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第9章 鹿児島上陸作戦と鹿児島占領
第2話
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開陽と東が西郷軍の反撃を警戒する中、第4海兵大隊を先鋒に、陸軍の別働第一旅団や警視隊は、続々と鹿児島港から上陸作戦を展開したが、西郷軍の反撃は無かった。
更に上陸したその足で、政府軍は鹿児島県庁を確保した。
これには、鹿児島港上陸作戦を陣頭指揮した川村純義参軍が、何で防御のための西郷軍がいないのか、と首をひねる羽目になった。
第4海兵大隊も、いよいよ実戦と意気込んでいたのに、と気が抜けた思いを抱くことになった。
「薩英戦争の話を、イギリス留学の際に聞いていて、その二の舞に我々がならねばよいが、と私は心配していたのですが、どういうことなのでしょう」
北白川宮大尉は、狐につままれたような思いをしつつ、本多幸七郎少佐に尋ねた。
「全く分からない。
とりあえず無事に上陸できてよかった。
速やかに防御陣地を築かねばな」
本多少佐も、上陸当初は事情が分からず、少し間の抜けたような会話を、北白川宮大尉と交わすしかなかったが、次第に事情が明らかになった。
「ならんものはならん」
島津久光は、その一点張りだった。
西郷軍の桂久武らは、政府軍による鹿児島上陸作戦を懸念し、海岸に堡塁を再整備し、鹿児島の治安維持に当たっている巡査を、その堡塁の守備等に充てようと考え、鹿児島県庁に要請していたが。
当時の鹿児島県庁は、極めて微妙な立場にあった。
西郷軍の挙兵当初は、大山綱良県令の下、鹿児島県庁は、西郷軍に全面協力していた。
しかし、3月8日に柳原前光が勅使として、護衛兵と共に鹿児島に来訪した。
柳原は、鹿児島県庁に対し、西郷軍に対する征討令の発令等を告げ、更に大山県令に随行を命じて、3月13日に鹿児島を去った。
更に、鹿児島県庁の新県令として、岩村通俊が赴任したことから、潮目が変わった。
鹿児島県庁の職員達は、西郷軍と政府との狭間で苦しむ羽目になったのである。
その苦衷の中で出てきたのが、西郷軍からの鹿児島県庁に対する海岸堡塁整備の要請だった。
西郷軍は、速やかに海岸堡塁を整備するように、要請というよりも恫喝したのだが、そこに局外中立を宣言していた島津久光が介入してきた。
島津久光は、鹿児島県庁の立場に配慮したというよりも、西郷軍に対する反発から介入したのだが、鹿児島県庁にとってはある意味、助け舟になった。
さすがにかつて「国父」と呼ばれた島津久光が猛反対していては、西郷軍も、鹿児島県庁に対して、海岸堡塁を設置せよ、という横車は押しとおせなかった。
こうしたことから、海岸堡塁は設置されず、政府軍は無事に鹿児島港に上陸できたのである。
こうした事情が把握されたことから。
「とりあえず鹿児島の街は確保できたが、火事場泥棒に成功したようなものだ。
至急、我々が陣地を築かないと危ない」
そう判断した川村参軍は、鹿児島の治安維持は警視隊に任せ、陸軍と海兵隊には、大至急防御陣地を築くように命令を下した。
確かに、ここは西郷軍の本拠地である。
第4海兵大隊は、甲突川の河口近辺に配備されることになり、そこに防御陣地を急造し、西郷軍の来襲に備えた。
「西郷軍が来たぞ」
監視にあたっていた兵から、西郷軍の来襲を知らせる大声が上がった。
人吉から急派された部隊や郷土を守ろうと志願した者から急きょ編制された部隊が一体となって、5月5日未明、鹿児島を奪還しよう、と西郷軍は押し寄せてきた。
第4海兵大隊は、その矢面に立つことになった。
「できる限り、西郷軍を引きつけてから発砲しろ」
本多少佐が、第4海兵大隊の兵達に号令を下した。
北白川宮大尉は、西郷軍の兵との最初の戦闘を前に、背中から冷や汗が流れるのを覚えた。
鹿児島を巡る政府軍と西郷軍の死闘が始まった瞬間だった。
更に上陸したその足で、政府軍は鹿児島県庁を確保した。
これには、鹿児島港上陸作戦を陣頭指揮した川村純義参軍が、何で防御のための西郷軍がいないのか、と首をひねる羽目になった。
第4海兵大隊も、いよいよ実戦と意気込んでいたのに、と気が抜けた思いを抱くことになった。
「薩英戦争の話を、イギリス留学の際に聞いていて、その二の舞に我々がならねばよいが、と私は心配していたのですが、どういうことなのでしょう」
北白川宮大尉は、狐につままれたような思いをしつつ、本多幸七郎少佐に尋ねた。
「全く分からない。
とりあえず無事に上陸できてよかった。
速やかに防御陣地を築かねばな」
本多少佐も、上陸当初は事情が分からず、少し間の抜けたような会話を、北白川宮大尉と交わすしかなかったが、次第に事情が明らかになった。
「ならんものはならん」
島津久光は、その一点張りだった。
西郷軍の桂久武らは、政府軍による鹿児島上陸作戦を懸念し、海岸に堡塁を再整備し、鹿児島の治安維持に当たっている巡査を、その堡塁の守備等に充てようと考え、鹿児島県庁に要請していたが。
当時の鹿児島県庁は、極めて微妙な立場にあった。
西郷軍の挙兵当初は、大山綱良県令の下、鹿児島県庁は、西郷軍に全面協力していた。
しかし、3月8日に柳原前光が勅使として、護衛兵と共に鹿児島に来訪した。
柳原は、鹿児島県庁に対し、西郷軍に対する征討令の発令等を告げ、更に大山県令に随行を命じて、3月13日に鹿児島を去った。
更に、鹿児島県庁の新県令として、岩村通俊が赴任したことから、潮目が変わった。
鹿児島県庁の職員達は、西郷軍と政府との狭間で苦しむ羽目になったのである。
その苦衷の中で出てきたのが、西郷軍からの鹿児島県庁に対する海岸堡塁整備の要請だった。
西郷軍は、速やかに海岸堡塁を整備するように、要請というよりも恫喝したのだが、そこに局外中立を宣言していた島津久光が介入してきた。
島津久光は、鹿児島県庁の立場に配慮したというよりも、西郷軍に対する反発から介入したのだが、鹿児島県庁にとってはある意味、助け舟になった。
さすがにかつて「国父」と呼ばれた島津久光が猛反対していては、西郷軍も、鹿児島県庁に対して、海岸堡塁を設置せよ、という横車は押しとおせなかった。
こうしたことから、海岸堡塁は設置されず、政府軍は無事に鹿児島港に上陸できたのである。
こうした事情が把握されたことから。
「とりあえず鹿児島の街は確保できたが、火事場泥棒に成功したようなものだ。
至急、我々が陣地を築かないと危ない」
そう判断した川村参軍は、鹿児島の治安維持は警視隊に任せ、陸軍と海兵隊には、大至急防御陣地を築くように命令を下した。
確かに、ここは西郷軍の本拠地である。
第4海兵大隊は、甲突川の河口近辺に配備されることになり、そこに防御陣地を急造し、西郷軍の来襲に備えた。
「西郷軍が来たぞ」
監視にあたっていた兵から、西郷軍の来襲を知らせる大声が上がった。
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「できる限り、西郷軍を引きつけてから発砲しろ」
本多少佐が、第4海兵大隊の兵達に号令を下した。
北白川宮大尉は、西郷軍の兵との最初の戦闘を前に、背中から冷や汗が流れるのを覚えた。
鹿児島を巡る政府軍と西郷軍の死闘が始まった瞬間だった。
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