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恋する乙女の恋愛相談
妹の友達は美人というより可愛い系
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「あ! お姉! おっそー」
階段を上がりきり、向かった部室の前で、楓花とその友達……えっと、桃杏ちゃん……だっけ。
美味しそうな名前だからよく覚えてる。
そんなわけで、その二人がそこにいた。
「って。それ、お姉の彼女?」
私の横の人物を指差す我が妹。
「あー違う違う」
と、反射的にそう返し、繋いでた手を離す。
……離す。……あれ。離れない。
というか、離れてくれない。
ぶんぶんと、軽く振っても繋いだ手は離れないままで。
横に目をやれば、天崎さんが額にシワを寄せつつ、手を離さまいと抵抗しているようだった。
されど真顔である。
まぁ。それほど気にとめることでもないだろうと、私は再び前を向いた。
「彼女、耳が聞こえないから私が先導してたの。あ。ちなみに、今日から相談部の部員です!」
「へー。……って。彼女⁉︎ やっぱり彼女なんじゃん!」
「どおどお。彼女ってのは言葉の綾! ……というかこの子、天崎さんっていうんだけど、知ってるでしょ? 結構、学校でも有名じゃない?」
「あー。知ってるかも。女神とかどうとかの。通りで美人なわけだね」
斜め下に向け吐き出すように言う楓花。
……。
やはりシスコンだなーと。
私はそこまで妹ラブしてるわけじゃない。
年子というのは似ないものなのだろうか。
「あのー楓花? そんな機嫌悪そうに──」
「それよりも! この子、桃杏ちゃん!」
そんな私の言葉を振り払うように、隠れるようにして妹の後ろにいた桃杏ちゃんを前に運んできた。
「よ、宜しくお願いします」
楓花に不意打ちで紹介された桃杏ちゃんは、少し慌てたようにしながら、それでいて丁寧に頭を下げた。
「えっと。よろしくね、桃杏ちゃん」
……さっき見た時に思ったけど。
めっちゃ美人だ。
と言うより可愛い系だろうか。
こんな子が悩んでいるらしいけど……何で悩んでるんだろ?
クールな様相を思わせる桃杏ちゃんだけど、やっぱり恋愛について?
偏見だけど、成績が悪そうな子にも見えないし。
「はい。よろしくお願いします、お姉さん」
なんだか。妹が一人増えた気分だ。
「お姉の妹は私だけど!」
……心を読まれているのだろうか。
「……ま、まぁ。桃杏ちゃん、部室に入ろっか。……楓花も来る?」
「うん!」
と、元気に頷いた楓花であったが。
「あ、楓花ちゃんは着いてこないで」
「えー。なんでよー!」
桃杏ちゃんに、それを否定された。
「ぶー」と口をすぼめる妹。
あわれなり。
「天崎さんも。行くよ」
私はまだ手を繋いでいて。
その手を合図代わりにきゅっと握り直して、部室の中へと入っていく。
手は少し汗ばんでしまっていて、少しだけでいいから離して欲しいと、一人で勝手に苦笑した。
階段を上がりきり、向かった部室の前で、楓花とその友達……えっと、桃杏ちゃん……だっけ。
美味しそうな名前だからよく覚えてる。
そんなわけで、その二人がそこにいた。
「って。それ、お姉の彼女?」
私の横の人物を指差す我が妹。
「あー違う違う」
と、反射的にそう返し、繋いでた手を離す。
……離す。……あれ。離れない。
というか、離れてくれない。
ぶんぶんと、軽く振っても繋いだ手は離れないままで。
横に目をやれば、天崎さんが額にシワを寄せつつ、手を離さまいと抵抗しているようだった。
されど真顔である。
まぁ。それほど気にとめることでもないだろうと、私は再び前を向いた。
「彼女、耳が聞こえないから私が先導してたの。あ。ちなみに、今日から相談部の部員です!」
「へー。……って。彼女⁉︎ やっぱり彼女なんじゃん!」
「どおどお。彼女ってのは言葉の綾! ……というかこの子、天崎さんっていうんだけど、知ってるでしょ? 結構、学校でも有名じゃない?」
「あー。知ってるかも。女神とかどうとかの。通りで美人なわけだね」
斜め下に向け吐き出すように言う楓花。
……。
やはりシスコンだなーと。
私はそこまで妹ラブしてるわけじゃない。
年子というのは似ないものなのだろうか。
「あのー楓花? そんな機嫌悪そうに──」
「それよりも! この子、桃杏ちゃん!」
そんな私の言葉を振り払うように、隠れるようにして妹の後ろにいた桃杏ちゃんを前に運んできた。
「よ、宜しくお願いします」
楓花に不意打ちで紹介された桃杏ちゃんは、少し慌てたようにしながら、それでいて丁寧に頭を下げた。
「えっと。よろしくね、桃杏ちゃん」
……さっき見た時に思ったけど。
めっちゃ美人だ。
と言うより可愛い系だろうか。
こんな子が悩んでいるらしいけど……何で悩んでるんだろ?
クールな様相を思わせる桃杏ちゃんだけど、やっぱり恋愛について?
偏見だけど、成績が悪そうな子にも見えないし。
「はい。よろしくお願いします、お姉さん」
なんだか。妹が一人増えた気分だ。
「お姉の妹は私だけど!」
……心を読まれているのだろうか。
「……ま、まぁ。桃杏ちゃん、部室に入ろっか。……楓花も来る?」
「うん!」
と、元気に頷いた楓花であったが。
「あ、楓花ちゃんは着いてこないで」
「えー。なんでよー!」
桃杏ちゃんに、それを否定された。
「ぶー」と口をすぼめる妹。
あわれなり。
「天崎さんも。行くよ」
私はまだ手を繋いでいて。
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手は少し汗ばんでしまっていて、少しだけでいいから離して欲しいと、一人で勝手に苦笑した。
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