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第2章 海兵隊の整備
第2話
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林忠崇海軍少尉は、大鳥圭介海軍少佐からの急な呼び出しに戸惑った。
一体、何事だろうか。
とるものもとりあえず、林少尉は大鳥少佐の執務室に赴いた。
大鳥少佐は林少尉の顔を見るなり、開口一番に言った。
「フランスに留学を命ずる」
林少尉は、想像もしていなかったことに、即答できなかった。
林少尉の運命も明治維新に翻弄されたものだった。
本来ならわずか1万石という小なりとはいえ、れっきとした譜代大名家の当主だった。
それもただの譜代大名ではない。
林家は徳川家、いや松平家草創期からの家臣として重んじられてきた家柄だった。
家康が将軍になってからも、徳川御三家より先に、時の将軍から林家の当主は、正月の初めの盃を与えられ、兎の吸い物を共に食して祝う、という幕府年中行事の筆頭を飾る行事の光栄に代々浴してきた名家であった。
一時、当主が失明したこと等により、旗本格とされたが、その後も忠勤をはげみ、また大名として復活していた。
そして、徳川家に代々こうむった厚恩に報いるために、林忠崇は戊辰戦争に際し、脱藩して一介の浪人として遊撃隊に参加して奮戦したのだった。
しかし、武運拙く仙台にて新政府軍に降伏することになった。
その後、牢暮らしは免れたものの、藩は戊辰戦争で唯一の滅藩処分という厳罰を受け、自らは親戚の小笠原家に永預かりという処分になった。
だが、牢暮らしを免れたのが、却って悪かったのかもしれない。
旧幕府諸隊の幹部、大鳥や土方歳三、古屋佐久左衛門らでさえ、明治3年中には牢から全員釈放されたのだが、林だけは明治5年1月まで処分が解けなかったのである。
処分が解けたものの、早速、林は食うに困ってしまった。
何しろ林が本来いた藩は、もうないのである。
そこで、方々に働き口はないか、と林が声をかけたところ、何とか海兵隊の少尉として、林は働くことができることになったという身の上であった。
「フランスですか」
「そうだ。フランス政府の了解はすでに得ている。
また、ブリュネ大尉、いや今は少佐に昇進されていたかな、に私から個人的に世話を依頼してある。
また、この話を聞きつけたシャノワーヌ少佐も協力してくれるとのことだ。
だから、安心してフランスの士官学校に入学して、勉学に励んできてほしい」
林の問いかけに、大鳥は答えた。
「なぜ、私が行くことに」
「君が優秀な人材だということは、幕府が健在な頃から知られていたからな。
将来は、若年寄どころか老中でも務まる、と10代で評価されていたとは大したものだ。
私も旧幕臣の端くれとして、そのことは聞いている。
戊辰戦争でも慶喜公に最後まで尽くした大名の1人でもある。
海兵隊での勤務はまだ短いが、勤務に精励していることはよくわかる。
フランスに留学して、将来の海兵隊を造るのに尽力してくれ。
言っておくが、留学しているのは君だけではない。
去年は北白川宮殿下、君にとっては、輪王寺宮殿下といった方が分かりやすいか、もイギリスのダートマス海軍兵学校に留学している」
大鳥は、林に丁寧に事情を説明した。
その言葉を聞いている内に、林は大鳥の厚意に、自然と涙が溢れるのを覚えた。
大鳥の厚意に応え、自分は海兵隊を立派な組織にしてみせる。
林は、そう決意をした。
「分かりました。
フランスで勉学に励んできます。
それにしても、元大名の私がフランス留学ですか。
いわゆる鎖国していた時から、僅か20年ほどでこんな時代になるとは。
時代が動くのが、本当に早すぎますね。」
「それを言うならば、こんなに早く皇族が海外に行く時代が来るとは、鎖国していたあの頃、私も思わなかったな」
林と大鳥は、お互いに思わず、過去の事を想い出して、感慨にふけりあった。
一体、何事だろうか。
とるものもとりあえず、林少尉は大鳥少佐の執務室に赴いた。
大鳥少佐は林少尉の顔を見るなり、開口一番に言った。
「フランスに留学を命ずる」
林少尉は、想像もしていなかったことに、即答できなかった。
林少尉の運命も明治維新に翻弄されたものだった。
本来ならわずか1万石という小なりとはいえ、れっきとした譜代大名家の当主だった。
それもただの譜代大名ではない。
林家は徳川家、いや松平家草創期からの家臣として重んじられてきた家柄だった。
家康が将軍になってからも、徳川御三家より先に、時の将軍から林家の当主は、正月の初めの盃を与えられ、兎の吸い物を共に食して祝う、という幕府年中行事の筆頭を飾る行事の光栄に代々浴してきた名家であった。
一時、当主が失明したこと等により、旗本格とされたが、その後も忠勤をはげみ、また大名として復活していた。
そして、徳川家に代々こうむった厚恩に報いるために、林忠崇は戊辰戦争に際し、脱藩して一介の浪人として遊撃隊に参加して奮戦したのだった。
しかし、武運拙く仙台にて新政府軍に降伏することになった。
その後、牢暮らしは免れたものの、藩は戊辰戦争で唯一の滅藩処分という厳罰を受け、自らは親戚の小笠原家に永預かりという処分になった。
だが、牢暮らしを免れたのが、却って悪かったのかもしれない。
旧幕府諸隊の幹部、大鳥や土方歳三、古屋佐久左衛門らでさえ、明治3年中には牢から全員釈放されたのだが、林だけは明治5年1月まで処分が解けなかったのである。
処分が解けたものの、早速、林は食うに困ってしまった。
何しろ林が本来いた藩は、もうないのである。
そこで、方々に働き口はないか、と林が声をかけたところ、何とか海兵隊の少尉として、林は働くことができることになったという身の上であった。
「フランスですか」
「そうだ。フランス政府の了解はすでに得ている。
また、ブリュネ大尉、いや今は少佐に昇進されていたかな、に私から個人的に世話を依頼してある。
また、この話を聞きつけたシャノワーヌ少佐も協力してくれるとのことだ。
だから、安心してフランスの士官学校に入学して、勉学に励んできてほしい」
林の問いかけに、大鳥は答えた。
「なぜ、私が行くことに」
「君が優秀な人材だということは、幕府が健在な頃から知られていたからな。
将来は、若年寄どころか老中でも務まる、と10代で評価されていたとは大したものだ。
私も旧幕臣の端くれとして、そのことは聞いている。
戊辰戦争でも慶喜公に最後まで尽くした大名の1人でもある。
海兵隊での勤務はまだ短いが、勤務に精励していることはよくわかる。
フランスに留学して、将来の海兵隊を造るのに尽力してくれ。
言っておくが、留学しているのは君だけではない。
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その言葉を聞いている内に、林は大鳥の厚意に、自然と涙が溢れるのを覚えた。
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林と大鳥は、お互いに思わず、過去の事を想い出して、感慨にふけりあった。
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