【完結】大好きなあなたのために…?

月樹《つき》

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第6話 夢から醒める時

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 みんなが卒業最後の思い出に浸っている頃、別室では…


「セイラ…どういうことだ?お前があのキャンベル男爵家とお近づきになれたというから、男爵に話しかけたのに…
 男爵には怪訝な顔をされ『何かの間違いでは…?』と返されたぞ…。

 ところで…その隣の彼はどこの何者なんだ…?」

「だって…チャーリーが、キャンベル領から来たなんて嘘をつくから…。
 だから私は彼がキャンベル男爵令息だと思って、結婚しようと思ったのに…」

「嘘などついてない。俺はキャンベル領出身だ」

「キャンベル男爵に息子はいない。と仲良くなるように…とお前には言っただろ?」

「でも…キャンベル領の出身者で貴族は彼しかいなかったから…お父様が令息と令嬢を言い間違えたのだと思って…」

「キャンベル男爵の娘って…リアのこと…?」

「えっ…リアって…。あの貴方が最初一緒にいた冴えない子…?
 あの子、あんな見た目なのに男爵令嬢なの?そんなの詐欺じゃない!!
 騙された私はちっとも悪くないわ!!
 っていうか…あの目立たない容姿の子がクリストファー様と結婚するっていうの!?私の方が美人じゃない!!」

「リアが第三王子なんかと結婚するはずないだろ?リアはずっと俺のことが好きなんだから…」

 ある意味似た者同士の二人は、お互い自分に都合の良いことしか見ないし、好き勝手に話すので、部屋の中は混沌としていた…。



 そんな中、チャーリーの両親は部屋の隅で必死に空気になろうと沈黙を貫いていた。
 どう考えても場違いな場所にいることは分かっている…。
 しかも息子はいくらするのか分からないような高価な衣装を着て、話の流れは不穏な感じで…。

 今1番の心配事は、あの借用書のことだ…。

 息子はちゃんと三年で学費を返せるのだろうか…?
 それができなければ、自分達が必死に働いて買った家は取り上げられてしまうかもしれない…。

 でも…いつも最後には甘いキャンベル男爵家の人達のことだから、困っていることを切実に訴えたら無かったことにしてくれるのではないだろうか…
 などと、さすがチャーリーの親らしく、厚かましいことを考えていたら…。


 ~・~・~・~・~


 ガチャッと扉が開き、無事卒業パーティーを終えたクリストファー殿下、アメリア、キャンベル男爵が部屋に入ってきた。

「少しは頭を冷やせたかな?」
 クリストファーがいつもの王子様スマイルで、その場にいた皆に問い掛けると…

「クリストファー様、私は騙されていただけなんです!!
 キャンベル男爵令息だと思ったから、チャーリーと仲良くしていたのに…
 まさかその地味な人が男爵令嬢だなんて思わないじゃないですか!!」
「セイラ!!黙りなさい!!」

 殿下とキャンベル男爵の視線が氷点下になっていることにも気づかず、話し続けようとするセイラをオズボーン子爵は必死に止めようしたけれど…もう遅かった。

「本当に学ばないね…。私の名前を勝手に呼ばないようにと言ったよね…。
 2度目はない。
 私の婚約者であるアメリアに対する失礼な発言と合わせて、不敬罪で訴えてくれ…」
 クリストファー様はセイラさんを視界に入れることもなく、側近のアルバート様に告げた。

「御意」
 短く答え、何かにメモを取るアルバート様。

 慌ててオズボーン子爵が
「殿下、誠に申し訳ございません。
 ですが…娘はまだ貴族となって日が浅く、貴族としての常識が身についておりませんので、どうかご容赦ください!!」
 と取り繕うとしましたが…

「日が浅いというが、もう一年はこの学園に在籍してマナーレッスンを受けているはずだし、身分の高い者に自分から話しかけたり、許しもなく名前を呼んではいけないことなど子供でも知っていることだ…。
 一年経っても、そのようなことも理解出来ない者を、この王立学園に通わせたオズボーン子爵の判断が甘かったとも言える…。
 親として貴方にもしっかり責任は取っていただく」

 クリストファー様の有無を言わせぬ冷たい眼差しに、オズボーン子爵は何も言うことができなくなり…
 そのままオズボーン親子は、アルバート様が呼ばれた騎士の方に連れて行かれた。
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