、
ぽろりと――
音も立てず、涙が一筋こぼれ落ちた……
――電車の中。
ガタン…ガタン… ガタン…ガタン…
規則正しい揺れに身を任せながら、彩音は窓の外を見つめる。
(私達が生まれたときの話…全部話してくれた…)
(彩乃が…私を守ってくれてた…)
(私のそばにいて…笑って…怒って…励ましてくれて…)
(彩乃……私の…妹……)
――アパート前。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
階段を上がり、二階へ。
トン……トン……トン……
(彩乃……)
部屋の前に立つ。
鍵を取り出す手が、わずかに震える。
ガチャー
ギィ…
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