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第一章
7話 ②実験
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2人とは別れ、せんやと共に教室へ戻った。来週から行われる学年別トーナメント戦に向けて実践の授業が増える予定だ。まあ俺は暇な授業が増えるだけなんだけどな。
せんやが教壇に立って生徒たちに話し始める。
「今から、学年別個人戦に向けての授業を始めます。みんな、体操服に着替えて俺についてきてね」
隣の席からアイちゃんが指でつついてきたから振り向くとアイちゃんは目をキラキラさせていた。かわいいかよ。
「そう言えば、明後日は学年別トーナメント戦の1日目だよね?」
「結構ギリギリだよな。実践授業は普段からしてるけど……相手がいつもシーシェンだからつまんねえんだよな~」
「シーシェン先生と戦ってる時いつも楽しそうだったじゃん?」
「そりゃ日頃の鬱憤晴らしてるからな! 誰を殴ってもペナルティあるからよぉ……」
「そりゃそうだよ! 殴るなんて……いや、リリアが楽しいのは良いんだけど他の生徒には迷惑だし」
「殴られて喜ぶ奴もいるけどな!」
ん? 待てよ……なんであいつは喜んでるのに善行ポイントにならねえんだ……? 本当は不満を抱いてやがるとか……?
試しに前の席にいるコゴを蹴ってみると「ひゃん♡」と言うキモイ悲鳴が聞こえてきた。この声で不満を抱くとかあるのかよ?
ついでに来世ポイントを確認したらしっかり-50pt取られて-340ptになっていた。いやおかしいだろ、こいつは喜んでるだろ。来世ポイントが表示されている画面を見ながらコゴを蹴り続ける。
「ひゃん♡」
-390pt
「ひゃん♡」
「ひゃん♡」
「ひゃん♡」
-540pt
これ以上蹴ると来世ポイントが増え続けてしまうが、イラつくから蹴り続ける-800pt手前までなら大丈夫だ。オロクとキス1つすりゃ……
「ひゃん♡」「ひゃん♡」「ひゃん♡」
-790pt
——待て。まだ3回しか蹴ってねえのにもう-800pt手前まできちまってるじゃねえか! -50ptに気づかないまま過ごしてた時は日常的にコゴを殴ったり蹴ったりして来世ポイントが積み重なって-800pt近く減っていた。だから気づいた後も、-50ptって数字自体は少ないと思ってたが結構上がり幅大きいぞ!?
そうか……16回叩いただけで-800ptになるのか。16回以上は殴った気がするから少ねえ気もするが……叩き方が弱いとか強いとか関係あんのか?
上げ方が分かったから殴れると思ったが……無闇やたらに殴るのは控えた方がいいな。
それに上げ方ってよく考えたら、オロクとキスするだけでいいと思ってたけどそうじゃねえじゃねえか。ただのキスならいくらでもしてきたのに来世ポイントに影響がなかった。
でもオロクとシーシェンにあそこを触られたら800ptプラスになる……あそこを触られることが800ptって……待ってくれ、この-790ptを+に戻すには誰かに触れさせるしかねえってことか!? いや……誰でもいいわけじゃねえ、善行だから相手が喜んでねえといけないのか……。
つまり、オロクとシーシェンは俺に触れて喜んでたと? キモすぎて寒気がする。
それにしたってキスがポイントにならねえなんておかしい。何か理由があるはずだ。せんやに聞いてみ——いややめとこう。善行ポイントが性的なことだと知ったらあいつは絶対暴走する、絶対面倒くさいことになる。
「リリア……無言でコゴくんを蹴り続けたと思ったら、黙り込んでるの怖いんだけど」
「蹴るの我慢してんだよ」
「我慢しなくてもいいのに! 最近のリリアくん変だよ!」
「お前はずっと変だわ!!」
振り返って椅子に手をつき涙目で顔を近づけてくるコゴの頭を叩こうとした手を止める。だめだ、-800pt以上は……
「俺を殴るの好きなくせに! リリアくんだって嬉しいくせに!」
「うぜえ!!」
俺を変な趣味にすんな! 俺は殴って喜ばれることに喜ばねえよ!
「ひゃううんっ!!♡」
「キメエんだよくそがッ!!」
「あっ……あっ! この感じ! この感じだ! いつものリリアくんが戻ってきた♡」
「うるせえ黙ってろ!!」
思わず手が出てしまい、散々殴った末に頭を鷲掴みにして俺の机に顔を叩きつけてしまった。
「あ……」
やばい。
まだ表示れ続けていた画面を恐る恐る横目で見る。
-1390pt
——あああああッ!! また-1000ptになっちまったあああああああああああああああッ!!
空中に表示されている画面を見ながら、魔法の芯の鉛筆で机に書きながら整理する。
コゴを殴ったことでポイントの減り方が分かってきた。散々殴った上に頭を叩きつけたから、-840ptになる予定だったのに-1390ptになってしまった。
550ptマイナスされたってことになるけど、50で割ったら11回分だが、俺が殴った回数はたぶん9だった。だから頭に叩きつけた分が100ptマイナスされている。
殴る以上の暴力を一つ一つ検証するなんて面倒なことはできねえ。-50ptなら大したことねえから殴ってもいいと思ってたが、積み重なると案外大したことのある減り具合だ。殴る以上の喧嘩をしねえことも大事だが、今後は殴るのも控えた方がいい。減り方は分かったが問題は来世ポイントを増やす善行の仕方だ。えっちなことが善行だと仮定して、誰かに実験させてもらうか……? 一体誰としろってんだ。
シーシェン……それともオロク? どっちも嫌だが今のところえっちなことで喜びそうなのはあの二人しかいない。シーシェンかな、大人だし色々知ってるだろ……。保健室に行けるってのもいい。オロクの場合プライバシーがないし。この間だってシロくんが貸し切ってくれてたとはいえ公共の場で手を出してきたからな……。
でも待てよ? 俺がシーシェンに頼んで-1000ptを0かプラスに戻せたとしても、シーシェンがすぐに手を止めてくれるとは限らん。この前みてえにキモいスイッチを入れかねねえ。オロクも急に好感度100%にしてくるあたりタチが悪い。あと俺とえっちなことをして喜ぶやつ……一人思い当たるが、気は進まない。
…………いや、来世ポイントについて知っているせんやなら! わ、分かってくれるかもしれねえ! 調子に乗るかもしれねえが来世ポイントのためだと言えば……っ、俺のプライドは傷つくが喧嘩のためなら致し方ない!!
俺は急いで体操服に着替えて、まだ教室に残るクラスメイトたちを置き去りにして先にグラウンドへ向かったせんやの元へ走る。廊下でせんやの背中が見えて「せんや!」と腕を掴むと、びっくりした顔でせんやが俺を見た。
「せ、せんや……」
息を整えていると、せんやは「どうしたの? そんなに急がなくてもよかったのに」と呑気に首を傾げている。
た、試しだ……試し。でも何を試せば……
「ら、来世ポイントの話なんだけどな……。俺喧嘩するためにポイントを貯めないといけねえんだけど……善行について考えてたら、気づいたんだ」
「なんだ、来世ポイントの話がしたくて走ってきたの? 本当にケンカが好きなんだね……気づいたって何に?」
俺の言ったことを一つ一つ答えるせんやの顔から目を逸らす。
「…………ぜ、善行は相手が喜ぶことをすればいいみたいなんだ」
「ただのボランティアじゃだめってこと?」
「そ、それは試したことねえから分かんねえけど! お、お前が喜ぶことはなんだ!」
「え? お、俺?」
「お前は来世ポイントについて知ってるし、喜ぶことを教えてくれたら俺がしてやる。そうすればポイントが貯まる! 他のやつには聞かれても説明すんのが面倒臭えし!!」
俺は何を必死になってんだ、喧嘩のためだってのにこれじゃまるでせんやとえっちなことしたいみてえじゃねえか!! こいつには絶対言わねえけど!
「じゃ、じゃあ……抱きしめて♡」
「…………」
…………これは実験だ。これでポイントが上がったら、せんやを抱きしめるだけで解決する。オロクやシーシェンとあんなことやこんなことやをしなくて済む。
画面を表示させると、その画面を覗き込んで来世ポイントを見たせんやがギョッとする。
「ま、マイナス1390!? どうやったらこんなに減るのさ!?」
「うるせえ。協力しろ」
「お、俺はいいんだけど……さ」
辺りを見渡して誰もいないか確認してから、せんやの体を抱きしめる。腕の中で「ひょええ~」と言う奇声が上がったが、無視して画面を見ると、来世ポイントは-1385ptになっていた。+5ptってことか? 悪くないな……。だけど何度も抱きしめるのは効率が悪いような……もう少しガツンと増える方法はないか?
「他には何がして欲しい?」
「上がったの?」
「ああ。5ptだけ」
「な、なんか恥ずかしいよレン……。俺が喜んだらポイントが上がってるみたいで……」
「5ptなんてショボいだろ。50ptくらいは追加してえんだよ! 生徒を殴っただけで-50ptなんだ!」
「殴らなきゃいいのに。……じゃ、じゃあ、ちゅーは?」
「…………」
せんやは〝ちゅー〟のとこだけかわいこぶった後、ぽっと頰を赤くして潤んだ目で見上げてくる。わざとらしく小首を傾げて口元を手で隠して……今すぐ突き飛ばしたい。だが……
「や、やってやろう……じゃねえか!!」
「えええ!?」
ポイントのためポイントのためポイントのためポイントのため——……!!
ガシッと肩を掴むと、せんやは顔を真っ赤にして目をぐるぐるとまわし始める。
「そ! そそそそそんないきなり……っ! ま、待ってよレン、急にこんなこと……!」
肩掴んだだけだろ。
キスはポイントにならねえかもしれねえけど……抱きしめるだけで5pt入ってんだから少なくてもポイントは増えてるはずだ。暴力と言える全てが来世ポイントに影響していたならマイナスの分が少なすぎるんじゃないかと思ったことがあった。もしかしたらその時オロクやシーシェンとのキスでプラスされてたのかもしれない。数値を確かめるためにもここは一回こいつとキスをする!
ゆでダコみたいに真っ赤っかになったせんやに顔を近づける。くそ……自分から意識してキスするなんて初めてだから変に勇気がいるな。ええい! キス如きなんかたくさんしてきただろ! 俺はファーストキスじゃないんだ!
せんやの口に口を近づけるとせんやが声にならない叫び声をあげて口をぱくぱくさせている。ディープキスされるとでも思ってんのか? 決めた覚悟を取り消したくなる。
「おい口閉じろ」
「ふあ、ふあ!」
「何だよ。今まで散々して欲しそうにしてたくせに……」
「だ、だって姫野くんが……」
「姫野って呼ぶな!!」
「れ、レンが……き、キス……お、俺と……」
目をぐるぐる回し、へたり込みそうになるせんやを慌てて支える。
ったく……こいつなんで急にこんなにへにょへにょになってんだ。
せんやが教壇に立って生徒たちに話し始める。
「今から、学年別個人戦に向けての授業を始めます。みんな、体操服に着替えて俺についてきてね」
隣の席からアイちゃんが指でつついてきたから振り向くとアイちゃんは目をキラキラさせていた。かわいいかよ。
「そう言えば、明後日は学年別トーナメント戦の1日目だよね?」
「結構ギリギリだよな。実践授業は普段からしてるけど……相手がいつもシーシェンだからつまんねえんだよな~」
「シーシェン先生と戦ってる時いつも楽しそうだったじゃん?」
「そりゃ日頃の鬱憤晴らしてるからな! 誰を殴ってもペナルティあるからよぉ……」
「そりゃそうだよ! 殴るなんて……いや、リリアが楽しいのは良いんだけど他の生徒には迷惑だし」
「殴られて喜ぶ奴もいるけどな!」
ん? 待てよ……なんであいつは喜んでるのに善行ポイントにならねえんだ……? 本当は不満を抱いてやがるとか……?
試しに前の席にいるコゴを蹴ってみると「ひゃん♡」と言うキモイ悲鳴が聞こえてきた。この声で不満を抱くとかあるのかよ?
ついでに来世ポイントを確認したらしっかり-50pt取られて-340ptになっていた。いやおかしいだろ、こいつは喜んでるだろ。来世ポイントが表示されている画面を見ながらコゴを蹴り続ける。
「ひゃん♡」
-390pt
「ひゃん♡」
「ひゃん♡」
「ひゃん♡」
-540pt
これ以上蹴ると来世ポイントが増え続けてしまうが、イラつくから蹴り続ける-800pt手前までなら大丈夫だ。オロクとキス1つすりゃ……
「ひゃん♡」「ひゃん♡」「ひゃん♡」
-790pt
——待て。まだ3回しか蹴ってねえのにもう-800pt手前まできちまってるじゃねえか! -50ptに気づかないまま過ごしてた時は日常的にコゴを殴ったり蹴ったりして来世ポイントが積み重なって-800pt近く減っていた。だから気づいた後も、-50ptって数字自体は少ないと思ってたが結構上がり幅大きいぞ!?
そうか……16回叩いただけで-800ptになるのか。16回以上は殴った気がするから少ねえ気もするが……叩き方が弱いとか強いとか関係あんのか?
上げ方が分かったから殴れると思ったが……無闇やたらに殴るのは控えた方がいいな。
それに上げ方ってよく考えたら、オロクとキスするだけでいいと思ってたけどそうじゃねえじゃねえか。ただのキスならいくらでもしてきたのに来世ポイントに影響がなかった。
でもオロクとシーシェンにあそこを触られたら800ptプラスになる……あそこを触られることが800ptって……待ってくれ、この-790ptを+に戻すには誰かに触れさせるしかねえってことか!? いや……誰でもいいわけじゃねえ、善行だから相手が喜んでねえといけないのか……。
つまり、オロクとシーシェンは俺に触れて喜んでたと? キモすぎて寒気がする。
それにしたってキスがポイントにならねえなんておかしい。何か理由があるはずだ。せんやに聞いてみ——いややめとこう。善行ポイントが性的なことだと知ったらあいつは絶対暴走する、絶対面倒くさいことになる。
「リリア……無言でコゴくんを蹴り続けたと思ったら、黙り込んでるの怖いんだけど」
「蹴るの我慢してんだよ」
「我慢しなくてもいいのに! 最近のリリアくん変だよ!」
「お前はずっと変だわ!!」
振り返って椅子に手をつき涙目で顔を近づけてくるコゴの頭を叩こうとした手を止める。だめだ、-800pt以上は……
「俺を殴るの好きなくせに! リリアくんだって嬉しいくせに!」
「うぜえ!!」
俺を変な趣味にすんな! 俺は殴って喜ばれることに喜ばねえよ!
「ひゃううんっ!!♡」
「キメエんだよくそがッ!!」
「あっ……あっ! この感じ! この感じだ! いつものリリアくんが戻ってきた♡」
「うるせえ黙ってろ!!」
思わず手が出てしまい、散々殴った末に頭を鷲掴みにして俺の机に顔を叩きつけてしまった。
「あ……」
やばい。
まだ表示れ続けていた画面を恐る恐る横目で見る。
-1390pt
——あああああッ!! また-1000ptになっちまったあああああああああああああああッ!!
空中に表示されている画面を見ながら、魔法の芯の鉛筆で机に書きながら整理する。
コゴを殴ったことでポイントの減り方が分かってきた。散々殴った上に頭を叩きつけたから、-840ptになる予定だったのに-1390ptになってしまった。
550ptマイナスされたってことになるけど、50で割ったら11回分だが、俺が殴った回数はたぶん9だった。だから頭に叩きつけた分が100ptマイナスされている。
殴る以上の暴力を一つ一つ検証するなんて面倒なことはできねえ。-50ptなら大したことねえから殴ってもいいと思ってたが、積み重なると案外大したことのある減り具合だ。殴る以上の喧嘩をしねえことも大事だが、今後は殴るのも控えた方がいい。減り方は分かったが問題は来世ポイントを増やす善行の仕方だ。えっちなことが善行だと仮定して、誰かに実験させてもらうか……? 一体誰としろってんだ。
シーシェン……それともオロク? どっちも嫌だが今のところえっちなことで喜びそうなのはあの二人しかいない。シーシェンかな、大人だし色々知ってるだろ……。保健室に行けるってのもいい。オロクの場合プライバシーがないし。この間だってシロくんが貸し切ってくれてたとはいえ公共の場で手を出してきたからな……。
でも待てよ? 俺がシーシェンに頼んで-1000ptを0かプラスに戻せたとしても、シーシェンがすぐに手を止めてくれるとは限らん。この前みてえにキモいスイッチを入れかねねえ。オロクも急に好感度100%にしてくるあたりタチが悪い。あと俺とえっちなことをして喜ぶやつ……一人思い当たるが、気は進まない。
…………いや、来世ポイントについて知っているせんやなら! わ、分かってくれるかもしれねえ! 調子に乗るかもしれねえが来世ポイントのためだと言えば……っ、俺のプライドは傷つくが喧嘩のためなら致し方ない!!
俺は急いで体操服に着替えて、まだ教室に残るクラスメイトたちを置き去りにして先にグラウンドへ向かったせんやの元へ走る。廊下でせんやの背中が見えて「せんや!」と腕を掴むと、びっくりした顔でせんやが俺を見た。
「せ、せんや……」
息を整えていると、せんやは「どうしたの? そんなに急がなくてもよかったのに」と呑気に首を傾げている。
た、試しだ……試し。でも何を試せば……
「ら、来世ポイントの話なんだけどな……。俺喧嘩するためにポイントを貯めないといけねえんだけど……善行について考えてたら、気づいたんだ」
「なんだ、来世ポイントの話がしたくて走ってきたの? 本当にケンカが好きなんだね……気づいたって何に?」
俺の言ったことを一つ一つ答えるせんやの顔から目を逸らす。
「…………ぜ、善行は相手が喜ぶことをすればいいみたいなんだ」
「ただのボランティアじゃだめってこと?」
「そ、それは試したことねえから分かんねえけど! お、お前が喜ぶことはなんだ!」
「え? お、俺?」
「お前は来世ポイントについて知ってるし、喜ぶことを教えてくれたら俺がしてやる。そうすればポイントが貯まる! 他のやつには聞かれても説明すんのが面倒臭えし!!」
俺は何を必死になってんだ、喧嘩のためだってのにこれじゃまるでせんやとえっちなことしたいみてえじゃねえか!! こいつには絶対言わねえけど!
「じゃ、じゃあ……抱きしめて♡」
「…………」
…………これは実験だ。これでポイントが上がったら、せんやを抱きしめるだけで解決する。オロクやシーシェンとあんなことやこんなことやをしなくて済む。
画面を表示させると、その画面を覗き込んで来世ポイントを見たせんやがギョッとする。
「ま、マイナス1390!? どうやったらこんなに減るのさ!?」
「うるせえ。協力しろ」
「お、俺はいいんだけど……さ」
辺りを見渡して誰もいないか確認してから、せんやの体を抱きしめる。腕の中で「ひょええ~」と言う奇声が上がったが、無視して画面を見ると、来世ポイントは-1385ptになっていた。+5ptってことか? 悪くないな……。だけど何度も抱きしめるのは効率が悪いような……もう少しガツンと増える方法はないか?
「他には何がして欲しい?」
「上がったの?」
「ああ。5ptだけ」
「な、なんか恥ずかしいよレン……。俺が喜んだらポイントが上がってるみたいで……」
「5ptなんてショボいだろ。50ptくらいは追加してえんだよ! 生徒を殴っただけで-50ptなんだ!」
「殴らなきゃいいのに。……じゃ、じゃあ、ちゅーは?」
「…………」
せんやは〝ちゅー〟のとこだけかわいこぶった後、ぽっと頰を赤くして潤んだ目で見上げてくる。わざとらしく小首を傾げて口元を手で隠して……今すぐ突き飛ばしたい。だが……
「や、やってやろう……じゃねえか!!」
「えええ!?」
ポイントのためポイントのためポイントのためポイントのため——……!!
ガシッと肩を掴むと、せんやは顔を真っ赤にして目をぐるぐるとまわし始める。
「そ! そそそそそんないきなり……っ! ま、待ってよレン、急にこんなこと……!」
肩掴んだだけだろ。
キスはポイントにならねえかもしれねえけど……抱きしめるだけで5pt入ってんだから少なくてもポイントは増えてるはずだ。暴力と言える全てが来世ポイントに影響していたならマイナスの分が少なすぎるんじゃないかと思ったことがあった。もしかしたらその時オロクやシーシェンとのキスでプラスされてたのかもしれない。数値を確かめるためにもここは一回こいつとキスをする!
ゆでダコみたいに真っ赤っかになったせんやに顔を近づける。くそ……自分から意識してキスするなんて初めてだから変に勇気がいるな。ええい! キス如きなんかたくさんしてきただろ! 俺はファーストキスじゃないんだ!
せんやの口に口を近づけるとせんやが声にならない叫び声をあげて口をぱくぱくさせている。ディープキスされるとでも思ってんのか? 決めた覚悟を取り消したくなる。
「おい口閉じろ」
「ふあ、ふあ!」
「何だよ。今まで散々して欲しそうにしてたくせに……」
「だ、だって姫野くんが……」
「姫野って呼ぶな!!」
「れ、レンが……き、キス……お、俺と……」
目をぐるぐる回し、へたり込みそうになるせんやを慌てて支える。
ったく……こいつなんで急にこんなにへにょへにょになってんだ。
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