旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?

俣彦

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野戦築城

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 織田信長による経済封鎖により、ただでさえ不足気味となっている武田の弾薬。これを先に使い切らせる作戦を実行に移そうとしている事を伝える高坂昌信。



山県昌景「確か連吾川の両岸は崖であったように記憶しているが。」

高坂昌信「その通りであります。我らが当地に辿り着く事は難しい場所であります。」

馬場信春「となると信長は何か対策を施している?」

高坂昌信「はい。織田軍は連吾川の両岸の崖を削っていました。」

内藤昌豊「どのように?」

高坂昌信「はい。まずは我らの進路にあたる側についてであります。そこで織田軍が行っていたのは連吾川に至る事の出来る道。それも大規模な部隊が一気に下りる事が出来る道を、崖もろとも削り取る形で設置していました。」

内藤昌豊「傾きは当然きつく?」

高坂昌信「はい。入るに易く、退くには厳しいものとなっています。」

山県昌景「下りた以上、信長の仕掛けを突破しない限り我らに生き残る術は残されていない?」

高坂昌信「そう見て間違いありません。」

馬場信春「信長側はどうなっている?」

高坂昌信「はい。織田側の崖についても手が加えられていました。それも我らとは異なる方法であります。」

馬場信春「どのような仕掛けが施されていた?」

高坂昌信「織田側の崖も削られ斜面となっていました。ここまでは同じであります。異なるのはここからであります。織田軍は連吾川両岸の崖を削る際発生した大量の土を用い、織田側の斜面に土塁を幾重にも構築していました。1つの1つの土塁はそれ程大きなものではありません。しかし設置されている箇所を多数確認する事が出来ています。」

山県昌景「我らの進む道を想定しているのか?」

高坂昌信「はい。馬を活用する事が出来る道筋に合わせ設置されています。」

馬場信春「馬で到達する事が出来ない坂なのか?」

高坂昌信「いえ。そこまで急な坂ではありません。」

馬場信春「そうだよな。もし人のみであったら、駆け下るような真似はしないからな……。」

高坂昌信「はい。」

馬場信春「しかしそうなると何れ土塁に辿り着く事になってしまうぞ。接近戦となれば人海戦術で準備に時間の掛かる鉄砲を無力化する事が出来る。そうなってしまえば自力で勝る我らに勝機が訪れる事になる。当然信長も……。」

高坂昌信「はい。対策が施されていました。」

馬場信春「どのような?」

高坂昌信「はい。各土塁の前など要所要所に柵が設けられていました。それも土塁同様幾重にも。」

馬場信春「馬で突破するのは?」

高坂昌信「恐らく躊躇してしまうかと。突破するには人の手が。つまり馬から降りなければなりません。そこで我らの得意とする機動力を発揮する事は出来ません。」
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