旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?

俣彦

文字の大きさ
134 / 318

危ない橋を

しおりを挟む
 長篠城。



奥平貞勝「私がここに来た理由はわかっておろう。」

奥平貞昌「まだ負けたわけではありませぬ。左様な事を申すでありましたら、例え祖父君とは言えども容赦しませぬぞ。」

奥平貞勝「まぁ待て。早まるで無い。老いぼれの話を聞いてくれ。」

奥平貞昌「……。」

奥平貞勝「(奥平貞勝の息子であり貞昌の父である)貞能には手を焼いて来た。統治に問題があったわけでは無い。家臣とも良好な関係を築いていた。ただあいつは……。」



 危ない橋を渡りたがる。



奥平貞勝「織田信長の時もそうであったし、今川から離れる時もそうであった。そして今回も……。援軍を期待する事が出来ない相手ばかりと手を組みたがっておった。家康から大きな見返りを。それもここで暮らしていたら一生手にする事が出来ない何かを見返りとして提示されたのであろう。全く以て愚かな事である。」

奥平貞昌「父を愚弄するのは!」

奥平貞勝「そうでは無い。其方の今後のための教訓を述べているだけである。息子の教育を間違えたのは私の責任。あいつが今川を離れ、徳川に降った時の条件を知っておる。牛久保に大沼。大給に北遠一帯地域であった事を。」



 牛久保と大沼は今の豊川市。大給は豊田市。



奥平貞勝「実際はどうであった?何も変わらなかったであろう。その後、武田がやって来た。その時、家康はどうだった?助けに来る事は無かったであろう。それが現実だ。だから私は武田方に転属する事を決めた。あいつは反対したがな。そんなあいつに目を掛けた方が居た。山県様だ。山県様は貞能を先方衆から今の真田様のような位置にまで高めるべく、持っている武田の全てをあいつに授けようと鍛えていただいていた。それにも関わらずあいつは……私の教育が間違っていた。申し訳ない。」

奥平貞昌「山県様は今?」

奥平貞勝「お前。武田とは絶縁したのでは無いのか?徳川の一門になったのでは無いのか?お前の妻とお前の弟を見殺しにする形で?」

奥平貞昌「っんぐ!」

奥平貞勝「そんなお前のために山県様は武田勝頼様始め、武田の家臣が居並ぶ前で謝罪された。

『私が三河を守る事が出来なかった事が全ての原因です。奥平は裏切ったのではありません。私の不甲斐なさを見限っただけであります。』

と。」

奥平貞昌「山県様が……。でありますか?」

奥平貞勝「此度のいくさ。山県様による獅子奮迅の活躍により、このような状況になっている。お前にとっては不本意極まりない事であるとは思うが。山県様は今。何を言っても実現する事の出来る立場にある。その山県様が何と言ったと思う?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として

たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。 だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。 一度目では騙されて振られた。 さらに自分の力不足で全てを失った。 だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。 ※他サイト様にも公開しております。 ※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※ ※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...