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恋する乙女の恋愛相談
尾行、見られている
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緊急事態が発生した。
あの二人を、見失ってしまった。
天崎さんのお手洗いを待っていたから、そりゃそうかもしれないけど。
そわそわして意味もなくその場をくるくると回り。
完全に変人な動きをしている私であった。
それで。
緊急事態というのは、見失ったことだけではなくて。
桃杏ちゃんから、こういうラインが届いたことの方が重要だった。
『もしかして。いや、もしかしなくても、尾けてきてますよね?』
と。
いつバレたのか。
どの段階でバレたのか。
何も分からないが、知らぬ間に私たちの尾行小作戦は終焉を迎えていた。
『なんのこと?』
とりあえず惚ける。
見られてるんだったら意味ないけど。
『これです』
天崎さんほどではないがすぐに返信が届く。
たった四文字が送られてきていた。
なんだこれと、そう思った数秒後に何かの画像が添付されて。
「え……」
思わず声が漏れる。
その画像は、私がこの場所でスマホと睨めっこしている画像だったからだ。
いや、これどこから撮った。
「おねーさん」
「ひゃっ!」
背後からの不意打ちのようなその声に、体が跳ねる。心臓も跳ねる。
ほぼ無意識的に振り向くと、どこか呆れた様子の桃杏ちゃんがいた。
「ど、どうもぉ。桃杏ちゃん」
「どうもぉです。お姉さん」
随分と気合の入った衣服だ……って。
あれ? 思えば、桃杏ちゃん一人だ。
楓花はどこだろうか?
「あ、楓花ちゃんはトイレ行ってます」
……心読まれてるのかな。
「で。なんでいるんですか?」
「そ、そ。それは」
言葉が詰まる。
何も言い訳が思い浮かばず。
近くから溜息が聞こえた。
それは間違い無く桃杏ちゃんのもので。
そこを見れば、またまた呆れたように口を開いた。
「大方予想はつきますよ。……昨日の天崎先輩とのラインを見たんですよね? 昨日、部活終わった後、相談部室にスマホを取りにいったら触られた形跡というか、そういうものがありましたし」
「あぁ。うん。……はい。正解です……」
尾行という探偵気取りなことをしときながら、向こうの方が探偵っぽい。
……なにこれ。
「ですよね。それで、なんか変なことを話していたから、シスコンのお姉さんは心配でついてきたと。そういうわけですね?」
「シスコンじゃないやい!」
「まぁ、安心してください。あれは流石に自分でもおかしいと思いましたから。今日は健全な遊園地デートなんです!」
「そんなわけで帰ってください、お願いします」
ぺこりと綺麗な礼をされる。
冗談めかした感じで言われたが。
眉間にシワがよって、マジな感じだった。
流石に、これ以上迷惑をわけにもいかず、私はもう尾けないことを誓った。
そして。
桃杏ちゃんとさよならして数分が経つ。
落ち着いた様子の天崎さんがお手洗いから帰ってきた。
遅いーと思いながら、今程起こった出来事を伝える。
『残念ですね』とちっとも残念そうじゃない顔でラインを送られ、『では、観覧車くらいに乗って帰りましょう』と送られる。
その時の彼女の頬は少し緩んでいるように見えた。
いや、緩んでいた。
あの二人を、見失ってしまった。
天崎さんのお手洗いを待っていたから、そりゃそうかもしれないけど。
そわそわして意味もなくその場をくるくると回り。
完全に変人な動きをしている私であった。
それで。
緊急事態というのは、見失ったことだけではなくて。
桃杏ちゃんから、こういうラインが届いたことの方が重要だった。
『もしかして。いや、もしかしなくても、尾けてきてますよね?』
と。
いつバレたのか。
どの段階でバレたのか。
何も分からないが、知らぬ間に私たちの尾行小作戦は終焉を迎えていた。
『なんのこと?』
とりあえず惚ける。
見られてるんだったら意味ないけど。
『これです』
天崎さんほどではないがすぐに返信が届く。
たった四文字が送られてきていた。
なんだこれと、そう思った数秒後に何かの画像が添付されて。
「え……」
思わず声が漏れる。
その画像は、私がこの場所でスマホと睨めっこしている画像だったからだ。
いや、これどこから撮った。
「おねーさん」
「ひゃっ!」
背後からの不意打ちのようなその声に、体が跳ねる。心臓も跳ねる。
ほぼ無意識的に振り向くと、どこか呆れた様子の桃杏ちゃんがいた。
「ど、どうもぉ。桃杏ちゃん」
「どうもぉです。お姉さん」
随分と気合の入った衣服だ……って。
あれ? 思えば、桃杏ちゃん一人だ。
楓花はどこだろうか?
「あ、楓花ちゃんはトイレ行ってます」
……心読まれてるのかな。
「で。なんでいるんですか?」
「そ、そ。それは」
言葉が詰まる。
何も言い訳が思い浮かばず。
近くから溜息が聞こえた。
それは間違い無く桃杏ちゃんのもので。
そこを見れば、またまた呆れたように口を開いた。
「大方予想はつきますよ。……昨日の天崎先輩とのラインを見たんですよね? 昨日、部活終わった後、相談部室にスマホを取りにいったら触られた形跡というか、そういうものがありましたし」
「あぁ。うん。……はい。正解です……」
尾行という探偵気取りなことをしときながら、向こうの方が探偵っぽい。
……なにこれ。
「ですよね。それで、なんか変なことを話していたから、シスコンのお姉さんは心配でついてきたと。そういうわけですね?」
「シスコンじゃないやい!」
「まぁ、安心してください。あれは流石に自分でもおかしいと思いましたから。今日は健全な遊園地デートなんです!」
「そんなわけで帰ってください、お願いします」
ぺこりと綺麗な礼をされる。
冗談めかした感じで言われたが。
眉間にシワがよって、マジな感じだった。
流石に、これ以上迷惑をわけにもいかず、私はもう尾けないことを誓った。
そして。
桃杏ちゃんとさよならして数分が経つ。
落ち着いた様子の天崎さんがお手洗いから帰ってきた。
遅いーと思いながら、今程起こった出来事を伝える。
『残念ですね』とちっとも残念そうじゃない顔でラインを送られ、『では、観覧車くらいに乗って帰りましょう』と送られる。
その時の彼女の頬は少し緩んでいるように見えた。
いや、緩んでいた。
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