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恋する乙女の恋愛相談
お似合い? いや、不安
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どっかの空き部屋に入る二人を見送って。
私は、開かれたままのドアを通って、部室内へと戻る。
真っ先に目に入る天崎さんが、少し寂しそうに座っていた。
「ごめんごめん。少し待たせちゃったね」
言いながら、先まで桃杏ちゃんが座っていた椅子へと腰を下ろした。
机の上は、桃杏ちゃんの私物が置きっ放しで。
スマホの画面もつけっぱなし。
手に取り、どれどれと中身を覗いてみた。
えっと。最初に桃杏ちゃんが送ったラインの内容は──っと。
上にスクロールして……よし。
あったあった。
『先程お姉さんには、楓花ちゃんのマウスピースに口づけをしたと説明したのですが、本当はそこから少し舐めたというか。ちょっとぺろってしちゃったんですよね。まぁ素晴らしかったですよ。楓花ちゃんの唇の匂いがするマウスピースの味は。……流石にこれはお姉さんに言ったら引かれますからね』
「え」
引くよ。
どん引いてるよ。
なんだこの変態的な文章は。
妹の命が危ないかもしれない。
『なるほど。だから伊奈さんを追い出したんですね』
これに対する天崎さんの返答もおかしい。
なるほどて。納得しないでくれ。
私の中の女神様像がどんどん崩れていってしまうから。
『はい。それで、私はそれほどまでに楓花ちゃんのことが好きなのですが。どうすればいいですかね? 明日は土曜日なので一緒に遊園地に行く約束しているのですが……』
へー、遊園地。
それ私にも教えて欲しかった。
楓花も何も言ってくれなかったけどそんな約束してたんだ。
ちょっと羨ましいかも。
最後に行ったのは、そこそこ前だし。
私もついて行きたいくらいだ。
そう過去を思いながら、下にスクロール。
『告白をしたいんですよね?』
『そうです! どうすればいいのか教えて欲しいんです! 経験豊富な天崎先輩ならそんな方法もすぐに思いつくと思って』
『わかりました。まずジェットコースターを何度も乗りましょう。できるだけたくさん。そして、伊奈さんの妹を酔わせるでしょう? そしたら恐らくですが、妹さんは倒れてしまうと思うんですよ。そしてすかさず、人工呼吸です。妹さんが回復したらそこで告白! 命の恩人として感謝し、付き合ってくれること間違い無し! キスもできて一石二鳥!』
『おぉ。それはすごい』
これは、IQいくつの会話だろうか。
IQ3くらいでも恐らく私は疑わない。
下へスクロールしようとしたが、これ以上は下がらなかった。
ここで、会話は途切れてしまったようだ。
一旦、画面から目を外し。
当の本人を見てみた。
目は合うけれど、やはり真顔。
私は自分のスマホに持ち替え、天崎さんにメッセージを送った。
『天崎さん。すごいこと言ってしまったね……』
『嫌でしたか?』
例によって、すぐに返信が来た。
『妹が心配だなーと』
『ほんとごめんなさい。でも。私、恋愛は自分からしたのは昨日が初めてというか。全然わからなくて、あんなこと言っちゃって。本当にごめんなさい!』
『大丈夫大丈夫』
こうは返してみたけれど。実際、大丈夫ではない。
いや、遊園地であんなことが起こったら結構な大騒ぎになる。
……んー。どうしよ。
「……あ」
そこでふと、私は思いついた。
心配ならば、尾行すればいいだろうと。
私は、開かれたままのドアを通って、部室内へと戻る。
真っ先に目に入る天崎さんが、少し寂しそうに座っていた。
「ごめんごめん。少し待たせちゃったね」
言いながら、先まで桃杏ちゃんが座っていた椅子へと腰を下ろした。
机の上は、桃杏ちゃんの私物が置きっ放しで。
スマホの画面もつけっぱなし。
手に取り、どれどれと中身を覗いてみた。
えっと。最初に桃杏ちゃんが送ったラインの内容は──っと。
上にスクロールして……よし。
あったあった。
『先程お姉さんには、楓花ちゃんのマウスピースに口づけをしたと説明したのですが、本当はそこから少し舐めたというか。ちょっとぺろってしちゃったんですよね。まぁ素晴らしかったですよ。楓花ちゃんの唇の匂いがするマウスピースの味は。……流石にこれはお姉さんに言ったら引かれますからね』
「え」
引くよ。
どん引いてるよ。
なんだこの変態的な文章は。
妹の命が危ないかもしれない。
『なるほど。だから伊奈さんを追い出したんですね』
これに対する天崎さんの返答もおかしい。
なるほどて。納得しないでくれ。
私の中の女神様像がどんどん崩れていってしまうから。
『はい。それで、私はそれほどまでに楓花ちゃんのことが好きなのですが。どうすればいいですかね? 明日は土曜日なので一緒に遊園地に行く約束しているのですが……』
へー、遊園地。
それ私にも教えて欲しかった。
楓花も何も言ってくれなかったけどそんな約束してたんだ。
ちょっと羨ましいかも。
最後に行ったのは、そこそこ前だし。
私もついて行きたいくらいだ。
そう過去を思いながら、下にスクロール。
『告白をしたいんですよね?』
『そうです! どうすればいいのか教えて欲しいんです! 経験豊富な天崎先輩ならそんな方法もすぐに思いつくと思って』
『わかりました。まずジェットコースターを何度も乗りましょう。できるだけたくさん。そして、伊奈さんの妹を酔わせるでしょう? そしたら恐らくですが、妹さんは倒れてしまうと思うんですよ。そしてすかさず、人工呼吸です。妹さんが回復したらそこで告白! 命の恩人として感謝し、付き合ってくれること間違い無し! キスもできて一石二鳥!』
『おぉ。それはすごい』
これは、IQいくつの会話だろうか。
IQ3くらいでも恐らく私は疑わない。
下へスクロールしようとしたが、これ以上は下がらなかった。
ここで、会話は途切れてしまったようだ。
一旦、画面から目を外し。
当の本人を見てみた。
目は合うけれど、やはり真顔。
私は自分のスマホに持ち替え、天崎さんにメッセージを送った。
『天崎さん。すごいこと言ってしまったね……』
『嫌でしたか?』
例によって、すぐに返信が来た。
『妹が心配だなーと』
『ほんとごめんなさい。でも。私、恋愛は自分からしたのは昨日が初めてというか。全然わからなくて、あんなこと言っちゃって。本当にごめんなさい!』
『大丈夫大丈夫』
こうは返してみたけれど。実際、大丈夫ではない。
いや、遊園地であんなことが起こったら結構な大騒ぎになる。
……んー。どうしよ。
「……あ」
そこでふと、私は思いついた。
心配ならば、尾行すればいいだろうと。
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