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第3章 新選組の旗の再生と台湾出兵
第11話
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明治7年10月、大久保利通は苦悩していた。
清国の提示してきた台湾からの撤兵条件を、自分は受けるべきなのかどうか。
欧米諸国の仲介等もあり、台湾出兵は、最早、これ以上の日本からの要望は望めないのでは、という段階に達しつつあったのだ。
台湾出兵の表向きの口実は、宮古島島民や岡山県民が台湾近海で遭難した際に、台湾の住民から受けた略奪等に対する報復だった。
清国に賠償を求めても、台湾は清国の統治が完全には及んでおらず、台湾の住民がしたことに、清国は責任は取れない、の一点張りだったのだ。
そうなると、台湾の住民に対して武力で報復するしかない。
それ故に、日本は台湾に出兵する、ということになったのだが、隠れた目的もあった。
それは、薩摩の士族をなだめるという目的だった。
征韓論で下野した西郷隆盛らは、はっきりいって爆弾みたいなもので、いつ政府に対する不満を暴発させて、武力挙兵に及ぶか分かったものではなかった。
幸いなことに、江藤新平が主導した佐賀の乱に、彼らは同調しなかったが、彼ら単体でも武力挙兵した際の影響の大きさは、他の士族が暴発した場合とは比較にならない。
そこで、台湾に薩摩の士族の一部を植民させると共に対外危機をあおることで、薩摩の士族の不満をなだめようと考えていたのだが、台湾があそこまでの瘴癘の地だとは思わなかった。
既に台湾に派遣された日本の将兵の多くが倒れている。
そんなことはまず無理だと分かってはいるが、清国が妥協して台湾の一部に日本人の植民を認めるとしても、こんな状況が流れては、薩摩の士族から、台湾への植民を希望する者は、ほとんど出ないだろう。
そして、内実はともかく清国が台湾に派遣した兵力は明治7年10月現在約1万4000人に達しているらしい。
一方、日本側は陸軍と海兵隊合わせても4000人に満たない上、4割以上がマラリア等により戦闘不能に陥っている。
こんな状況で、台湾で日清両軍の衝突が偶発的にでも生じたら、日本軍の敗北は目に見えている。
西郷従道からは、日清両軍が台湾で衝突する事態に陥っても、島津義弘公の泗川の勝利を台湾で再現可能であり、清国が日本に対して充分な条件を提示しないならば、自分は、日清開戦をむしろ希望すると豪語する連絡が、自分の下に届いてはいる。
だが、西郷は、マラリアの高熱で、とうとう脳までやられたのではないか、と大久保自身が、疑わざるを得ない状況だった。
台湾出兵に対して、政府上層部から国民まで渦巻いている不満の落とし前を、自らつけるために、8月に北京へ出発したものの、ここまでの条件を清国に付きつけられる羽目に陥るとは思わなかった、と大久保は後悔したが、今や清国が提示する条件を受け入れるしかない有様に陥っていた。
見舞金10万両、戦費賠償金40万両を清国から日本に支払う代わりに、日本は台湾から年内に全面撤兵する、というのが清国の提示した内容だった。
これ以上は絶対に金を出せないと清国が言い張るうえに、日本は台湾からの撤兵が1日でも遅れるごとに、台湾で将兵が多く病死していくという状況では、幾ら大久保が頑張りたくても、どうにもならなかった。
大久保は明治7年10月31日、清国政府との北京専約(台湾からの日本軍の撤兵)に終に同意した。
そして、これにより、台湾に赴いていた日本の将兵、つまり、土方歳三が率いる屯田兵中隊を含む海兵隊の面々らは、日本に帰国の途に就くことになったのだ。
だが、それは、彼らにとって、余りにも遅く、また、苦い帰国の途としか、言いようが無かった。
この異郷の地で、海兵隊の仲間、約60名余りが亡くなり、遺骨となって帰国の途に付くこととなったのだ。
清国の提示してきた台湾からの撤兵条件を、自分は受けるべきなのかどうか。
欧米諸国の仲介等もあり、台湾出兵は、最早、これ以上の日本からの要望は望めないのでは、という段階に達しつつあったのだ。
台湾出兵の表向きの口実は、宮古島島民や岡山県民が台湾近海で遭難した際に、台湾の住民から受けた略奪等に対する報復だった。
清国に賠償を求めても、台湾は清国の統治が完全には及んでおらず、台湾の住民がしたことに、清国は責任は取れない、の一点張りだったのだ。
そうなると、台湾の住民に対して武力で報復するしかない。
それ故に、日本は台湾に出兵する、ということになったのだが、隠れた目的もあった。
それは、薩摩の士族をなだめるという目的だった。
征韓論で下野した西郷隆盛らは、はっきりいって爆弾みたいなもので、いつ政府に対する不満を暴発させて、武力挙兵に及ぶか分かったものではなかった。
幸いなことに、江藤新平が主導した佐賀の乱に、彼らは同調しなかったが、彼ら単体でも武力挙兵した際の影響の大きさは、他の士族が暴発した場合とは比較にならない。
そこで、台湾に薩摩の士族の一部を植民させると共に対外危機をあおることで、薩摩の士族の不満をなだめようと考えていたのだが、台湾があそこまでの瘴癘の地だとは思わなかった。
既に台湾に派遣された日本の将兵の多くが倒れている。
そんなことはまず無理だと分かってはいるが、清国が妥協して台湾の一部に日本人の植民を認めるとしても、こんな状況が流れては、薩摩の士族から、台湾への植民を希望する者は、ほとんど出ないだろう。
そして、内実はともかく清国が台湾に派遣した兵力は明治7年10月現在約1万4000人に達しているらしい。
一方、日本側は陸軍と海兵隊合わせても4000人に満たない上、4割以上がマラリア等により戦闘不能に陥っている。
こんな状況で、台湾で日清両軍の衝突が偶発的にでも生じたら、日本軍の敗北は目に見えている。
西郷従道からは、日清両軍が台湾で衝突する事態に陥っても、島津義弘公の泗川の勝利を台湾で再現可能であり、清国が日本に対して充分な条件を提示しないならば、自分は、日清開戦をむしろ希望すると豪語する連絡が、自分の下に届いてはいる。
だが、西郷は、マラリアの高熱で、とうとう脳までやられたのではないか、と大久保自身が、疑わざるを得ない状況だった。
台湾出兵に対して、政府上層部から国民まで渦巻いている不満の落とし前を、自らつけるために、8月に北京へ出発したものの、ここまでの条件を清国に付きつけられる羽目に陥るとは思わなかった、と大久保は後悔したが、今や清国が提示する条件を受け入れるしかない有様に陥っていた。
見舞金10万両、戦費賠償金40万両を清国から日本に支払う代わりに、日本は台湾から年内に全面撤兵する、というのが清国の提示した内容だった。
これ以上は絶対に金を出せないと清国が言い張るうえに、日本は台湾からの撤兵が1日でも遅れるごとに、台湾で将兵が多く病死していくという状況では、幾ら大久保が頑張りたくても、どうにもならなかった。
大久保は明治7年10月31日、清国政府との北京専約(台湾からの日本軍の撤兵)に終に同意した。
そして、これにより、台湾に赴いていた日本の将兵、つまり、土方歳三が率いる屯田兵中隊を含む海兵隊の面々らは、日本に帰国の途に就くことになったのだ。
だが、それは、彼らにとって、余りにも遅く、また、苦い帰国の途としか、言いようが無かった。
この異郷の地で、海兵隊の仲間、約60名余りが亡くなり、遺骨となって帰国の途に付くこととなったのだ。
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