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姉妹の三日間
お父さん
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若干の緊張を抱きつつ、私は階段を降りる。
二人の話し声が、居間から聞こえた。
私は、ちょいっと顔を覗かせて、小声でこう言う。
「お、おはようございます」
その私の様子に真っ先に気付いたお母さんが、私の方を見ながら驚いたような声を上げる。
「あ! おはよう楓! やっと早く起きたわね」
「ど、どうもどうも」
お父さんがいるからか、やはり緊張して敬語になってしまう。
「ほら! 健先生! 楓ですよ!」
お母さんは、お父さんのこと先生と呼んでいるらしい。
いや、知っていたけど、家でもそう呼んでいるということは知らなかった。
お母さんのその呼びかけに、新聞を読んでいたお父さんは顔を上げ、愛想の良い顔をこちらに向ける。
「おはよう」
「お、おはようございます!」
大袈裟にお辞儀をして、席に座る。
思わず背筋がピンとしてしまう。
お母さんは、私のそんな様子を面白そうに見つめている。
くそ、お母さんめ。
「……その、あの子はどんな様子だ」
席に座った途端、お父さんがそんなことを問うてくる。
お姉ちゃんのことだろう。
「えっと。お姉ちゃんは、とてもいい人です。優しいです」
「……お姉ちゃんか。それなら良かった。どうやら、私は嫌われてしまったようでな。仲良くしてやって欲しい」
「はは」と、少し悲しそうに微笑む。
私の知っているお姉ちゃんと、お父さんの知っているお姉ちゃんとでは、全くの別人なんだろうな。
お姉ちゃんは、今もウキウキで服選びをしているのだろうけど、お父さんはそんな様子を想像しさえもしないのだろう。
「私もどうすればいいのか悩んだのだけどね。瑞樹の事は、どうすることも出来なかったよ。何を聞いても何も言ってくれない。ついには、部屋にも入れてくれなくなった。……まぁ。私が悪いんだろうけどね」
そんなお姉ちゃん、私は知らない。
お姉ちゃんはもっと、可愛くて、意外と積極的で、恥ずかしかったら赤面して、凄いテンパり屋さんで、寂しい時にはハグするような、甘えん坊なお姉ちゃんなのだ。
「そう。なんですね」
「あの子は学校に行ってない。けど、無理に連れて行ったりはしないで欲しい」
「……わかりました。……あ。あと、聞いていいか分からないけど……前のお母さんがいた時のお姉ちゃんってどんな様子でしたか?」
「あぁ。瑞樹はかなりのお母さんっ子だったよ。いつも引っ付いて、毎日毎日お風呂にも入っていた。寝る前にはハグとかもしていたな。あの頃は、本当に明るい子だったよ」
お父さんの言う、前のお姉ちゃんの様子は、
今の私にしていることと大して変わりの無いものに思えてしまった。
※※※※※※
「じゃあ。行ってきまーす! お留守番よろしくね!」
「行ってらっしゃい」
玄関先までお母さんたちを見送り、手を振った。
「ふーーー」
なんだか、やっと肩の重荷が取れた気分だ。
上がっていた肩がストンと重力に従う。
もう8時。
あと、二時間。何をして時間を潰すべきか。
と、思案してたら、階段を降りる音が聞こえてきた。
「あ。てんちゃん」
パジャマ姿のお姉ちゃんが姿を現した。
今の今まで、服選びをしていたのだろうか。
「おはよ。お姉ちゃん」
「うん。……その、凄く楽しみ! 水族館!」
お姉ちゃんは明るい子だ。
少なくとも、お父さんが言っていたような、暗い様相は一ミリも帯びていない。
二人の話し声が、居間から聞こえた。
私は、ちょいっと顔を覗かせて、小声でこう言う。
「お、おはようございます」
その私の様子に真っ先に気付いたお母さんが、私の方を見ながら驚いたような声を上げる。
「あ! おはよう楓! やっと早く起きたわね」
「ど、どうもどうも」
お父さんがいるからか、やはり緊張して敬語になってしまう。
「ほら! 健先生! 楓ですよ!」
お母さんは、お父さんのこと先生と呼んでいるらしい。
いや、知っていたけど、家でもそう呼んでいるということは知らなかった。
お母さんのその呼びかけに、新聞を読んでいたお父さんは顔を上げ、愛想の良い顔をこちらに向ける。
「おはよう」
「お、おはようございます!」
大袈裟にお辞儀をして、席に座る。
思わず背筋がピンとしてしまう。
お母さんは、私のそんな様子を面白そうに見つめている。
くそ、お母さんめ。
「……その、あの子はどんな様子だ」
席に座った途端、お父さんがそんなことを問うてくる。
お姉ちゃんのことだろう。
「えっと。お姉ちゃんは、とてもいい人です。優しいです」
「……お姉ちゃんか。それなら良かった。どうやら、私は嫌われてしまったようでな。仲良くしてやって欲しい」
「はは」と、少し悲しそうに微笑む。
私の知っているお姉ちゃんと、お父さんの知っているお姉ちゃんとでは、全くの別人なんだろうな。
お姉ちゃんは、今もウキウキで服選びをしているのだろうけど、お父さんはそんな様子を想像しさえもしないのだろう。
「私もどうすればいいのか悩んだのだけどね。瑞樹の事は、どうすることも出来なかったよ。何を聞いても何も言ってくれない。ついには、部屋にも入れてくれなくなった。……まぁ。私が悪いんだろうけどね」
そんなお姉ちゃん、私は知らない。
お姉ちゃんはもっと、可愛くて、意外と積極的で、恥ずかしかったら赤面して、凄いテンパり屋さんで、寂しい時にはハグするような、甘えん坊なお姉ちゃんなのだ。
「そう。なんですね」
「あの子は学校に行ってない。けど、無理に連れて行ったりはしないで欲しい」
「……わかりました。……あ。あと、聞いていいか分からないけど……前のお母さんがいた時のお姉ちゃんってどんな様子でしたか?」
「あぁ。瑞樹はかなりのお母さんっ子だったよ。いつも引っ付いて、毎日毎日お風呂にも入っていた。寝る前にはハグとかもしていたな。あの頃は、本当に明るい子だったよ」
お父さんの言う、前のお姉ちゃんの様子は、
今の私にしていることと大して変わりの無いものに思えてしまった。
※※※※※※
「じゃあ。行ってきまーす! お留守番よろしくね!」
「行ってらっしゃい」
玄関先までお母さんたちを見送り、手を振った。
「ふーーー」
なんだか、やっと肩の重荷が取れた気分だ。
上がっていた肩がストンと重力に従う。
もう8時。
あと、二時間。何をして時間を潰すべきか。
と、思案してたら、階段を降りる音が聞こえてきた。
「あ。てんちゃん」
パジャマ姿のお姉ちゃんが姿を現した。
今の今まで、服選びをしていたのだろうか。
「おはよ。お姉ちゃん」
「うん。……その、凄く楽しみ! 水族館!」
お姉ちゃんは明るい子だ。
少なくとも、お父さんが言っていたような、暗い様相は一ミリも帯びていない。
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