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恋する乙女の恋愛相談
女神は相談を受けてみる
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桃杏ちゃんが現在悩んでいることを、一通りラインで天崎さんに送りつけた私。
そして、私の座っていたとこに天崎さんを座らせ、私はその背後へと立つ。
桃杏ちゃんの言ったことをそのままラインへと書き込む、いわゆる通訳的な事を天崎さんに任された。
そして桃杏ちゃんはといえば。
カップの紅茶を飲み干したらしく。
「あ。おかわりお願いします」
片手で口元を拭いながら、いかにもこれが普通の流れであると言わんばかりに、空になったカップを私の方へと差し出してきた。
「在庫切れです」
「けちなんですね」
本当に。
なんか第一印象で人を決め付けるのは良くないなと。
そう思った瞬間でした。
「ケチとかじゃなくて、本当に在庫切れです」
「それは残念です」
大して残念そうでもない表情で下を見る桃杏ちゃん。
が、瞬きした次の瞬間には、既に前を向いていた。
「……それよりも、この経験豊富そうな天崎先輩が相談をしてくれて、お姉さんがその通訳と」
「そだよー」
「ではでは。……えーっと。いざなんか聞こうとすると、あまり思いつかない……。あ。天崎先輩の経験人数を教えてください!」
なんだその質問。
付き合った数ってこと?
と、その質問をする意図も大して分からないまま、私は適当に言われたままをラインに打ち込む。
「えっと。『天崎さんの経験人数を教えてくれ、だってさ』……っと」
「お姉さん、それ独り言ですか?」
「……ぼっちは独り言が多くなるもんなの。気にしないで」
「気にするなって方が難しそうだと思いますけど……。まぁいいです」
「どうもどうも」
──ブー。
「あ。返信きたきた。どれどれ……っと」
「……独り言」
どっからか聞こえる声を無視しつつ、送られてきたラインを確認する。
『経験人数ってのがよくわからないですが。告白してきた人は、高校入ってからは十数人ですかね。全員手紙でした! 全員振りました! 想い人がいたので』
という。
なんかもう、別次元の話だった。
人気があるから女神とかって呼ばれているんだけど、まさかこんなに告白をしている人がいたなんて。
……想い人って私のことだと思うけど。
そんな十数人を押しのけるほどの、人物なのか私。
だとしたら、ちょっとだけ嬉しい。
にしても──。
「この女。強すぎる」
「なんて送られてきたんですか?」
「えっとね。そんまま読むけど。『経験人数ってのがよくわからないですが、告白してきた人は高校入ったから十数人ですかね。全員手紙でした。全員振りました』とのことです」
あえて、最後のは言わないことにした。
言及されても困るから。
「はぇー。それは強すぎますね。……振られた側の気持ちは凄く落ち込んで、もう人生に意味はないのではないかと思ってしまうというのに」
「桃杏ちゃんの私情は置いといて。それで、次。どうしたらいいかとか、相談したいことある?」
「まぁ。はい。……その前に。思ったんですけど、私と天崎先輩がライン交換すれば、お姉さんが通訳する必要なくないですか?」
「君。よく天才って言われないかい?」
いや。
私の頭が逝ってるだけなのかもしれない。
そして、私の座っていたとこに天崎さんを座らせ、私はその背後へと立つ。
桃杏ちゃんの言ったことをそのままラインへと書き込む、いわゆる通訳的な事を天崎さんに任された。
そして桃杏ちゃんはといえば。
カップの紅茶を飲み干したらしく。
「あ。おかわりお願いします」
片手で口元を拭いながら、いかにもこれが普通の流れであると言わんばかりに、空になったカップを私の方へと差し出してきた。
「在庫切れです」
「けちなんですね」
本当に。
なんか第一印象で人を決め付けるのは良くないなと。
そう思った瞬間でした。
「ケチとかじゃなくて、本当に在庫切れです」
「それは残念です」
大して残念そうでもない表情で下を見る桃杏ちゃん。
が、瞬きした次の瞬間には、既に前を向いていた。
「……それよりも、この経験豊富そうな天崎先輩が相談をしてくれて、お姉さんがその通訳と」
「そだよー」
「ではでは。……えーっと。いざなんか聞こうとすると、あまり思いつかない……。あ。天崎先輩の経験人数を教えてください!」
なんだその質問。
付き合った数ってこと?
と、その質問をする意図も大して分からないまま、私は適当に言われたままをラインに打ち込む。
「えっと。『天崎さんの経験人数を教えてくれ、だってさ』……っと」
「お姉さん、それ独り言ですか?」
「……ぼっちは独り言が多くなるもんなの。気にしないで」
「気にするなって方が難しそうだと思いますけど……。まぁいいです」
「どうもどうも」
──ブー。
「あ。返信きたきた。どれどれ……っと」
「……独り言」
どっからか聞こえる声を無視しつつ、送られてきたラインを確認する。
『経験人数ってのがよくわからないですが。告白してきた人は、高校入ってからは十数人ですかね。全員手紙でした! 全員振りました! 想い人がいたので』
という。
なんかもう、別次元の話だった。
人気があるから女神とかって呼ばれているんだけど、まさかこんなに告白をしている人がいたなんて。
……想い人って私のことだと思うけど。
そんな十数人を押しのけるほどの、人物なのか私。
だとしたら、ちょっとだけ嬉しい。
にしても──。
「この女。強すぎる」
「なんて送られてきたんですか?」
「えっとね。そんまま読むけど。『経験人数ってのがよくわからないですが、告白してきた人は高校入ったから十数人ですかね。全員手紙でした。全員振りました』とのことです」
あえて、最後のは言わないことにした。
言及されても困るから。
「はぇー。それは強すぎますね。……振られた側の気持ちは凄く落ち込んで、もう人生に意味はないのではないかと思ってしまうというのに」
「桃杏ちゃんの私情は置いといて。それで、次。どうしたらいいかとか、相談したいことある?」
「まぁ。はい。……その前に。思ったんですけど、私と天崎先輩がライン交換すれば、お姉さんが通訳する必要なくないですか?」
「君。よく天才って言われないかい?」
いや。
私の頭が逝ってるだけなのかもしれない。
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